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LINE Pay・長福久弘COO「他の決済事業も競合ではなくパートナー」

インタビュー

2018/02/23 15:30

 ここ1~2年の間に日本国内でも、スマートフォンとバーコードや二次元コードを利用したモバイル決済サービスを提供する事業者が増えてきた。ただ、先行する中国や北欧などに比べ、日本はこれからの市場だ。各社が加盟店の囲い込みに動くが、LINE Payの長福久弘取締役COOは、現在はまだ各社が競合する段階ではなく、モバイル決済を国内に根付かせるため同じ方向を向くパートナーのような関係だと説明する。

取材・文/日高 彰、写真/大星直輝


LINE Payの長福久弘取締役COO

―― LINE Pay加盟店を全国的に開拓していくにあたっては、地場の金融機関や営業代理店などと提携していく形をとるのでしょうか。

長福 従来のクレジットカードではそのような形が常道だと思いますが、私たちの場合はすでにLINE@の販売でパートナー網を築いていますので、パートナー各社を通じて、既存のLINE@ユーザーの店舗様にLINE Payをご提案していくことができます。LINE公式アカウント、LINEビジネスコネクト、LINE@などを含め、非常に多くの店舗様と関係を構築している点はわれわれの大きな強みです。

―― タブレットPOSの「Airレジ」は、オプションの決済サービスでLINE Payに対応していますが、同時に競合のAlipayにも対応しています。こういう形のパートナーシップも、御社としてはありなのでしょうか。

長福 私たちの今の取り組みのキモは「LINE Payが使えるお店を増やしていくこと」ですので、そういう形での拡大もどんどん行っていきます。いろいろなモバイル決済サービスが登場しているので、それらのサービスとわれわれが競合関係にあると見られることが多いのですが、まだ始まったばかりの市場ですので、日本においてモバイル決済を普及させていくパートナーだと考えています。各社がそれぞれの強みを生かして戦っていく本当の競争は、普及した後の段階に来るものなので、まずはとにかくモバイル決済を使えるものにしていくことが先ではないでしょうか。

―― LINE Payが使える場所を増やすための施策としては、JCB加盟店でクレジットカードと同じように使える「LINE Payカード」を2016年春に開始していますね。ポイント還元率がかなり高いカードとして話題になっていると思いますが。

長福 もともとLINE Payはウェブの決済サービスとしてスタートしましたが、LINE Payカードはそれをオフラインの店舗にも広げるための戦略のひとつです。LINE Payカードのお客様には非常にアクティブにご使用いだたいており、施策としては大きな成功を収めています。ただ、ここ2年くらいの間に中国でモバイル決済の普及が決定的になり、この流れが日本にも来ると考えると、今年はモバイル決済に舵を切り、そちらに重点をおくことにしています。

―― LINEのアプリで簡単に決済や送金ができるサービスというLINE Payからすると、プラスチックカードの発行というのは少し逆行するというか、あくまで過渡期の施策なのかなと思っていました。

長福 もちろんカードをやめるわけではありませんが、決済サービスは時代に合わせて、ユーザーの皆様と一緒に成長していくものだと思いますので、順を追ってご提供していくということですね。仮に2年前の時点で「モバイル決済をやります」といっても「何ですかそれは?」で進まなかったと思います。お店のレジで払おうとしたときに店員さんがとまどって「いやー、ちょっとわからないです」といわれてしまうような状態だと、どんなにユーザー数、加盟店数だけが増えても、利用は進まないですから。

―― モバイル決済導入のハードルは、かつてなく下がっていると。

長福 百貨店や家電量販店などインバウンド対応が進んだお店では、店員の方がAlipayやWeChat Payに慣れてきていますからね。大手小売りの方々と日々お話をしていますが、モバイル決済の波が日本にも来るということは、みなさんご理解されていて、「モバイル決済って何だ」「本当にそんな時代が来るのか」といったことをいわれるケースはもうほとんどなくなりました。POSレジの改修など具体的な問題をどう解決するかという段階です。逆に、小さなお店で一番安価にスタートするのであれば、オーナー様のスマートフォンにLINE Payのアプリを入れていただくだけで始められます。ただ、これももう少し使いやすく簡単に導入できるような仕組みにできないか、検討しています。

<日本は決してキャッシュレス後進国ではない>に続く