<家電ANALYSIS>iPhone X効果でスマホ市場がホットに

 スマートフォン市場がホットになってきた。AppleがiPhone 8/8 Plusを9月に発売したものの、11月発売のiPhone X待ちの影響で、10月のスマホ全体の販売台数は前年同月比92.1%にとどまり、9か月ぶりに前年を割り込んだ。しかし、11月にはX発売効果で131.0%と久々に3割を超える前年比増を記録、年末商戦に向けていいスタートを切った格好だ。

X人気、どこまで広がる?

 当のAppleは9月、10月と大幅な前年割れを喫したが、11月には144.0%と挽回。スマホ市場を押し上げた。11月の販売台数上位メーカーのうち、ソニーモバイルを除く4社は、軒並み前年を大幅に上回っている。
 

 特に伸びているのがサムスンだ。シェアは4.0%と1ケタ台だが、バッテリ問題の影響でシェアを落とした前年に比べると426.5%と大幅に伸び、シェアを戻し始めている。売れ筋は4.7インチと小型で低価格のGalaxy Feelだが、Galaxy S8やフラッグシップのGalaxy Note8も売れている。直近では2位につけるシャープも前年比204.7%と伸びており、1割前後のシェアを維持。価格が手ごろなAQUOS senseが売れ筋で、SIMフリーモデルも好調だ。

 注目のiPhone Xは、発売以来、販売台数ランキングのトップを獲得。しかし発売から74日目の時点で、iPhone 8/8 PlusとiPhone Xを合わせた新iPhoneの累計販売台数は、2016年の7/7 Plus、15年の6s/6s Plusと比べ、1割以上も下回っている。
 

 今後、Xの人気が続けば逆転も期待できるが、価格の高さがどこまで受け入れられるかは未知数だ。(BCN チーフエグゼクティブアナリスト 道越一郎)

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※『BCN RETAIL REVIEW』2017年12月号から転載