カメラを中心に、多機能化が進むスマートフォン。ファーウェイが12月1日に発売したSIMフリースマートフォン「Mateシリーズ」の最新機種「HUAWEI Mate 10 Pro」は、スマホの頭脳ともいえるCPU(SoC)にAIチップを組み込み、独立したAIがバックグラウンドでさりげなく使いこなしをサポートするインテリジェントマシンだ。いち早く実機に触る機会を得たので、「HUAWEI Mate 10 Pro」の便利な機能を紹介しよう。

AI×Leicaダブルレンズでオート撮影が進化 翻訳アプリもAIで高速化

 「HUAWEI Mate 10 Pro」の最大の特徴は、世界初のAIプロセッサ「Kirin 970」による快適なユーザーエクスペリエンスとポテンシャル。「Kirin 970」は、ファーウェイ初のAIチップであるNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を組み込み、情報量の多い画像処理やビッグデータ解析をNPUにまかせ、その分、オクタ(8)コアのCPU、ドデカ(12)コアのGPUの処理能力に余裕をもたせ、バッテリの持ちを改善しレスポンスを高めた。
 
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約6インチの大画面にも関わらず、持ちやすい大きさ。耐水・防塵仕様なので雨天時などでも安心だ

 カメラは引き続き、Leicaとコラボ。F値1.6の明るい「SUMMILUX-H」レンズを採用し、暗い場所や夜間の撮影でも明るく、細かい部分まで描写できるようになった。さらにAIが撮影をアシストし、逆光や動きのある被写体でもしっかりと捉える。デジカメ代わりに使えるカメラスマホとして、一段と完成度が高まったといえるだろう。

 具体的に、AIを活用した新機能を紹介しよう。まずはカメラ。あらかじめ1億枚に及ぶさまざまな画像パターンをインプットし、シーンや被写体別に最適な撮影モードをAIが瞬時に選択する。日の出や日の入り、空といった風景から、フード、ペット(イヌ・ネコ)、植物、花、文字など、カバーする被写体の範囲は広い。さらに動きを予測して撮影するため、シャッターチャンスを逃さない。

 通常のカメラモードで被写体に向けると、画面下部に撮影モードのアイコンが表示され、被写体をカメラがどう認識しているのかわかる。アイコンの表示はさりげなく、しばらく気づかなかったほど。AIはあくまで裏方に徹し、自然に撮影をサポートする。
 
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AIが自動識別する撮影モードは全13種類。被写体(料理の載ったお皿の写真)にカメラを向けると、
瞬時に「フードモード」をセレクトし、右下にアイコンが表示された

 ファーウェイのダブルレンズ搭載機種の描写はとてもいい。発色や色のメリハリ、「ポートレートモード」の美しいボケ感などが重なり、日常のワンシーンすら非常に印象的なカットに仕上がる。

 同じLeicaのプロ版レンズ「SUMMILUX-H」を搭載する「HUAWEI P10 Plus」も十分に高画質だったが、明るさを示すレンズのF値は1.8から1.6にアップし、AIとの相乗効果でますますパワーアップ。カメラアプリのインターフェイスも細かい点が改良され、どんどん使いやすくなっていると感じた。
 
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おなじみのLeicaのダブルレンズカメラの描写力がさらにアップ。
写真の縦横比は、16:9、4:3、1:1から選べる
(上・左下:アウトカメラの通常モード、右下:インカメラのポートレートモード)

 また、マイクロソフトのクラウドベースの自動翻訳機能をHUAWEI Mate 10 Pro向けにAIプロセッサによる高速化を施したカスタム版を搭載し、最大300%高速化。翻訳方法は音声、キーボード入力、画像認識、グループ会議の4種類で、画像認識以外は日本語に対応。日本語から、英語、中国語、韓国語、フランス語など、50以上のさまざまな言語に翻訳できる。もちろん、逆方向の翻訳も可能で、特に音声・画像からの翻訳は海外旅行時に役立つだろう。
 
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AIで瞬時に翻訳できる双方向翻訳アプリ「Translator」

便利なドック不要の「PCモード」や「デュアル4G」に対応

 「HUAWEI Mate 10 Pro」の充電ポートはUSB Type-Cだ。そのUSB Type-Cの映像・音声伝送規格を生かし、新たに「PCモード」に対応した。別売の「HUAWEI MateDock」や USB Type-C-HDMI変換ケーブルを使うと、ディスプレイやテレビにスマホの画面を表示できる。投影モードは、端末上の画面がそのままミラーリングで表示される「端末モード」と、まるでWindows PCのような画面が表示される「デスクトップモード」の2種類。どちらも動作に遅延はなく、音はつないだテレビ側から出力された。
 
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特別な設定は必要なく、スマホとケーブルでつなぐだけ。
デスクトップモードでは、Bluetoothマウスや、スマホの画面をタッチしてカーソルを動かしたり、
Bluetoothキーボードから文字入力したりできる

 デスクトップモードでは、スマホの画面をタッチパッドとして操作可能。事前に、Android対応のBluetoothマウス・キーボードとペアリングしておけば、それらを使って操作することもできる。「PCモード」の仕組み自体は汎用的なものだが、専用ドックが要らないのでシンプル。かなり本格的にPC代わりに使えそうだ。
 
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一般的なミラーリング表示にも対応。スマホの画面をそのまま表示し、大画面で視聴できる

 ほかにも最先端の機能が満載だ。音楽再生は、384KHz/32bitの最高峰ハイレゾ音源までサポート。下り(受信時)最大500Mbpsの高速データ通信、高音質通話のVoLTE(ボルテ)をサポートし、世界で初めて4G(LTE)/4G同時待受が可能な「デュアル4G/デュアルVoLTE」に対応。2枚のSIMカードを入れて、それぞれのSIMでデータ通信も音声通話も利用できる。また、音声通話時は「HUAWEI Easy Talk」で、周囲のノイズと話者の声を峻別し、ノイジーな環境でも通話相手が声を聴き取りやすくなった。

 スマホとしては初めてドイツの第三者検証・認証機構テュフ・ラインランドが定めた安全認証を取得した急速充電に対応している点もポイント。バッテリの持ちは、AIの効果で、長持ちすると好評だった前機種「HUAWEI Mate 9」よりさらに30%向上した。急速充電の安全性認定は、他社製スマホで発生した内蔵バッテリの異常発熱問題を受けて取り入れたものと推測される。

約6インチの大画面でも持ちやすいジャストサイズ

 スペック面だけではなく、フラッグシップモデルにふさわしい高級感あるデザインも光る。縦横比18:9と縦に長く、約6インチの大画面にも関わらず、幅約74.5mmのコンパクトな本体は、手になじむジャストサイズ。外観は全面3D曲面ガラスで覆われ、ファーウェイのスマホでは初めてIP67の耐水・防塵に対応。濡れた手で触ったり、雨や雪が降る中で撮影したりする場合も安心だ。

 「HUAWEI Mate 10 Pro」の税別の実勢価格は8万9800円、カラーはミッドナイトブルー、チタニウムグレーの2色。同じ「Mateシリーズ」として、インカメラもダブルレンズ仕様で、セルフィーに最適な「4カメラ」という別のコンセプトを打ち出した「HUAWEI Mate 10 lite」もラインアップし、年末商戦に向けて選択の幅を広げた。「HUAWEI Mate 10 lite」のほうがより手頃で、税別の実勢価格は4万2800円。カラーはオーロラブルー、グラファイトブラックの2色。
 
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12月8日に発売する「HUAWEI Mate 10 lite」は、単なるライト版ではなく、まったく別のコンセプト。
「HUAWEI Mate 10 Pro」同様、手のひらいっぱいに画面が広がるフルビューディスプレイだ

 ファーウェイでは、「HUAWEI Mate 10 Pro」を皮切りに、ハイエンドモデルには、同様のAIプロセッサを順次実装していくという。ベゼル部分を極力なくした全面フルディスプレイというデザイン自体は他社も取り入れているだけに、新機軸の「AI」の広がりに注目だ。