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「二子玉川 蔦屋家電」の売上高の半分は独自調達―CCCの武井家電企画事業部部長

 「二子玉川 蔦屋家電」は、一貫して「家電を軸にして顧客のライフスタイルを変革する」というブレないコンセプトを掲げる。「家電の素人だった」と振り返るCCCの武井総司家電企画事業部部長だが、話し出すと「だから家電は面白い」と熱を帯びる。あらためて家電の魅力を再認識させられる。

取材/日高 彰、文/細田 立圭志、写真/瀬之口 寿一

<毎日2万人が来る「蔦屋家電」の秘密とは>から読む
 

2015年5月にオープンした「二子玉川 蔦屋家電

FC展開から変わったきっかけは?

―― アルファベットのTSUTAYAはいわゆるパッケージとしてのFCを展開する一方で、蔦屋家電は商圏ごとに一からプランニングするとのことですが、何がきっかけで変わったのでしょうか。

武井 時代の変化はもちろんありますが、社長の増田(宗昭)は創業したときから「ライフスタイルを変革したい」と掲げていました。TSUTAYAがフィーチャーされて加盟企業が増えて、気づいたら世の中にあるFCのスタイルになりつつあった。10年ほど前から「創業したときのゴールじゃないよね」と考えるようになり、しっかりとライフスタイルを追求していこうとして始めたのが、東京・渋谷区の代官山で蔦屋書店を中核とする「T-SITE」の開業だったのです。

 「あるべき本屋はこうだよね」と。それから佐賀県の「武雄市図書館」や複合文化施設の「湘南T-SITE」などを手掛けるなかで、よくよく考えたらライフスタイルの軸にあるのは家電であることに気づき、「なんでうちが家電をやらないのか」ということから蔦屋家電のプランニングがスタートしたのです。

―― ライフスタイルの軸に家電があるという認識は、普段はなかなな気づかないですよね。

武井 iPhoneスマートフォンだってそうですよね。昔は電話は電話、PCはPCでしかなかったものが、一つになって外に持ち出せて、今ではだれもが1日の多くの時間をそれに費やしているわけです。完全にライフスタイルを変えました。普段は当たり前のように接していますが、突き詰めて考えていくと家電が軸になっているのです。だから、家電は面白いとわれわれは思っています。海外にもたくさんの面白い商品がありますし、国内にもまだまだ知られていない商品はたくさんあります。そこにしっかりフィーチャーして知ってもらいたいのです。ちなみに、蔦屋家電の売り上げの半分が、独自調達や先行販売、販路限定の商品で構成されています。
 

「家電はライフスタイルを変える」と語るCCCの武井総司家電企画事業部部長

「安売り」とは異なる競争軸

―― 海外メーカーの取り扱いが多いのも特徴ですね。

武井 われわれは他社で売れているから、流行しているから仕入れるのではなく、われわれが自信をもってお客様にお勧めできる商品を仕入れています。米国や欧州に行けば当たり前のようにある商品が日本にはないのです。海外メーカーになぜかと聞くと、彼らは価格破壊を心配します。市場としては興味があって、参入したいと考えているが、価格やポイント競争に巻き込まれて、プロダクトよりもサービスや価格が優先されることで足踏みしてしまうのです。

 そこで、われわれがアプローチして、ブランディングもするし、価格破壊が起きない運用をするので、直接、CCCと取り引きすることをお願いすると、役員などから「ぜひ一緒に組みたい」と言われるのです。もちろん、ずっと自分たちだけで売るつもりもありません。ブランディングや世の中の人の知ってもらえるようになると、いわゆる量販店モデル家電量販店に入っていきますが、われわれは決して反対しません。日本のライフスタイルを変えるきっかけをつくっているわけですから。

 例えば、花粉症でお悩みの方で春は外出を控えていた人が、LGエレクトロニクスの「LG styler」を使って外出が苦にならなくなれば、まさに、ライフスタイルが変わるきっかけを与えたことになります。このように海外で普及していて、国内で普及していない商品を持ち込むのも「企画」なのです。

<リアル店舗の共喰いをECのせいにするな>に続く