中高生の頂点プログラマーは誰だ、情報オリンピック初のオンライン開催

イベント

2021/02/16 19:15

 情報オリンピック日本委員会は2月13・14日の2日間、第20回日本情報オリンピック(JOI 2020/2021)本選を開催した。4時間の熱戦の末、渋谷教育学園渋谷高等学校2年の菅井遼明選手が金賞を獲得し優勝した。さらに、シンガポールで6月に開催する「第33回国際情報オリンピック」に出場する日本代表候補も決定。金賞受賞者に加え銀賞6人、優秀賞10人の計17人を選出し、日本代表を決める3月の春季トレーニング合宿に招待する。

開会式はYouTubeで行った

 情報オリンピックは、中高生を対象にした日本一の競技プログラマーを決めるプログラミングコンテスト。今回は、新型コロナウイルス感染症対策のため、初めて完全オンラインで開催した。全国約1300人の予選参加者から勝ち上がった76人に招待選手を加えた88人が本選に出場。13日の深夜に東北地方を震源として発生した地震の影響調査で、14日の本選競技は開始時刻を1時間遅らせたものの、競技はスムースに進行した。
 
競技終了後の問題解説の後、参加者で記念撮影

 本選競技は14日10時にスタート。選手は14時までの4時間で5問の課題に挑んだ。各問100点で500点満点を目指す。1問目の「とてもたのしい家庭菜園」は、満点回答者が72名、2問目の「雪玉」も62名が満点を獲得し好スタートを切った。しかし3問目以降は難易度が増し、「集合写真」は35名、4問目の「ロボット」7名と満点回答者が少なくなっていった。5問目の「ダンジョン3」では満点回答者はゼロ。部分点を獲得できた選手もわずか11名にとどまり、これが上位陣の成績を分けたものとみられる。優秀者のうち、通常設定されている銅賞がなく、6名に銀賞が与えられたことからも、大接戦だったことがうかがわれる。
 
競技終了後の交流会もオンライン。
「oVice」でOBの話を聞いたりゲームをしたりして楽しんだ

 本来は、文京区・本郷の東京大学で実施する予定だった今大会。完全オンライン開催に切り替えたことで、多くのルール変更があった。例年会場で実施する場合は、支給されたPC環境を使って戦う上、資料などの持ち込みは禁止。インターネットへの接続も許されず、問題は全て自力で解かなければならなかった。しかし、自宅などで挑むオンライン開催では、自前のPCを利用し、参考書やノートなどの参照やインターネット検索も可能で、競技中に自由に資料を調べることが許された。ただし、SNSなどへの情報発信や第三者の助けを借りることは禁止された。オンライン開催のため、開会式は「YouTube」で、事前ガイダンスや競技終了後の問題解説は「Zoom」で、競技終了後のオンライン交流会は「oVice」でと、各種ツールを駆使しながら、例年の大会に遜色ない運営がなされた。
 
YouTubeの開会式で選手を激励する、
情報オリンピック日本委員会の筧捷彦 理事長


 情報オリンピック日本委員会の筧捷彦理事長は、YouTubeで実施した開会式で「例年は一堂に選手を集めて競技を行ってきたが、今年はコロナ感染が治まらず、オンライン開催になってしまったのは残念。しかし、コロナがもたらす試練に負けることなく、若い皆さんが力の限りを尽くして、それぞれに最高の結果を残すことを期待している」と選手を激励した。(BCN・道越一郎)
(2月19日追記:初出の記事中、一部非公開の情報が含まれていたため修正しました)