複合経路検索ができるMaaSアプリ「EMot」サービスイン、箱根などで実証実験

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2019/10/28 17:34

 小田急電鉄は2019年10月末に、同社が開発するオープンな共通データ基盤「MaaS Japan」を活用したMaaS(Mobility as a Service)アプリ「EMot(エモット)」をサービスインし、同日にアプリの機能についての実証実験を開始する。

「EMot」のロゴマーク

 EMotは、ユーザーの日々の行動の利便性をさらに高め、新たな生活スタイルや観光の楽しみ方を提案するアプリ。名称には、モビリティサービスによる移動(Mobility)や日常において、新たな体験と感動(Emotion)を提供していきたいという想いを込めた。「行きかた」だけではなく、「生きかた」即ちライフスタイルを提案する。

 サービス開始時点で利用可能な機能は、「複合経路検索」と、箱根フリーパスなどの企画券や飲食チケットの購入が可能な「電子チケットの発行」の二つで、実証実験は、これら2つの機能に独自サービスを加えた3要素の有効性などを検証する。
 
3つの実証実験を実施する
(左から、観光型MaaSの実証実験、郊外型MaaSの実証実験、MaaS×生活サービスの実証実験)

 メインの複合経路検索では、鉄道やバスをはじめ、タクシーやシェアサイクルなどを組み合わせた検索ができ、連携しているアプリ・サイトに遷移し、モビリティの予約・決済を行うこともできる。電子チケットは、企画券や飲食チケットに加え、ショッピングなどに応じて無料でモビリティが利用できる特典チケットを発行する。

 実証実験のうち、「観光型MaaSの実証実験」「郊外型MaaSの実証実験」は、国土交通省の新モビリティサービス推進事業「先行モデル事業」の「神奈川県における郊外・観光一体型MaaS実証実験」として、神奈川県、川崎市、箱根町と連携して実施する。

 観光型MaaSの実証実験では、アプリ内のチケットストアで「デジタル箱根フリーパス」を発行できるようにし、購入者は、スマートフォン(スマホ)の画面を駅係員などに提示して各種特典を利用できるほか、スマホ上に表示する周辺地図上に、箱根フリーパスの割引優待対象施設と自身の現在地をあわせて表示するので、よりお得に箱根エリアを楽しめる。

 郊外型MaaSの実証実験では、小田急線新百合ヶ丘駅を中心としたエリアで、自家用車から公共交通機関へのシフトによる新たなライフスタイルを提案していく。第1弾として、新百合ヶ丘駅前の商業施設「新百合ヶ丘エルミロード」で2500円以上購入したユーザーに、新百合ヶ丘駅から自宅最寄りのバス停までのバス無料乗車チケット(210円区間・往復分)を発行する。

 このほか、独自の「MaaS×生活サービスの実証実験」として、アプリ内のチケットストアで電子チケットを購入すると、小田急線新宿駅・新百合ヶ丘駅の構内にある「おだむすび」「箱根そば」「HOKUO」のいずれかの店舗で1日1回利用可能なサービスチケットを定額で販売する。対象店舗は、EMotの公式サイトで公開している。
 
小田急線新宿駅・新百合ヶ丘駅を利用するユーザーへの新たなライフスタイルの提案として、
キャッシュレス決済の「飲食サブスクリプション」を提案

 ほかにも、アプリ内のチケットストアでは、提携する遠州鉄道が発行する浜松を中心とした静岡県西部エリアの「遠鉄ぶらりきっぷ」や「HAMANAKO RAIL PASS」など6種類の企画乗車券を販売。今後は九州旅客鉄道との連携による実証実験も検討していく。小田急では、EMotのアプリをインストールし、より多くの人に実証実験に参加して欲しいと呼びかけている。