新たな領域に挑むBenQ、映像編集に適したRec.709対応液晶ディスプレイ

 液晶ディプレイで高いシェアと信頼性を誇るBenQは、新たな領域に挑む。7月6日発売の「PV270」は、妥協を許さない色性能と強力なキャリブレーションツールを備え、映像編集に適した解像度2560x1440の27型WQHDディスプレイだ。

PV270

 HDテレビ向けの規格Rec.709は100%、映画撮影に使われるカラーフィルムの色域に対応したDCI-P3は96%をカバー。さらにsRGBは100%、Adobe RGBも99%カバーする広色域で、ラフカットの編集から出力まで、プロが求める“一貫して正確な色再現”を可能にした。まさに映像の編集作業に最適のモデルだ。
 
Rec.709 100%、DCI-P3 96%をカバーする広色域

 例えば、視聴環境がHDテレビなのか、デジタルシネマなのかを考慮して、Rec.709とDCI-P3で出し分けても、アウトプット後の色と事前に定義した色を一致させることができる。

 また、画面表示にムラが出ないよう、高精度装置の利用にかかわる繊細な処理を施すことで、ユニフォーミティの均一化を実現。画面全体の何百もの小区域の輝度を自動的に細部まで微調整することで、より本物に近い、より一貫として滑らかな視聴体験を提供する。
 
ムラ補正回路でより滑らかな映像に

 厳格な色再現は、RGBの加法混色性能を向上させる「14-bit 3DLUT(ルックアップテーブル)」によるもの。グレー階調を含め、極めて正確な色とグラデーションを表示する。

 Rec.709とAdobe RGBの両方の色空間では、平均デルタE≦1.5を満たしており、時間と費用を大幅に抑えつつ、映像編集のすべての工程で精確な色表現を約束する。

 使い勝手にも配慮し、バックライトセンサを搭載した高度な輝度制御によって、電源を入れてから色が安定した状態になるまで通常2~30分かかるところ、わずか5分程度に短縮した。
 
電源を入れた後、数分以内に最適な輝度になるようバックライトが調整する

高精度なハードウェアキャリブレーションにも対応

 映像編集に欠かせないハードウェアキャリブレーション用ソフトウェアには、カラーマネジメントや色再現の技術を研究するX-RiteとBenQが共同で開発したPalette Masterを採用した。
 
高精度なハードウェアキャリブレーションが可能

 操作しやすいインターフェースと多彩なパラメーター設定で、さまざまな作業内容に応じて、ICCプロファイルを簡単にカスタマイズできる。なお、キャリブレーション結果は、ディスプレイ本体に2つまで保存可能だ。さらに、プリンタとの色合わせもできるため、画像編集のニーズにも応える。

 広色域ディスプレイ「PV270」なら、映像編集におけるさまざまな課題を解消できるうえ、PCのグラフィック設定に影響を受けないハードウェアキャリブレーションと、優れた国内サポート体制で安心だ。「PV270」の税別の実勢価格は、遮光フード付きで約11万6000円。プロ向け機材としては、かなり値ごろ感ある価格設定だろう。
 
色の一貫性は映像編集の最も重要な要素。「PV270」なら状況に応じた出し分けも可能

 なお、1080/24Pリアル再生に対応しているため、HDMIで接続すれば、通常の60Hzリフレッシュレートによって生じるソース映像の歪みがなく、24Pのフィルムコンテンツを正しいフレームで表示できるため、編集作業が捗る。映像編集・制作はもちろん、撮ったインディーズ・ムービーの編集・再生といった用途にも最適だ。