Japan Mobility Show 2025(ジャパン・モビリティー・ショー=モビショー)が10月30日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は11月9日まで。モビショーの主役はクルマだが、今回は例年にも増して新しい時代の到来を感じさせる展示が目白押しだった。最初に驚いたのはホンダのロケットだ。
ホンダの「サステナブルロケット」左と、
ブリジストンの「月面探査用タイヤ(第2世代)」(右上)、
小糸製作所の「宇宙向けランプ」
モビリティーには違いないが、これは宇宙へのモビリティー。その名も「サステナブルロケット」だ。6月に北海道大樹町で離着陸実験を行った、全長6.3mの実機をそのまま展示していた。ホンモノだけに機体の汚れ具合が実機であることを物語っている。サステナブルというだけあり、ロケット機体を何度も再使用できる。メタンと酸素で構成する再生可能燃料を使用するのも大きな特徴だ。宇宙と言えば、ブリジストンが開発する月面探査用タイヤの第2世代モデルも出展されていた。空気が使えない宇宙空間、地球の200倍以上の強烈な放射線。昼夜の温度差が300度にもなる温度変化にも耐えなければならない。月面の砂地でも沈まずに走行できる必要もあるなど、条件は厳しい。空気がいらないタイヤ「AirFree」をベースに開発した。また、小糸製作所が展示していたのは、月面探査車用の「宇宙向けランプ」だ。月面でしっかり動作し、空気がなくても放熱できる筐体が特徴の一つ。もちろん夜間の超低温に耐えるヒーター、放射線の影響を受けにくいLEDを採用するなどの専用設計だ。
マツダの「MAZDA VISION X-COUPE」(左上)と「CO2回収装置」(左下)、
カワサキの「水素エンジンモーターサイクル」(右上)と「モーターサイクル用水素エンジン」
メインストリームのクルマに目をやると、驚いたのはマツダの「MAZDA VISION X-COUPE」だ。独自の二酸化炭素回収装置を搭載し、走れば走るほどCO2削減に貢献するという。微細藻類由来のカーボンニュートラル燃料と、マツダ独自のCO2回収技術「Mazda Mobile Carbon Capture」で実現する。環境問題対策では、カワサキの「水素エンジンモーターサイクル」も目を引いた。この7月に鈴鹿サーキットでお披露目したものだ。水素を燃料とするエンジンを動作させるため、電動バイクよりも乗りこなす楽しさがある。一方、排出するのは水だけという、何とも環境に優しそうなバイクだ。電動バイクは世界各国で当たり前になってきたが、今度は水素エンジンバイクが走り回るような社会になるのだろうか。
ヤマハの「MOTOROiD:Λ(モトロイド・ラムダ)」(左)とスズキの「MOQBA 2」
ハイテクのモーターバイクと言えば、ヤマハのモトロイド。今回は「MOTOROiD:Λ(モトロイド・ラムダ)」を世界初公開した。横から見ると「への字」のような形をした2輪車だ。今のところ人を乗せることはできないが、倒れた状態から自ら「立ち上がる」。完全に単独で自立、走行することができ、その場で回転するような動きも可能だ。AIが自ら学習し成長するといい、今後どんな進化を遂げていくのか楽しみだ。一方、スズキのMOQBA(モクバ)2は、名の通り木馬のようなパーソナルモビリティ。前回のモビショー2023に出展したMOQBAをブラッシュアップ。AIを活用し自律的な機体制御に対応できるようになった。ちょっとした段差は問題なし。階段の昇降までできるのが特徴だ。脚の部分をプラットフォームとして、バイク、荷物配送、担架、など様々な用途に活用できる。
シャープの「LDK+」外観(左上)と室内(左下)、
SCSKの「EV」(右上)と「ピラーtoピラーディスプレイ」
IT業界からの参入も進んでいる。シャープもその一つ。2027年度発売を目指している電気自動車「LDK+」をひっさげて出展していた。鴻海と共同で開発した。LDK+の名前が示す通りクルマを移動手段としてだけでなく、居住空間としても捉える。車内の快適性を追求しているのが大きな特徴だ。今後、自動運転機能が組み込まれていけば、より重要になる「居住性」という「性能」を今から先取りした格好だ。販売チャネルなど今のところ決まっていないというが、家電のシャープの新たな挑戦だ。SCSKも車に取り組んでいる。「クルマの”つくり方”をソフトウェア起点で再定義」し、「わずか9カ月で完成させた」という。ソフトウェア企業主体の新たな開発モデルを武器に参入を目指している。IT企業らしいのは、車内に搭載する「インテリジェントコックピット」。8K画質で44.6インチの「ピラーtoピラーディスプレイ」だ。ユーザーの嗜好に合わせて機能を最適化できるパーソナライズドAIエージェントサービスを提供する。
トヨタの新センチュリー(左)と「Toyota Kids mobi」
最も大きなトヨタのブースも充実していた。南展示棟の1と2を、ダイハツを含めたトヨタ系で埋め尽くした。最も目を引いたのはセンチュリーコーナーだ。「最高峰」にして「別格」のクルマというセンチュリー。黒塗りの皇室御用達車とのイメージを完全に払拭する仕上がりになっていた。そのほか、レクサスのコンセプトスポーツカーも出展していた。様々な挑戦的な出展もあったが「Toyota Kids mobi」は特に面白かった。子ども専用の「Aiパーソナルモビリティー」。自動運転のコンセプトカーで、学校などへの送迎をしながら会話もできる「相棒」のようなクルマだ。オフィシャルデーでは、豊田章男会長自ら瑶子女王殿下と片山正則自工会会長をエスコート。楽しそうに各ブースを案内して回る様子が印象的だった。(BCN・道越一郎)
瑶子女王殿下と片山正則自工会会長をエスコートするトヨタの豊田章男会長
ブリジストンの「月面探査用タイヤ(第2世代)」(右上)、
小糸製作所の「宇宙向けランプ」
モビリティーには違いないが、これは宇宙へのモビリティー。その名も「サステナブルロケット」だ。6月に北海道大樹町で離着陸実験を行った、全長6.3mの実機をそのまま展示していた。ホンモノだけに機体の汚れ具合が実機であることを物語っている。サステナブルというだけあり、ロケット機体を何度も再使用できる。メタンと酸素で構成する再生可能燃料を使用するのも大きな特徴だ。宇宙と言えば、ブリジストンが開発する月面探査用タイヤの第2世代モデルも出展されていた。空気が使えない宇宙空間、地球の200倍以上の強烈な放射線。昼夜の温度差が300度にもなる温度変化にも耐えなければならない。月面の砂地でも沈まずに走行できる必要もあるなど、条件は厳しい。空気がいらないタイヤ「AirFree」をベースに開発した。また、小糸製作所が展示していたのは、月面探査車用の「宇宙向けランプ」だ。月面でしっかり動作し、空気がなくても放熱できる筐体が特徴の一つ。もちろん夜間の超低温に耐えるヒーター、放射線の影響を受けにくいLEDを採用するなどの専用設計だ。
カワサキの「水素エンジンモーターサイクル」(右上)と「モーターサイクル用水素エンジン」
メインストリームのクルマに目をやると、驚いたのはマツダの「MAZDA VISION X-COUPE」だ。独自の二酸化炭素回収装置を搭載し、走れば走るほどCO2削減に貢献するという。微細藻類由来のカーボンニュートラル燃料と、マツダ独自のCO2回収技術「Mazda Mobile Carbon Capture」で実現する。環境問題対策では、カワサキの「水素エンジンモーターサイクル」も目を引いた。この7月に鈴鹿サーキットでお披露目したものだ。水素を燃料とするエンジンを動作させるため、電動バイクよりも乗りこなす楽しさがある。一方、排出するのは水だけという、何とも環境に優しそうなバイクだ。電動バイクは世界各国で当たり前になってきたが、今度は水素エンジンバイクが走り回るような社会になるのだろうか。
ハイテクのモーターバイクと言えば、ヤマハのモトロイド。今回は「MOTOROiD:Λ(モトロイド・ラムダ)」を世界初公開した。横から見ると「への字」のような形をした2輪車だ。今のところ人を乗せることはできないが、倒れた状態から自ら「立ち上がる」。完全に単独で自立、走行することができ、その場で回転するような動きも可能だ。AIが自ら学習し成長するといい、今後どんな進化を遂げていくのか楽しみだ。一方、スズキのMOQBA(モクバ)2は、名の通り木馬のようなパーソナルモビリティ。前回のモビショー2023に出展したMOQBAをブラッシュアップ。AIを活用し自律的な機体制御に対応できるようになった。ちょっとした段差は問題なし。階段の昇降までできるのが特徴だ。脚の部分をプラットフォームとして、バイク、荷物配送、担架、など様々な用途に活用できる。
SCSKの「EV」(右上)と「ピラーtoピラーディスプレイ」
IT業界からの参入も進んでいる。シャープもその一つ。2027年度発売を目指している電気自動車「LDK+」をひっさげて出展していた。鴻海と共同で開発した。LDK+の名前が示す通りクルマを移動手段としてだけでなく、居住空間としても捉える。車内の快適性を追求しているのが大きな特徴だ。今後、自動運転機能が組み込まれていけば、より重要になる「居住性」という「性能」を今から先取りした格好だ。販売チャネルなど今のところ決まっていないというが、家電のシャープの新たな挑戦だ。SCSKも車に取り組んでいる。「クルマの”つくり方”をソフトウェア起点で再定義」し、「わずか9カ月で完成させた」という。ソフトウェア企業主体の新たな開発モデルを武器に参入を目指している。IT企業らしいのは、車内に搭載する「インテリジェントコックピット」。8K画質で44.6インチの「ピラーtoピラーディスプレイ」だ。ユーザーの嗜好に合わせて機能を最適化できるパーソナライズドAIエージェントサービスを提供する。
最も大きなトヨタのブースも充実していた。南展示棟の1と2を、ダイハツを含めたトヨタ系で埋め尽くした。最も目を引いたのはセンチュリーコーナーだ。「最高峰」にして「別格」のクルマというセンチュリー。黒塗りの皇室御用達車とのイメージを完全に払拭する仕上がりになっていた。そのほか、レクサスのコンセプトスポーツカーも出展していた。様々な挑戦的な出展もあったが「Toyota Kids mobi」は特に面白かった。子ども専用の「Aiパーソナルモビリティー」。自動運転のコンセプトカーで、学校などへの送迎をしながら会話もできる「相棒」のようなクルマだ。オフィシャルデーでは、豊田章男会長自ら瑶子女王殿下と片山正則自工会会長をエスコート。楽しそうに各ブースを案内して回る様子が印象的だった。(BCN・道越一郎)






