Chatwork、フリープランのメッセージ閲覧「無制限」から「40日以内」変更でどうなる?

レビュー

2022/11/14 18:30

 Chatwork社が提供するコミュニティツール「Chatwork」は、顧客やクライアントなどとのやり取りで指定されることもあり、使ったことのあるユーザーは少なくないだろう。利用用途に応じて無料で使えるフリープラン、小規模企業やフリーランス向けのビジネスプラン、大企業向けのエンタープライズプランという3種類のプランを提供している。そんな中、フリープランの内容が2022年10月6日から変更。メッセージの閲覧が「無制限」から「直近40日以内に投稿された最新5000件のメッセージが閲覧可能」に変更された。

リモートワークでコミュニケーションツールの利用シーンが増えた(画像はイメージ)
 

2022年10月に改定されたChatworkフリープランの変更点

Chatworkフリープランの変更点

 2022年10月6日に変更されたフリープランの項目の中でも、大きな変更点は次の四つだろう。

■2022年10月6日以降のフリープランの主な変更点
・グループチャットの参加:「累計7個/ユーザー」から「無制限」に変更
・メッセージの閲覧:「無制限」から「直近40日以内に投稿された最新5000件のメッセージが閲覧可能」に変更
・メッセージの検索:「最大100件で検索オプションあり」から「最大200件で検索オプションなし」に変更
・チーム機能:「利用不可」から「利用可」に変更

 そのほかの変更でさらに詳しい内容は、Chatworkヘルプの「2022/09/06 - フリープラン グループチャットの利用上限数撤廃のお知らせ ‐ ヘルプ | Chatwork」から確認してほしい。

 上記四つの変更は、ユーザーにとって良い変更点(ポジティブ)と悪い変更点(ネガティブ)の両面がある。順番に解説していこう。
 

ポジティブな変更点

グループコミュニケーションが可能(画像はイメージ)

 ポジティブな変更点は、グループチャットの参加が無制限になったことと、チーム機能が利用できるようになったことの二つ。

 グループチャットとは、簡単に言うと1対1の個人間チャット以外のチャット機能である。具体的には3人以上の複数ユーザーでコミュニケーションを取る場合に使う機能である。

 Chatworkでは、3人以上でコミュニケーションを取る場合、グループチャットを作成する。2022年10月5日以前のフリープランでは、グループチャット機能が累計7個までの利用に限られていた。

 他のコミュニケーションツールを利用した経験のある人や、LINEなどのグループチャットを利用している人なら分かると思うが、グループチャットの上限7個というのは、すぐに到達してしまう可能性が高い。

 これが10月6日以降は無制限で利用できるため、グループチャットの累計数を気にする必要がなくなった。コミュニケーションが取りやすくなったので、歓迎すべき変更内容である。

 次のチーム機能とは、グループよりも大きな組織で管理するための機能である。チーム機能を使えば、人単位だけでなくグループ単位で管理するなど、より細かく管理、運営することが可能になる。Chatworkのフリープランでチーム機能が利用できるのも便利でポジティブな変更点である。
 

ネガティブな変更点

メッセージ閲覧が40日以内に変更(画像はイメージ)

 一方で、メッセージの検索数の変更は、ポジティブとネガティブの両面がある。検索結果が最大100件から200件に変更した点は、当然、ポジティブである。しかし検索オプションが使えなくなったため、単純にキーワード検索が主な検索方法になった。

 そして、今回の変更点でインパクトが最も大きいのが、メッセージの閲覧が「無制限」から「直近40日以内に投稿された最新5000件のメッセージが閲覧可能」になった点である。

 40日以降のメッセージを閲覧したい場合、ビジネスプランかエンタープライズプランに変更する必要がある。

 メッセージの閲覧期間の制限は影響が大きく、フリープランでChatworkを利用する場合、重要な内容のやりとりで使うのは難しくなり、簡単な報連相や進捗確認、雑談に近い程度のコミュニケーションがメインにならざるを得ないのではないか。
 

Chatworkフリープランの今後を考える

Chatworkを使い続ける?(画像はイメージ)

 今回のフリープランの改定はメリットとデメリットの両面あるが、トータルで見た場合、メッセージの閲覧機能の変更が他の変更点の良さを消してしまっているように感じる。

 「40日間以内に投稿されたメッセージのうち5000件までしか確認できない」という変更のインパクトが大きく、「グループチャットの参加が無制限になる」「チーム機能が使えるようになる」「検索結果が最大200件まで増えた」といったポジティブな変更点が生かされないと感じる。

 Chatworkの今後の利用については、「有料プランへのアップデート」および「他のコミュニケーションツール」という二つの選択が考えられるだろう。
 

有料プランへアップグレードするべきかどうか

有料プランへアップグレードするべき?(画像はイメージ)

 40日間、5000件しか閲覧できないのは、変更前に比べて明らかに利用しづらくなった。しかし、5000件を超えたメッセージも閲覧できないだけで保存はされているため、ビジネスプランやエンタープライズプランといった有料プランに加入すれば、過去のメッセージの閲覧が可能になる。

 そこで考えるべきは、過去のメッセージがどれだけ重要かという点。例えば取引先とChatworkでやり取りを行っている場合、取引先がChatworkの利用をやめない限り、Chatworkを使い続ける必要がある。

 取引先とのやり取りの中でどうしても過去のメッセージを閲覧する必要がある場合、有料プランに変更せざるを得ないだろう。

 しかし、過去のメッセージはあまり重要なものではなく、直近のコミュニケーション程度の利用であれば、フリープランを使い続けるというのも一つの手ではある。
 

他のコミュニケーションツールへの移行

 もう一つの選択肢が、別のコミュニケーションツールに乗り換えるというもの。個人事業主やSOHOといった小規模事業運営している会社などで社内のコミュニケーションツールとしてChatworkのフリープランを利用している場合、限界が生じるかもしれない。

 そこで、Chatworkと同じように利用できる「Slack」のフリープランと比較してみよう。

 Chatwork
・グループチャットの参加:無制限で可能
・メッセージの閲覧:40日以内で最大5000件のメッセージが閲覧、検索可能

Slack
・グループチャットの参加:無制限で可能
・メッセージの閲覧:90日以内のメッセージが閲覧、検索可能

 ChatworkとSlackのフリープランを比較した場合、グループチャットはいずれも無制限である。しかし、メッセージの閲覧という点では、ChatworkよりもSlackの方が期間が少し長い。

 グループチャットをメインで使うのであれば、今のところはSlackのフリープランを選んだ方が使い勝手が良いように思える。とはいえ、ChatworkとSlackではUIの違いなども含めて使い勝手が異なるため、興味がある場合は、まず一度、両方のフリープランのツールを入れて検証してみることをおすすめする。(GEAR)
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