ベルキンのLinksysブランドから登場した、Wi-Fi 6対応のメッシュWi-Fiルータ「Velop(ヴェロップ) MX5300」は、次世代高速無線LAN規格「Wi-Fi 6」対応製品の中でも最も高価格帯な、税別価格5万円超えのハイエンド機種。本来、VelopはメッシュWi-Fiシステムなので複数台を組み合わせて使うと本領を発揮するが、現在は単体販売のみなので、ひとまず1台だけで試した。

1台で広範囲をカバーするメッシュWi-Fiルータ「Velop MX5300」

 割引幅の大きい事前予約キャンペーンがあった上、会社員のリモートワーク、学生・児童のオンライン授業、動画配信・ゲームタイトルのダウンロードなどの目的のため、無線LAN機器全般の需要が高まっており、5月半ばから、どの店舗も在庫切れ・入荷待ちとなっている。MX5300も入荷待ちで、切迫した需要は、高価格帯まで波及していると知って驚いた。

 日中はともかく、休日や平日の夜、家族全員が自宅に集まり、思い思いにWi-Fiにつないで動画やゲームに楽しむとなると、従来の非力なWi-Fi 4(IEEE 802.11n)までしか対応していない古い無線LANアクセスポイント(親機)ではつながらない、つながっても速度が出ないのは当たり前。Wi-Fi 4/5/6に準拠するハイエンド機種への買い替えは、こうした悩みを解決する最速の手段といえるだろう。

第2世代iPhone SEやAndroidの5Gスマホは「Wi-Fi 6」に対応

 Wi-Fi 6は、IEEE 802.11axの別称で、従来のWi-Fi規格に対して通信速度や安定性を高めた新しい無線LAN規格。従来の11acが「Wi-Fi 5」、11nが「Wi-Fi 4」で、既存の他のVelopシリーズがWi-Fi 5対応製品となる。

 Velop MX5300は、一つのノードで日本国内版は190平方メートル(約57坪)をカバーし、同じ帯域幅を共有する最大250個のデバイスの接続が可能。技術的な仕様として、トライバンドで最高Wi-Fi速度5.3Gbps(2.4GHz:1147Mbps/5GHz:1733Mbps/5GHz:2402Mbps)を提供し、次世代OFDMA(直交周波数分割多元接続)によって高密度シナリオで接続効率を向上して、複数のデバイスに同時高速Wi-Fi通信を実現、MU-MIMO(マルチユーザー多入力/多出力)テクノロジによって同時8台以上のデバイスでアップロード・ダウンロードが可能となっている。
 
iPhone/iPad、Android向け無料アプリ「Linksys」の
ウィザードに沿って入力するだけでお任せで簡単に設定できる

 高速無線LANに加え、五つの1ギガビッド対応イーサネットポート(WAN×1、LAN×4)を備え、高速の有線接続をサポート。基本的にWi-Fiを利用するとしても、リビングに家族が集まってそれぞれテレビ会議・オンライン授業視聴などを行う場合に備え、複数の有線LANポートがあった方が安心だ。
 
Linksysアプリから試した、速度検査の結果
(左:おまかせ設定時、右:2.4GHz接続時、ともに平日日中)

 Velopは、シリーズ共通仕様として、セットアップをスマートフォン(スマホ)/タブレット端末向けの「Linksys」アプリから行い、ウィザードに沿って入力・設定するだけで簡単に完了する。その後、各機器で、VelopのSSIDを選び、自分で決めた新たなパスワードを入力するとつながる。

ブラウザからの細かな設定で、速さも利便性も享受できる

 Velop MX5300のメリットは、本体底面に接続パスワードの記載とIoT家電やゲーム機のWi-Fi設定に便利な「WPSボタン」があり、国内メーカー製のWi-Fiルーター同様、WPS機能を使った「らくらく設定」が可能なこと。WPSボタンのないメッシュWi-Fiルータに比べ、Android TV搭載テレビ、レコーダー、エアコン、ゲーム機、各種IoT家電の設定は断然便利だ。
 
背面に4ポートの有線LANポート、底面に「WPSボタン」を搭載。
従来製品より使い勝手が高まった

 記者の自宅には、Wi-Fi 4対応のバッファロー製AOSS対応無線LANアクセスポイントと、Wi-Fi 5対応のWPS非対応ルータがある。数年前に購入した前者を使っていたときは、非常にWi-Fiの速度が遅く、明らかに接続台数オーバーで、つながらない、動画再生途中で止まるなど、Wi-F利用時にストレスを感じていた。

 メッシュWi-Fi対応の後者に置き換えたところ、安定感・速度は向上したが、簡単設定ボタンがないため、Android TV搭載テレビ・レコーダーの無線LAN設定が苦痛極まりなく(リモコンで英数字を一文字ずつ入力する作業に時間がかかる)、また2.4Ghz帯/5GHz帯を自動制御する仕様のため、2.4GHz帯の無線LANしか対応していないダイキンの無線LANアダプター内蔵ルームエアコン(Wi-Fiエアコン)のスマホ連携機能が使えず、事前に詳細な仕様を調べておけば選ばなかったと後悔していた。
 
今回のレビューにあわせて購入した、Wi-Fi 6対応のiPhone SE(第2世代)と、Velop MX5300の中箱。
なお、付属のLANケーブルは本体カラーと同じ白だが、どうしても届かなかったため、
市販の黒色のロングLANケーブルを使用した

 Velopも基本的にセットアップ・設定はおまかせで、通常、2.4Ghz帯と5GHz帯を自動制御する仕様だが、PCやタブレット端末のブラウザからアクセスすると2.4Ghz帯、5GHz帯、それぞれSSIDを設定できる。

 そこで、基本的に5GHz帯で接続するお任せ設定での接続テストを一通り行った後、新たに「2.4Ghz」と名付けた2.4Ghz帯のネットワークを設定し、WPSボタンを押してWi-Fiエアコン側の無線LAN設定を行うと、スマホアプリ「Daikin Smart APP」からエアコンのオン・オフなどが可能になった。
 
Velop MX5300を組み合わせて、ようやくダイキンのWi-Fiエアコンスマホ連携機能が使えるようになった

※エアコンの取扱説明書にはWPSボタンを利用しない方法も案内されているが、手持ちのWPS非対応ルータでは、何度試しても設定できなかった

 最大実行速度のWi-Fi 6は、デバイス側もWi-Fi 6に対応している必要があり、iPhone 11/11 Pro/11 Pro MAX、iPhone SE(第2世代)のほか、次世代モバイル通信規格「5G」に対応する今年発売の最新Androidスマホのハイエンドモデルはおおむね対応している。最新スマホ、最新のIoT家電のどちらも利用している、または近日中に最新機種に買い替え、スマートなIoTライフを満喫したい場合は、Velop MX5300は最適な1台だろう。(BCN・嵯峨野 芙美)