技術や仕組みそのものは、すでに始まっているが、いよいよ今年、本格的に普及しそうなアルファベット表記のワードを三つ挙げる。年始の今は、それぞれの用語について、しっかり理解しているケースは少ないといえるが、年末には誰でも説明できるようになるかもしれない。少なくとも、来年にはもっと浸透しているはずだ。

2020~21年に普及すると思われる最新規格

1. 「有線と変わらない」Wi-Fiの次世代規格「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」

 Wi-Fi 6はIEEE 802.11axの別称で、従来のWi-Fi規格に対して通信速度や安定性を高めた新しい無線LAN規格。2019年にすでに正式運用がスタートしており、業界団体Wi-Fi Allianceによって、Wi-Fi 6のほか、従来の11acが「Wi-Fi 5」、11nが「Wi-Fi 4」と、それぞれ別称が定められ、順次メーカー側が対応していく予定だ。
 
新表記と従来の表記(IEEE 802.11xx)の組み合わせ

 対応するWi-Fiルータをいち早く投入したバッファローやティーピーリンクジャパン(TP-Link)などは、Wi-Fi 6対応製品の特設ページを開設し、「はじめてみよう、新世代Wi-Fi 6」などとアピールしている。搭載アンテナ数などは製品によって異なるが、例えば、NECプラットフォームズが発売する「Aterm WX6000HP」の実効スループット値は業界最速4040Mbpsという。

 実効速度はデバイス側もWi-Fi 6に対応している必要がある。製品数はまだ少ないが、AppleのiPhoneシリーズは、19年9月発売の「iPhone 11/11 Pro/11 Pro MAX」からWi-Fi 6対応しており、次第に増えていくだろう。

 Wi-Fi 6対応ルーター普及のネックは、おおむね4万円超と、従来のWi-Fiルータよりも高い価格帯だが、つながらないWi-Fiほど苛立つものはない。自宅のWi-Fiルータを買い替える際は、価格よりも速さ・機能を優先して絞ろう。
 
iPhone 11が対応したので、普及する下地が整った

2. WLTC 燃費モード(市街地/郊外/高速道路モード)

 国土交通省は、自動車の燃費を示す燃費モードをこれまでの「JC08 モード」から国際的な試験法による「WLTC(ダブリューエルティーシー) モード」に切り替えると17年7月に公示した。すでに18年10月から、新型車では走行環境(市街地/郊外/高速道路)ごとの燃費を加えたWLTC モード燃費の表示が義務付けられており、今年9月1日以降は継続生産車もWLTC モード燃費の表示が義務化される。

 自動車の四つのトレンド「CASE(ケース)」のうち、筆頭の「コネクティッド」化は、クルマがインターネットにつながり、人を乗せて走る大きなスマホになるとみなすこともできる。燃費は、そうしたトレンドと少なからず関係する、環境への負荷・走行性能を示す重要な数値であり、せめて新表記の見方と、それぞれの意味は覚えておこう。
 
従来のJC08モードと、新しいWLTC モードの表示例

3. eSIM/eSIMサービス

 embedded(組み込み)SIMの略称であるeSIMの技術自体は新しいものではないが、19年7月にベータ版ながらもIIJがiPhone/iPad向けに大手キャリア以外で初めて一般消費者向けのeSIMサービスを開始し、話題となった。
 
eSIMのメリットと料金例(IIJmioの公式サイトより)

 増えつつあるeSIM対応機種なら、従来の物理的なSIMカードとは違い、所定の手続きだけで別の通信サービスが利用できるため、例えば、海外渡航時に日本で契約しているSIMカードを入れたまま現地のeSIMを契約するといった活用が可能だ。国内であっても、2回線を契約して通信料金を抑えるといったフレキシブルな活用の可能性が広がる。

 IIJのeSIMサービス(ベータ版)は、今後、正式サービスに格上げされれば、注目度アップは間違いなし。IoTやスマートホーム、車載用通信モジュールなど、影響を受けるカテゴリも多い。今回、ピックアップした三つのワードのうち、特にeSIMと従来SIMとの違いは欠かせない知識になるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)