映画館なみの迫力! ソニーのスマホ「Xperia 1」のエンタメ性能を試した

Xperia初のドルビーアトモス対応モデル

 そしてXperia 1はソニーのXperiaシリーズとして初めて、ドルビーの立体音響技術であるドルビーアトモスに対応したスマホだ。ドルビーアトモス対応のモバイル端末自体は今では珍しくないが、Xperia 1はソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントと連携して音のチューニングを細かなところまで追い込んでいる。21:9の大きな画面と連携した“画音一体”の上質な没入体験を目指したところに注目したい。

 ドルビーアトモスの機能はオン・オフを切り替えて使える。音設定をタップして「オーディオ設定」に入ると「Dolby Atmos」の詳細設定が現れる。

 タップして中に入ると、ドルビーアトモスの音声がダイナミック/映画/音楽/カスタムから選べる。この中の「映画」と「音楽」は、そのパラメータをソニーがXperia 1のため独自にチューニングしてドルビーからお墨付きをもらって搭載した味付けの効いたモードになる。
 
ドルビーアトモスの音づくりは映画と音楽でソニー独自の味付けを行っている

 ドルビーアトモスの音声は本体内蔵スピーカーによる再生だけではなく、USB type-Cと3.5mmアナログイヤホンジャックの変換アダプターを介してヘッドホンやイヤホンでも楽しめる。ソニーに提供してもらったドルビーアトモスのデモンストレーション用に製作された映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のトレーラーを視聴してみると、効果音が頭の後ろ側にぐるりと回り込むリアルなサラウンド感が得られた。目線より高い位置から物体が落ちてくる映像も、鮮明な効果音の移動感がとてもリアルだ。ドルビーアトモスならではの体験がしっかりと肉付けされている。
 
ドルビーアトモスの音声はXperia 1の内蔵スピーカーとヘッドホン端子から
出力された音声のどちらでも楽しめる

 内蔵スピーカーの音が力強く、本体を手で構えて鑑賞する距離感であれば、あまり音量を上げなくてもクリアで切れ味の良い効果音、セリフが聴こえる。どちらかと言えばチープな印象だった、スマホの内蔵スピーカーの常識を変えるものだ。もちろんアウトドアや夜間など、音漏れを避けてコンテンツを楽しみたい時にはヘッドホンやイヤホンも使えるので心配ない。筆者がこれまでに体験してきたいくつかのドルビーアトモス対応をうたうモバイル端末の中で、Xperia 1のサラウンド再生の完成度は間違いなくナンバーワンだと思う。

“長い”本体の操作性は大丈夫?

 約6.5インチの長く大きなディスプレイはエンターテインメント体験にはもってこいだが、普段使いの場合は操作がしづらくないのか気になるところだろう。

 Xperia 1は本体の横幅が約72.0mm、厚みが約8.8mmと、それぞれに現行モデルである約6.0インチのXperia XZ3(横幅約73.0mm/厚み約9.9mm)よりもわずかにコンパクトでスリム。筆者は男性にしては手が小さい方だが、Xperia 1は片手で心地よく握って操作できる。

 ただ、やはり縦方向はXperia XZ3の約158mmよりも10mm近く長い約167mmになるので、片手で本体の下側を握ると親指を画面の上まで一気に伸ばせない。Web検索やメッセージの入力は両手で操作するか、場合によっては片手モードも上手に使いこなしたい。
 
片手モードに表示を切り替えたところ

 アスペクト比率21:9の“長い”画面を上手に活用できるように「21:9 マルチウィンドウ」という機能も新設されている。こちらは画面を半々、または上下のどちらかに寄せて3対2の割合で分割して、2つのアプリを同時に表示できる機能だ。
 
21:9マルチウィンドウから分割した画面に表示したい二つのアプリを選ぶ

 3対2の割合にすると、例えば上側にYouTubeを小さい横置き16:9の映像として表示しながら、下側にも縦置き16:9の画面を同時に表示できる。例えばYouTubeを見ながら関連する情報をWebで調べるといった具合に上手に活用したい。
 
YouTubeの動画をみながら内容をWebブラウザで調べるなど、
大画面を活かしたいろいろな使い方が広がる

 本体のサイズについて一つ注意を促しておきたいことは、Xperia 1は長辺が約167mmもあるスマホなので、ズボンのお尻のポケットに入れて持ち歩くのはさまざまなリスクを伴うだろう。なので控えた方が良いと思う。余談だが、日常生活に欠かせないアイテムであるスマホが大型化していくと、私たちの衣服やバッグのデザインにも今後は影響を与えそうだ。

他の追随を許さない完成度の高さ

 2019年は年明けからディスプレイを折りたためるスマホの話題で盛り上がっているが、Xperia 1はデザインと操作性を犠牲にすることなく、大画面ならではのリッチなエンターテインメント性を追求したバランスの良さがとても魅力的なスマホだ。ライバル他社はやみくもにスマホを大画面化したり、折りたたむ前にもっとユーザー体験を高めるためにやるべきことが沢山あるのだということを、ぜひ本機を手本にして探求して欲しいと思う。

 なお今回借りることができた試作機はまだカメラがテストできる段階まで仕上がっていなかったので、ハンドリングは行わなかった。Xperiaシリーズ初のトリプルレンズカメラでどんな写真や動画が撮れるのかも楽しみだ。ソニーの最先端が詰まったXperia 1の発売を期待して待とう。(フリーライター・山本敦)
 

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