2018年1月の日本市場参入から9か月。これまでエントリーとミドルクラスのスマートフォンを展開していたOPPOが、ついにフラッグシップモデルを投入した。世界初のスライド式カメラを採用したAndroidスマートフォン「Find X」。今年6月にワールドワイドで発表され、ギミックで実現した画面占有率93.8%のフルビューディスプレイが話題になったスマホだ。

OPPOが11月上旬以降に国内に投入するフラッグシップモデル「Find X」

「iPhone XS」や「Pixel 3 XL」より安い

 2月の「R11s」、8月の「R15 neo」「R15 pro」投入から第三弾となる「Find X」。これまでもっともハイエンドだった「R15 pro」の価格は7万円前後だったが、「Find X」は想定実勢価格は税別11万1880円と突き抜ける。しかし、世界初のカメラやセンサーをスライド式にしたギミックや、メモリ8GBという破格のスペック、独自のAI機能を搭載したカメラ、35分でフル充電が可能な急速充電システムなど、価格に見合う価値は十分に備えている。
 
世界初のギミックや、独自のAI機能を搭載したカメラ、
急速充電システムなどフラグシップモデルにふさわしい機能を備える

 「11万1880円」という価格は競合の状況を考慮すると、実はとても戦略的だ。9月21日に発売した「iPhone XS」は最安で税別11万2800円、Googleの「Pixel 3 XL」は最安で税別11万9000円。今秋に注目されている2機種より割安な価格設定になっているのだ。「iPhone XS」「Pixel 3 XL」の最安は64GBモデルなので、256GBが標準の「Find X」は価格差以上にお得なモデルといえる。
 
「11万1880円」は「iPhone XS」「Pixel 3 XL」の64GBモデルより安い

 一方で物足りなさを感じたのは、防水機能とFelicaの非対応だ。防水機能は本体内部がリフトアップする構造上、現時点では諦めなければならない要素であることは想像がつく。しかし、Felicaは最上位モデルであれば各社が搭載しているだけに、明確なディスアドバンテージといえる。OPPO Japanの鄧宇辰代表取締役によると「技術的には可能」とのこと。今回はいち早い国内投入を優先した結果、省かれたということかもしれない。先行して発売されている「R15 pro」は防水かつFelica対応なので、そちらとの棲み分けという捉え方もできる。

成長するほどに無視できなくなるファーウェイという壁

 先行して販売している機種の売れ行きについて、鄧氏は「上々」と一言述べただけだった。全国の家電量販店やECショップの実売データを集計する「BCNランキング」によると、OPPOは9月に「R15 neo」「R15 pro」がけん引する形でSIMフリースマホ市場で6.2%のシェアを獲得。ファーウェイ、ASUS、シャープに次ぐ4位に躍り出ている。硬直した市場状況を鑑みれば十分に健闘しているが、鄧氏としては年末に向けて2ケタシェアを達成している心積もりだったのかもしれない。
 
SIMフリー市場で健闘しているOPPO製品だが、
OPPO Japanの鄧宇辰代表取締役は売れ行きについて「上々」と一言だけだった

 今後、OPPOが日本でポジションを高めていくにあたって壁になってくるのは、一足先に日本市場に参入し、短期間でユーザー数を拡大させたファーウェイだ。足掛かりとなったのはコスパにすぐれるエントリーモデルだが、ここ数年はミドルやハイエンドの支持も高い。OPPOにとっては、まさにロールモデルといえる成長シナリオを辿ってきた。中国企業のブランドイメージ向上はOPPOにとっても追い風だが、同じ方向に成長していけば“キャラ被り”ともいわれることは避けられない。

 今回の「Find X」の早期投入には、このキャラ被りをOPPO側も意識して避けようとしている意思を感じた。鄧氏は「Find X」を「現在のスマホの完成形」ではなく「未来のスマホのスタート地点」と紹介したが、OPPOが日本市場に印象づけたいのは、奇抜なアイディアも製品化できる開発力だ。発表会の話題が新製品に終始するのではなく、「5Gに世界で初めて対応したスマホを2019年に投入する」など今後の方向性に波及したこともそれを裏づける。「Find X」がシェア拡大に貢献しなくても、OPPOの独自のキャラを根付かせることができれば戦略としては成功。経営陣はそれくらい割り切った期待を「Find X」にもっているのではないだろうか。(BCN・大蔵 大輔)