2026.9.21 18:00

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ロボットの中にいる“人”が接客 「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」を体験!

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 オリィ研究所が運営する「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」(東京都中央区)は、ロボットが給仕してくれるカフェだ。ただし、“AIロボットを活用しているお店”ではない。難病や障がいなどで外出することが困難な人がパイロットとして、Wi-Fiでつながったロボットを遠隔操作して接客するカフェなのだ。実際にお店でサービスを体験してきたので、その様子を紹介する。

東京駅や秋葉原駅にも近い好立地にある「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」。
客層の8割はインバウンドという

受付はロボット「OriHime-D」が対応

 同店は、JR新日本橋駅からすぐのところにある好立地。店内に入ると、まず身長120cmのロボット「OriHime-D(オリヒメディ)」が受付にいて、サービスの内容を説明してくれた。

 操作しているのは、北海道にいる脊髄性筋萎縮症(SMA)のぽったんさんだ。パイロットは100名ほど登録していて、オンライン操作なので北海道から沖縄まで全国にいるという。ぽったんさんは、「入場チケットは1ドリンクがセットになっていて、大人(12歳以上)が2200円(税込)であること」などを丁寧に説明してくれた。


 ドリンクメニューは、コーヒー、紅茶、ジュースのほか、プラス料金で季節のドリンクやアルコールなどもあり、フードメニューは別料金ではあるが、サンドイッチやカレー、スイーツなどが揃っている。茶葉から抽出しているという本格派の「アイスグリーンティラテ」(プラス275円)と「濃厚クリームチーズケーキ」(770円)を注文し、合計は3245円だった。
 
各テーブルにいるOriHime(左)、
注文した「濃厚クリームチーズケーキ」と「アイスグリーンティラテ」

 料金を払い、テーブルに着くと、受付とは別の「OriHime-D」がドリンクを運んできてくれた。さらに各テーブルには身長23cmのロボット「OriHime(オリヒメ)」がいて、話しかけてくれた。まさに、“ロボット尽くしのサービス”だ。

寝たきりの生活でも接客はできる!

 筆者のテーブルにいる「OriHime」は、岡山に住んでいるMOONさんが操作していた。脊髄性筋萎縮症II型を発症していて、普段は電動車椅子か、ベッドの上で寝たきりの生活をしているようだが、明るい声で話してくれるので、とてもそんな風には感じられない。MOONさんの声と共にロボットが身振り手振りで話をするので、まるでそばにいるような感覚になった。

 「実際の私は、手を振ることが難しいのですが、ロボットを通して相づちを打ったり、手を振ったりできるのが、すごく楽しいです」と話してくれた。

 MOONさんは、2歳のときに発症していて、主治医からこのカフェのことを教えてもらった、とのこと。

 「もともとカフェで働いてみたいという憧れがあったんです。いろいろな国のお客様とお話ができるので、自分の世界が広がり、日々の彩りになっている」という。同店は客層の8割が外国人観光客のため、英語を必死で勉強したようだ。彼女にとって同店で働くことが、「人生の喜びになっている」ことがひしひしと感じた。

 しばらくすると、「キャンディーはいかがですか?」と、飴の入った籠を持った「OriHime-D」が席に来てくれた。操作しているのは、狭心症で心臓が止まったことがあるという、みくりさんだ。
 
キャンディーをもってきてくれた「OriHime-D」

 彼女は、店内にあるバーカウンターで、ママとして日本酒の飲み比べサービス「OrySNACK(オリィスナック)」(※完全予約制)も担当しているという。

 「日本酒について勉強しました。お酒の合間には、おつまみと共に人生のお話もしています」と話してくれた。生死をさまよったことのある彼女なら、深い人生観が聞けそうだ。
 
日本酒の飲み比べサービス「OrySNACK」(完全予約制)

遠隔操作でコーヒーを淹れるテレバリスタ

 テレバリスタのロボット「OriHime×NEXTAGE(ネクステージ)」がコーヒーを淹れるサービスは、毎週月、水、土曜日に行われている。

 ちょうどコーヒーを淹れていたので、見学をさせていただいた。操作しているのは、身体表現性障害と診断されて、外出が困難だというさえちゃんだ。

 このロボットは、もともと細かな作業を行う手先の器用なタイプではあるが、遠隔操作でフレンチプレスのコーヒーメーカーに挽いた豆をこぼさず入れたり、お湯を注いだりする様子は、まさに神業だと感じた。
 
テレバリスタ「OriHime×NEXTAGE」

 さえちゃんは病気を発症してから15年間は家に引きこもっていたが、同店でパイロットを募集していることを知り、応募したという。

 「初めは人と接するのが怖かったのですが、みなさん優しいので、だんだん話すのが楽しくなりました。最近は、生身の方でもリハビリを始めて、外に出てみようという意欲が湧いてきました」と話してくれた。同店で働く経験によって、心が前向きになっている人が多いようだ。
 
OriHimeを操作して接客をしてくれたMOONさん
(公式サイトより)

 今回、ロボットによる接客を体験して感じたのは、「ロボットと触れ合えたこと」以上に、「“その中にいる人たち”と心の交流ができたこと」が、かけがえのない喜びだったということだ。

 特にパイロットのみなさんは、この場所が大好きで、“楽しみながら働いている人たち”ばかりなので、接客が丁寧で温かいのだ。今後も、こういった移動困難な方々の手となり足となるロボットが進化していき、いろいろな可能性が広がることを心から願うものだ。(加藤弓子)

店舗情報
分身ロボットカフェ DAWN ver.β
東京都中央区日本橋本町3丁目8-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3(1F)
営業時間:11~19時
TEL : 03-3527-2136
https://dawn2021.orylab.com/
※完全予約制の「OriHimeダイナー利用(パイロットの卓上接客の体験。お食事、ドリンク付き)」や日本酒が楽しめる「OrySNACK」などのサービスもある
※2027年夏に横浜店がオープン予定
写真ギャラリー

加藤 弓子

Yumiko Kato

ライター・コラムニスト。明治大学文学部演劇学専攻卒業。フードビジネス会社や出版社で広報を経てライターに転身。夕刊フジ、アエラデジタル、All Aboutなどで執筆。

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