撤退で消えるソニーのBDレコーダー、TVS REGZAに続き――踏ん張るパナに残存者利益はあるのか【道越一郎のカットエッジ】
ソニーがBDレコーダー(レコーダー)から撤退した。2月9日、2月以降順次全モデルの出荷を終了すると発表。後継機種もないという。流通在庫限りで販売は終息する。撤退の理由として同社は「動画配信サービスの普及、見逃し配信コンテンツの増加といった影響で、レコーダーによる録画需要が大きく減少しているという市場環境、さらに、今後の市場の成長性を鑑みた結果」としている。同社は03年、世界初のBDレコーダー「BDZ-S77」を発売。06年にはPlayStation 3にBD再生機能を搭載するなどで、BD市場をリードしてきた。昨年1月には、すでにBDメディアからの撤退を発表。BD市場をけん引してきた「主役」が市場から消えることになった。BDプレーヤーの販売は継続するとしている。レコーダーといえば先月、TVS REGZAが撤退を発表したばかり。日本のレコーダー市場はどこへ行くのか。全国2400の家電量販店やネットショップの実売データを集計する、BCNランキングで明らかにする。
レコーダーのメーカー別販売台数指数
レコーダー市場は縮小に次ぐ縮小が続いている。23年1月の販売台数を100とする指数では、この1月は60.3と4割減。月次で見ても毎月前年比マイナスで推移している。しかしメーカー別の動きでは濃淡が激しい。ソニーは24.6。販売台数は4分の1になった。先にギブアップしたTVS REGZAは、9.2と10分の1以下だ。逆にトップシェアメーカーのパナソニックは87.2。1割強の減少でとどまっている。TVS REGZAやソニーのシェアをどんどん奪っていった結果だ。シャープも68.2と3割強の減少で食らいついている。しかし、ソニーの撤退理由にあるとおり、今後の市場成長の可能性を考えると望みは薄い。そもそもレコーダー市場は、ほぼ日本固有の市場。海外の量販店を訪れると、プレーヤーはあってもレコーダーはないというのが普通だ。ケーブルテレビなどで選択肢が多く、過去の番組を録画して観るまでのニーズがなかったからだ。ネット動画の普及によって、日本も結果的に同じような状況になってきた。テレビにHDDをつなげば録画できることもあり、レコーダー需要を再活性化させるには、製品の性格を抜本的に変えない限り難しいだろう。
レコーダーの販売前年比と平均単価
パナソニックやシャープに残存者利益はあるのだろうか。この1月、パナソニックの販売台数シェアは、60.3%と過去最高を記録。一人勝ちの状態に近づいている。ライバルシャープは31.4%で続いているものの、同社の製品はパナソニックからのOEM提供を受けていると言われている。実質的にはパナソニックの独壇場だ。特にこの1月は、パナソニックのシェアが跳ね上がった。同社の年末年始向けの4万円台(税抜き以下同)の低価格モデル「DMR-4TS204S」が突出して売れたためだ。これによって、パナソニック製品の平均単価は、12月比で12.4%も下落し、市場全体の平均単価も7.4%引き下げた。逆に販売台数は伸びた。1月の販売前年比は全体で台数93.7%、金額96.9%。いずれもマイナスながら、24年6月以来、久々に台数、金額揃って1桁減にとどまった。パナソニックの平均単価は通常6万円台後半。1月のセールで4万円台の製品を投入して前年並みに近づいた、という構図だ。市場は縮小を続けてはいるが、まだレコーダー需要は一定水準で残っている。あとは、このあたりの価格帯の製品でしっかり利益を維持できれば、パナソニックに、ある程度の残存者利益をもたらすだろう。ちなみに白旗を掲げたTVS REGZAもソニーも平均単価は9万円前後。末期には高価格帯モデルに絞り込んでいた。
レコーダーのメーカー別販売台数シェア
2000年代初頭、HD DVDとBDの覇権争いで見事に勝ち残ったソニー陣営。ビデオテープ時代、VHS対ベータの規格争いで破れたソニーは、BDの勝利で雪辱を果たした。ネット経由の動画視聴が当たり前になった現代においては「メディアの規格争い」自体に意味がなくなり、単なる歴史の1ページに過ぎなくなってしまった。ソニーは先月、テレビ事業を切り離し、中国・TCLとの合弁会社に移管すると発表した。新会社でのソニーの持ち株比率は49%。主導権はTCL側にある。ソニーでは、レコーダー撤退との関連性はないとしている。しかし、大きな時代の流れの中で、ソニーはハードウェア、特に民生用製品と距離を取る戦略に舵を切った、と言えるだろう。(BCN・道越一郎)
東京・品川のソニー本社
レコーダー市場は縮小に次ぐ縮小が続いている。23年1月の販売台数を100とする指数では、この1月は60.3と4割減。月次で見ても毎月前年比マイナスで推移している。しかしメーカー別の動きでは濃淡が激しい。ソニーは24.6。販売台数は4分の1になった。先にギブアップしたTVS REGZAは、9.2と10分の1以下だ。逆にトップシェアメーカーのパナソニックは87.2。1割強の減少でとどまっている。TVS REGZAやソニーのシェアをどんどん奪っていった結果だ。シャープも68.2と3割強の減少で食らいついている。しかし、ソニーの撤退理由にあるとおり、今後の市場成長の可能性を考えると望みは薄い。そもそもレコーダー市場は、ほぼ日本固有の市場。海外の量販店を訪れると、プレーヤーはあってもレコーダーはないというのが普通だ。ケーブルテレビなどで選択肢が多く、過去の番組を録画して観るまでのニーズがなかったからだ。ネット動画の普及によって、日本も結果的に同じような状況になってきた。テレビにHDDをつなげば録画できることもあり、レコーダー需要を再活性化させるには、製品の性格を抜本的に変えない限り難しいだろう。
パナソニックやシャープに残存者利益はあるのだろうか。この1月、パナソニックの販売台数シェアは、60.3%と過去最高を記録。一人勝ちの状態に近づいている。ライバルシャープは31.4%で続いているものの、同社の製品はパナソニックからのOEM提供を受けていると言われている。実質的にはパナソニックの独壇場だ。特にこの1月は、パナソニックのシェアが跳ね上がった。同社の年末年始向けの4万円台(税抜き以下同)の低価格モデル「DMR-4TS204S」が突出して売れたためだ。これによって、パナソニック製品の平均単価は、12月比で12.4%も下落し、市場全体の平均単価も7.4%引き下げた。逆に販売台数は伸びた。1月の販売前年比は全体で台数93.7%、金額96.9%。いずれもマイナスながら、24年6月以来、久々に台数、金額揃って1桁減にとどまった。パナソニックの平均単価は通常6万円台後半。1月のセールで4万円台の製品を投入して前年並みに近づいた、という構図だ。市場は縮小を続けてはいるが、まだレコーダー需要は一定水準で残っている。あとは、このあたりの価格帯の製品でしっかり利益を維持できれば、パナソニックに、ある程度の残存者利益をもたらすだろう。ちなみに白旗を掲げたTVS REGZAもソニーも平均単価は9万円前後。末期には高価格帯モデルに絞り込んでいた。
2000年代初頭、HD DVDとBDの覇権争いで見事に勝ち残ったソニー陣営。ビデオテープ時代、VHS対ベータの規格争いで破れたソニーは、BDの勝利で雪辱を果たした。ネット経由の動画視聴が当たり前になった現代においては「メディアの規格争い」自体に意味がなくなり、単なる歴史の1ページに過ぎなくなってしまった。ソニーは先月、テレビ事業を切り離し、中国・TCLとの合弁会社に移管すると発表した。新会社でのソニーの持ち株比率は49%。主導権はTCL側にある。ソニーでは、レコーダー撤退との関連性はないとしている。しかし、大きな時代の流れの中で、ソニーはハードウェア、特に民生用製品と距離を取る戦略に舵を切った、と言えるだろう。(BCN・道越一郎)





