【Windows 10 EOS後の市場をどう動かす?・8】Windows 10のサポート終了(EOS)から約2カ月。企業や個人ユーザーの移行は進んでいるものの、依然として旧環境を使い続けるケースも少なくない。セキュリティーリスクや互換性問題を回避し、次世代のPC体験を手にするためには、Windows 11への移行が不可欠。日本AMDの関路子副社長に、EOS後の市場動向、Ryzen AI搭載PCの強み、Copilot+ PCの可能性、次世代OS戦略について聞いた。(BCN・佐相 彰彦)
関路子
代表取締役副社長
クライアント ビジネスユニット
ビジネスディベロップメント ディレクター & APJ lead
関副社長(以下、敬称略) 多くの方がすでにWindows 11へ移行していますが、2025年10月に公式サポートが終了した後も、依然として多くの企業や個人の方々がWindows 10を利用し続けているのが現状です。ユーザーが移行に対して慎重になる理由は、ハードウェア要件の厳しさ、アプリケーションの互換性に関する懸念、安定性やコストに対する不確実性などが挙げられます。
しかし、Windows 10 を使い続けることで、セキュリティーの脆弱化や新機能の提供停止、互換性トラブルの増加など、さまざまなリスクが高まっています。今後の安全性と将来への備えのためにも、Windows 11への移行が不可欠です。
――EOS後の市場変化をどう見ていますか。
関 非常に重要な転換点と捉えています。Windows 11は、AIアクセラレーター技術を搭載した「AMD Ryzen AIプロセッサ」など、最新のハードウェアアーキテクチャを最大限に活用できるよう設計されています。ユーザーがアップグレードすることで、セキュリティーの強化はもちろん、AMD搭載システムの持つ最新のパフォーマンスと省電力性を最大限に引き出すことが可能になります。
関 移行を加速するため、当社はマイクロソフトやOEMパートナーと協力し、幅広いフォームファクターや価格帯でWindows 11対応システムを展開しています。「AMD Ryzen AI 300シリーズ プロセッサ」は、Microsoft CopilotなどのWindows 11の機能に最適化されており、クリエイティブ用途からコラボレーションや生産性向上まで、応答性、安全性、省電力性に優れた体験を実現します。
さらに「AMD Ryzen 200シリーズ プロセッサ」では、さまざまなパフォーマンスや価格帯を用意することで、より幅広いユーザー層にAI体験を提供しています。超薄型ノートPCから手頃な価格のモデルまで、用途やニーズに応じた最適なパフォーマンス、効率性、コストを実現しています。
「幅広いユーザー層にAI体験を提供する」と話す
関副社長
関 12月中旬から秋葉原の大手家電量販店で、主要PCメーカーと共同でCopilot+ PCの体験イベントを実施しています。このイベントでは、AMD Ryzen AIテクノロジーを搭載したWindows 11対応Copilot+ PCの先進機能をユーザーに体感いただけます。また、お客様により多くご利用いただくため、販売店様と連携した購入特典キャンペーンなど、マイクロソフトと共同でさまざまなマーケティング策も講じていきます。
関 当社は、EOSなどの重要なライフサイクルの節目においてもユーザーをしっかりとサポートすることをお約束します。マイクロソフトやレノボ、HP、デル・テクノロジーズ、ASUSなどのOEMパートナー各社と連携し、タイムリーなEOS情報の提供、Windows 11対応システムへのスムーズな移行支援、お客様のニーズに応じたサポート体制を整えています。
関 今後のOS戦略については、エッジ側でのインテリジェンス強化が一層重視され、従来の受動的なコンピューティングから、AIを活用した能動的で先進的なユーザー体験への転換が進むと考えています。これにより、OSとシリコンチップの連携がさらに深まり、オンデバイスAI、コンテキスト認識、個々のユーザーに合わせたワークフロー最適化といった機能が標準装備となるでしょう。
OSの進化とシリコン技術の革新をシームレスに連携させることが、今後の大きな成長機会だと捉えています。当社は、その実現に向けて最適なポジションにあります。最新の「Ryzen AIプロセッサ」や「XDNA NPUアーキテクチャ」により、従来は不可能だったAI体験をすでに提供しています。
一方で、OSがより高度化・知能化することで、ユーザーからの信頼性の確保、プラットフォームのオープン性、開発者の利便性維持といった新たな課題も生じます。ですので、マイクロソフトなどのエコシステムパートナーと連携し、今後のOS進化がAMDプラットフォーム全体でセキュリティー、インクルージョン、パフォーマンス最適化が実現できるよう、引き続き取り組んでいきます。
関 PC市場の長期的な成長性については、今後も大きな期待を持っています。変化しているのは、ユーザーが求める「価値」のあり方です。従来のような単なる生産性向上のためだけでなく、ハイブリッドワークやAIを活用したコラボレーション、さらには没入型のコンテンツ制作やゲーミングを実現できるプラットフォームへの投資へとユーザーの関心が広がっています。
――市場が変化する中で、どのような取り組みを行っていくのですか。
関 このような市場の変化は、AMDの強みを最大限に発揮できる領域です。「AMD Ryzen AIプロセッサ」搭載のプレミアム薄型ノートPCから、「AMD Ryzen 9000シリーズ」によるクリエーターやゲーマー向けの高性能デスクトップ、「AMD Ryzen Threadripperプロセッサ」を搭載した研究者向けワークステーションまで、製品ロードマップは、よりパーソナライズされ、効率的でインテリジェントなコンピューティングへと進化する市場のニーズにしっかりと応えています。
もちろん、マクロ経済の影響や製品刷新サイクルの変化、新たなAI機能に対応するためのソフトウェア環境の整備など、今後もさまざまな課題が予想されます。しかし、強固なOEMパートナーとの連携、多くの製品ポートフォリオ、そして絶え間ない技術革新を通じて、PC市場はこれから新たな成長段階へと進んでいくと考えています。
代表取締役副社長
クライアント ビジネスユニット
ビジネスディベロップメント ディレクター & APJ lead
Windows 10 EOSで移行は「不可欠」
――まず、Windows 10のサポート終了(EOS)をどう捉えていますか。関副社長(以下、敬称略) 多くの方がすでにWindows 11へ移行していますが、2025年10月に公式サポートが終了した後も、依然として多くの企業や個人の方々がWindows 10を利用し続けているのが現状です。ユーザーが移行に対して慎重になる理由は、ハードウェア要件の厳しさ、アプリケーションの互換性に関する懸念、安定性やコストに対する不確実性などが挙げられます。
しかし、Windows 10 を使い続けることで、セキュリティーの脆弱化や新機能の提供停止、互換性トラブルの増加など、さまざまなリスクが高まっています。今後の安全性と将来への備えのためにも、Windows 11への移行が不可欠です。
――EOS後の市場変化をどう見ていますか。
関 非常に重要な転換点と捉えています。Windows 11は、AIアクセラレーター技術を搭載した「AMD Ryzen AIプロセッサ」など、最新のハードウェアアーキテクチャを最大限に活用できるよう設計されています。ユーザーがアップグレードすることで、セキュリティーの強化はもちろん、AMD搭載システムの持つ最新のパフォーマンスと省電力性を最大限に引き出すことが可能になります。
Ryzen AI×Copilotで体験が進化
――PCの買い替えを促進するための主なセールスポイントは何ですか。関 移行を加速するため、当社はマイクロソフトやOEMパートナーと協力し、幅広いフォームファクターや価格帯でWindows 11対応システムを展開しています。「AMD Ryzen AI 300シリーズ プロセッサ」は、Microsoft CopilotなどのWindows 11の機能に最適化されており、クリエイティブ用途からコラボレーションや生産性向上まで、応答性、安全性、省電力性に優れた体験を実現します。
さらに「AMD Ryzen 200シリーズ プロセッサ」では、さまざまなパフォーマンスや価格帯を用意することで、より幅広いユーザー層にAI体験を提供しています。超薄型ノートPCから手頃な価格のモデルまで、用途やニーズに応じた最適なパフォーマンス、効率性、コストを実現しています。
関副社長
秋葉原で体験イベントや購入特典も
――キャンペーンやプロモーションがあれば教えてください。関 12月中旬から秋葉原の大手家電量販店で、主要PCメーカーと共同でCopilot+ PCの体験イベントを実施しています。このイベントでは、AMD Ryzen AIテクノロジーを搭載したWindows 11対応Copilot+ PCの先進機能をユーザーに体感いただけます。また、お客様により多くご利用いただくため、販売店様と連携した購入特典キャンペーンなど、マイクロソフトと共同でさまざまなマーケティング策も講じていきます。
OEM連携で円滑な移行を支援
――EOSに関する情報発信やサポート体制の強化に向けて、どのような策を実施されていますか。関 当社は、EOSなどの重要なライフサイクルの節目においてもユーザーをしっかりとサポートすることをお約束します。マイクロソフトやレノボ、HP、デル・テクノロジーズ、ASUSなどのOEMパートナー各社と連携し、タイムリーなEOS情報の提供、Windows 11対応システムへのスムーズな移行支援、お客様のニーズに応じたサポート体制を整えています。
エッジ側でのインテリジェンス強化が重要
――次世代OSについて期待している点を教えてください。関 今後のOS戦略については、エッジ側でのインテリジェンス強化が一層重視され、従来の受動的なコンピューティングから、AIを活用した能動的で先進的なユーザー体験への転換が進むと考えています。これにより、OSとシリコンチップの連携がさらに深まり、オンデバイスAI、コンテキスト認識、個々のユーザーに合わせたワークフロー最適化といった機能が標準装備となるでしょう。
OSの進化とシリコン技術の革新をシームレスに連携させることが、今後の大きな成長機会だと捉えています。当社は、その実現に向けて最適なポジションにあります。最新の「Ryzen AIプロセッサ」や「XDNA NPUアーキテクチャ」により、従来は不可能だったAI体験をすでに提供しています。
一方で、OSがより高度化・知能化することで、ユーザーからの信頼性の確保、プラットフォームのオープン性、開発者の利便性維持といった新たな課題も生じます。ですので、マイクロソフトなどのエコシステムパートナーと連携し、今後のOS進化がAMDプラットフォーム全体でセキュリティー、インクルージョン、パフォーマンス最適化が実現できるよう、引き続き取り組んでいきます。
PC市場は新たな成長段階へ
――今後のPC市場については、どのように見ていますか。関 PC市場の長期的な成長性については、今後も大きな期待を持っています。変化しているのは、ユーザーが求める「価値」のあり方です。従来のような単なる生産性向上のためだけでなく、ハイブリッドワークやAIを活用したコラボレーション、さらには没入型のコンテンツ制作やゲーミングを実現できるプラットフォームへの投資へとユーザーの関心が広がっています。
――市場が変化する中で、どのような取り組みを行っていくのですか。
関 このような市場の変化は、AMDの強みを最大限に発揮できる領域です。「AMD Ryzen AIプロセッサ」搭載のプレミアム薄型ノートPCから、「AMD Ryzen 9000シリーズ」によるクリエーターやゲーマー向けの高性能デスクトップ、「AMD Ryzen Threadripperプロセッサ」を搭載した研究者向けワークステーションまで、製品ロードマップは、よりパーソナライズされ、効率的でインテリジェントなコンピューティングへと進化する市場のニーズにしっかりと応えています。
もちろん、マクロ経済の影響や製品刷新サイクルの変化、新たなAI機能に対応するためのソフトウェア環境の整備など、今後もさまざまな課題が予想されます。しかし、強固なOEMパートナーとの連携、多くの製品ポートフォリオ、そして絶え間ない技術革新を通じて、PC市場はこれから新たな成長段階へと進んでいくと考えています。





