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「スマホは最新機種じゃなくていい」変わる消費者意識 好調の中古スマホ事業展開のゲオ 安心のデータ消去工程を公開 リユース軸に売上高1兆円目指す

経営戦略

2025/10/02 11:05

 ゲオホールディングスは9月29日、グループ会社ゲオストアの「ゲオモバイル ゲオ中古スマホ事業」について、プレスツアーを都内のワールドモバイル東京プロセスセンターで行った。ツアーでは、代表取締役社長らによる事業展開に関する説明、中古スマホが買い取られてから、店頭に並ぶまでに行われるデータ削除、クリーニング、検品の模擬シミュレーションなども実施した。

ゲオ 中古製品の検品シミュレーションを公開

好調のゲオモバイル 計画前倒しで店舗数目標を達成 販売員育成などに注力

ゲオストア代表取締役社長 濱野敏郎氏
(「濱」の字はまゆはま)
 
直近のゲオモバイルの動向
(提供資料から引用)

 登壇したゲオストア代表取締役社長の濱野敏郎氏によると、中古スマートフォンの販売などを手掛けるゲオモバイルは、2025年7月には全国で800店舗を達成。計画を前倒しての達成だったとし、かなりの勢いだという。

 そんなゲオモバイルの強みは、「スマホ販売員」「ワンストップサポート」「商品の安定的な供給力」「セキュリティー・クリーニング」の4点にある。
 
ゲオモバイルの掲げる四つの強み

 「最大の強みは『人』」というゲオモバイルは、特に店頭で接客するスマホ販売員の育成に力を入れている。ゲオでは現在、モバイルアドバイザー、モバイルスペシャリストの2段階の資格制度を採用。専門知識を問う知識テストと説明力やユーザーへの傾聴力、接客マナーなどを問う接客ロールプレイングなどを経て資格を取得できるシステムだ。今後は、この資格制度について、2026年3月時点で2300人の有資格者を育成したい考えだという。
 
知識テストの一例
 
接客ロールプレイングも実演を行った

政府機関でも利用される安心のソリューションを採用 買取品のデータ消去工程を公開

 このほか、中古スマホの購入から格安SIM契約、初期設定、データ移行までをその場でできる点、毎日数千台規模で在庫補充を行っている供給力など、さまざまな特徴があるが、シミュレーションが公開されたのは「セキュリティー・クリーニング」の部分。中古スマホを売買したいユーザーにとっては非常に気になるところだろう。

 ゲオモバイルでは、各店舗と国内5カ所の拠点で作業を行う。その際は、海外の政府機関でも採用されている「Blancco社」のデータ消去ソリューションを採用し、1台ずつクリーニングと検品を行うなど、安全性と品質には特に配慮している。
 
Blancco社のソリューションを採用

 Blancco社のソリューションは、非常にわかりやすいもので、ディスプレーがしっかりと使えるかの確認など、画面に従って工程を進めていく。その後は、全体をきれいにふき取って、隙間のごみや汚れを手作業で取り除き、検品は終了となる。一台にかかる時間はおおよそ5分ほどで、一度に10台ほどのデータ削除なども可能だという。
 
データ削除、クリーニング、検品を行うスペース
 
色味やバックライト、タッチの反応テストなどを画面表示に従って行っていく
 
最後には全体をふき取り、細かいところのごみを取り除く
 
複数台接続し、データ処理を行う
 
出荷用の棚に移して作業は完了
こうしてわたしたちの元に届けられる

40年の節目 「セカンドリテイリング」に社名変更 グループ売上高1兆円をめざす

 さらにツアーでは、濱野氏がゲオモバイルの今後の事業展開について説明した。

 濱野氏は大きなトピックスとして、ゲオホールディングスが2026年10月1日に社名をセカンドリテイリングに変更することに触れた。リユースを軸とした事業展開で成長を加速させ、2035年にグループ全体で売上高1兆円、5000店舗体制を目指すという。

 中でも中古スマホ事業のゲオモバイルは、都心部や本社のある愛知県、そして北海道では販売数が多い。また、地方でも通信費の見直しのニーズが高まっており、最近では岩手県や佐賀県、徳島県での契約率も上昇している。こうした状況を受け、都市部から地方まで展開を続け、今後はさらに1000店舗を目指していく。
 

データからもわかる中古スマホの人気ぶり 最新機種は選ぶ理由になりにくいことも影響か

 中古スマホ事業が活況であることは、データからも裏付けられている。MM総研による調査では、2024年度の中古スマホ販売台数は前年比17.7%増の321.4万台だったという。台数は、6年連続で過去最高を記録しており、この成長は法人需要や海外旅行者の購入増も影響して、今後も続くものだと予測されている。

 ゲオのゲオ事業本部モバイル販売推進部ゼネラルマネージャー・藤巻亮氏からは独自調査に関するデータも公表された。
 
ゲオ モバイル販売推進部ゼネラルマネージャー 藤巻亮氏

 ゲオの独自調査「スマホ選びに関する意識調査」では、全国の20~60代の男女550人から回答が得られ、必ずしも最新機種が最適解ではないという一般スマホユーザーの意識も垣間見えた。
 
7割が「8万円以上は高すぎる」と回答、
「最新機種であること」を選ぶ理由として挙げたのはわずか4.8%だった
 
約半数が最新機種でないスマホを購入した経験があり、
最新機能ではオーバースペック感があるとの回答も
 
首位はRedmi 12 5G。
iPhone SEやiPhone 13も人気だ

 調査では、回答者がスマホを選ぶ決定打として「最新機種であること」と答えたのごくわずか。そして、ゲオのスマホ販売数ランキングを見ても2025上半期は、ホームボタン付きの「iPhone SE 第3世代」や手ごろな性能で5Gにも対応する「iPhone 13」が根強い人気を誇っている。データは、消費行動が「最新機種主義」から、ちょうどいい性能と価格を求める「自分軸」へと変化していることを示唆している。


※本稿初出時、ゲオホールディングスの新社名を「セカンドリテーリング」と表記していましたが、正しくは「セカンドリテイリング」です。お詫びして訂正いたします。
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