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大容量の方が高い!?スーパーの「セールプライス」で「損をしない」ようにしよう!

販売戦略

2021/08/14 18:30

 【家電コンサルのお得な話・53】 先日、自宅の近くにあるスーパーマーケットに出掛けたときのこと。衣類用の液体洗剤を購入しようと売り場に行くと、同一ブランドで1440gの大容量と通常容量の690gのものが並んでいた。どちらの商品にもセールプライスが貼られており、大容量は「黄色ベースに赤字のセールプライス」、通常容量は「白色ベースで約1カ月間の期間限定プライス」と種類の違うものだった。この場合、どちらを選ぶべきか。

スーパーで見かけた大容量のチラシイメージ

 大容量のチラシは黄色ベースで目立ったし、普通の感覚なら「大容量の方がお得だろう」と大容量を手にしたが、念の為、スマートフォンの電卓で計算したところ、大容量は1g当たり0.312円、通常容量は同0.273円で、1割以上も通常容量の方が安かったのである。

 自分の計算が間違っているのではないかと思い、セールプライスをよく見てみると、判別しにくい小さな文字で「10g当たりの金額」が両方のプライスに記載(図のイメージ参照)されていた。計算通り大容量の方が高い価格だったのだ。

 また、これに加えて総額表示になってから税込表示が義務付けられているが、これも図のように税込価格の方が小さく表示され、誤認されやすい状態になっている。

 企業側の思惑として、消費者に少しでも価格を安く見せたいという気持ちはわかるし、商談の都合で「お得なはずの大容量商品の価格が結果的に高くなる」こともあるだろう。

 しかし、これらはあくまで企業側の都合で、適法な表示であっても、決して消費者目線に立っているとは思えない。おそらく、大容量の方がお得だと思い込み、割高な商品を疑うことなくカゴに入れた消費者も多いのではないだろうか?

 今回のケースだと、「意図的に消費者を欺いているのではないか」というダークなイメージがつきまとう。そもそも通常容量の期間限定価格もメーカーとの商談がベースにあるなら小売企業に低粗利の被害はないし、例え粗利を削っていても客数・点数アップなど店側のメリットにつながるはずだ。

 だとすれば、折角の同条件表示(この場合は10g当たり)をもう少し大きく表示し、わかりやすさを提供することで消費者からの信頼性を高める方が、長期的な顧客との関係を築く上でも得策だと思う。

 残念ながら現在のところ、こういった価格表示はスーパーマーケットだけでなく、ホームセンターなど、多くの小売業で行われているのが実態である。購入時にセールプライスをよく確認し、自己防衛していただきたいと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。