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企業の「後継者不在率」は57%、新型コロナで1~8月の「廃業」は前年比23.9%増

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2020/11/19 12:30

 東京商工リサーチはこのほど、企業の「後継者不在率」に関する2020年の調査結果を発表。中小企業の後継者問題が深刻になる中、「後継者不在率」は57.5%で、前年より1.9ポイント上昇した。代表者の年齢別の後継者不在率は、60代が40.4%、70代が29.1%、80歳以上が23.5%だった。前年比では60代が0.5ポイント、70代が0.2ポイント、80歳以上が0.3ポイント、それぞれ改善した。しかし、依然として代表者が高齢でも、後継者不在の企業が多い実態が浮き彫りになった。

休廃業は史上初の5万件超えも想定

 コロナ禍でビジネスモデルや労務管理の変革を迫られており、このまま後継者不在を解消できないと、事業継続の断念に追い込まれる恐れがある。

 2019年の「休廃業・解散」は4万3348社を記録した。今年は1~8月で3万5816件(前年同期比23.9%増)に達している。このままのペースが続いた場合、年間では史上初めて5万件を超える事態も想定される。円滑な事業承継は、数年の準備期間が必要とされるため、高齢の代表者で後継者が決まらない場合、日本を支える匠の技や高度な技術力を保有する中小企業の存続が危ぶまれる。

 「後継者不在」の企業の産業別は、19年は農・林・漁・鉱業が48.9%、製造業が48.3%で、二つの産業が50.0%を下回ったが、今年は10産業すべてで50.0%を上回った。

「情報通信業」の後継者不在率は75.6%

 後継者不在率が最も高かったのは、情報通信業の75.6%だった。ソフトウェア開発などIT関連業種が含まれ、業歴が浅い企業が多く代表者の年齢も比較的若いことが背景にあるとみられる。また、サービス業他は63.3%、小売業は60.7%、不動産業が59.2%で、全産業平均(57.5%)を上回った。

 後継者「有り」の7万8674社では、息子、娘などへの「同族継承」を予定する企業は5万3065社(構成比67.4%)で約7割を占めた。次いで、従業員へ承継する「内部昇進」が1万3556社(同17.2%)、社外の人材に承継する「外部招聘」が1万1727社(同14.9%)で、いずれも20%を割り込んだ。
 

「M&A」はわずか0.1%

 後継者不在の10万6573社に、中長期的な承継希望先を尋ねた。最多は「未定・検討中」の5万7253社(構成比53.7%)で、半数を超えた。事業承継の方針が明確でない、または計画できない企業が多い実態を表している。次いで、「設立・交代して浅い又は若年者にて未定」の4万1890社(同39.3%)だった。

 一方で、「会社を売却・譲渡の方針」は206社(同0.1%)、「外部からの人材招聘と資本受入の方針」は128社(同0.1%)にとどまり、第三者への承継へのニーズが依然として低いことがうかがえる。
 

 代表者の年齢別でみると、不在率が最も高いのは30歳未満の94.6%だった。創業や事業承継から日が浅く、後継者を選定する必要に迫られていないため、不在率が高い。50代までは後継者「不在」が「有り」を上回るが、60代以降は逆転する。80歳以上の不在率は23.5%にのぼっている。一般に数年かかるとされる事業承継の準備期間を加味すると、早急な対応を迫られる企業が多いことを意味している。
 

 業種別(母数20以上)でみると、不在率が最も高い(ワースト)のは、インターネット附随サービス業の90.9%で、唯一9割を超えた。このほか上位の10業種には、情報サービス業や通信業、インターネット通販を含む無店舗小売業などが並んだ。代表者の年齢が比較的若いことが影響しているとみられる。コロナ禍で成長余地を残しているこれらの業種は、新規参入の増加が予想され、後継者不在率がさらに高まる可能性がある。

 一方、熱供給業は25.0%で不在率が最も低かった。また、信用組合などが含まれる協同組織金融業が28.7%、銀行業が30.8%などと続き、金融や社会インフラを担う業種がランクインした。

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