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居酒屋の倒産件数、新型コロナの影響で過去20年の最多更新が確実に

データ

2020/09/09 18:30

 帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症の影響によって居酒屋の倒産が急増し、過去20年の最多を更新することがほぼ確実となったことを9月8日に発表した。

2020年の居酒屋の倒産件数は、2019年の161件を大幅に上回り、
ここ20年で最多となることが確実に

 焼鳥店などを含む「居酒屋」の倒産件数は、1~8月の期間で130件に達している。8月の時点で累計100件を超えたのは、2000年以降で初めて。前年同期比で3割多い現在のペースが続けば、20年における居酒屋の倒産件数は、過去最多だった19年の161件を大幅に上回り、過去20年の最多を更新することがほぼ確実となった。

 居酒屋は、17年に施行された改正酒税法による酒類価格の上昇や、人手不足に起因する人件費の高騰などから経営が行き詰まり、中小零細業者を中心に倒産するケースが相次いでいる。

 こうした状況に加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う休業や時短営業の要請を受けて売り上げが急減し、経営体力や内部留保などに乏しい中小・零細居酒屋などでは極度の経営悪化が懸念され、先行き悲観から事業継続を諦めるケースがさらに増加することが予想される。
 
倒産した居酒屋の多くが負債額5000万円未満で、約8割が中小零細。
都道府県別では東京都と大阪府が多く、東京では23区内が8割超を占める

 居酒屋の倒産を負債額別でみると、負債額5000万円未満が130件中105件を占めており、約8割が中小零細規模の事業者だった。都道府県別では、東京都と大阪府が最も多く、どちらも21件。なお、東京都では23区内の事業者が18件で、都内全体の8割超を占めている。
 
「パブ・居酒屋業態」の売上高は4月からは大きく改善したものの、
前年の水準にはほど遠い

 日本フードサービス協会が8月に発表した「外食産業市場動向調査」によれば、7月の外食市場は売上高ベースで前年比85.0%まで回復した。各店舗で営業が徐々に再開しているほか、ファストフードなどの業態におけるテイクアウト需要の伸長によって、外食市場全体は厳しいながらも回復傾向にある。

 一方で、酒類の提供を行う業態では、売上高が前年の半分に満たない水準が続いており、「パブ・居酒屋業態」における7月の売上高は前年比47.2%だった。前年比8.6%の4月と比較すると、大きく改善しているものの、前年の水準にはほど遠い状態となっている。