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出口が見えたコロナのトンネル、第2波が欧州を襲うも死者は限定的

オピニオン

2020/11/01 17:30

 新型コロナウイルス感染症の第2波がヨーロッパを襲っている。G7各国で最も深刻なのがフランスだ。Our World in Dataによると、人口100万人当たりの週次陽性者数は、10月19日週(19日~25日)で3359.7人と過去最悪。3月30日週に記録した第1波のピーク、475.4人の7倍以上も陽性者数が拡大した。

 同様に、イギリスは2188.7人で春のピークの4.4倍。イタリアが1686.6人と2.6倍、ドイツが802.1人と1.7倍で、いずれも第1波より陽性者が大幅に増えている。アメリカは、やや遅れて7月に第1波のピークを迎えたが、先週の陽性者数は1419.8人とわずかながら7月のピークを上回った。グラフを見ても、各国で急拡大している様子がよく分かる。
 

 大規模な陽性者の再拡大を受け、フランスでは10月30日から少なくとも12月1日まで、全土で外出制限の実施を決定。ドイツでも11月2日から1カ月間、部分的な都市封鎖措置の実施を決めた。G7以外では、スペインが全土で緊急事態宣言を発出。春に世界各国で起きた大規模な外出制限が再び広がりそうな情勢になってきた。しかし、春と同様の厳しい規制が必要かどうかは判断が難しい。

 一方、死者数の増加は緩やかだ。3月から4月にかけて起きた第1波でフランスは、人口100万人当たりの週次死者がピークで96.1人を記録。G7中で最も大きな被害を受けた。しかし、直近週の死者は19.2人。春に比べて陽性者数が7倍にも大幅に膨れ上がったにもかかわらず、犠牲者は春の2割にとどまっている。同様に、イギリスが18.2%、イタリアが13.8%、ドイツが15.7%。いずれも、春のピーク比で2割以下の死者数に踏みとどまっている。著しい陽性者数増加で、死者数も増加傾向にあることには違いない。死者が遅れて増える可能性も否定できず、油断できない情勢ではあるものの、春に比べればはるかに状況は改善されている。

 死者数が比較的抑えられているのは、医療体制の整備が進み治療法が徐々に洗練されてきた上、ハイリスク患者に対する集中的な治療などが奏功した結果だろう。さらに、第1波である程度の集団免疫状態が生まれているのかもしれない。新型コロナウイルスそのものの変異の影響かもしれない。要因は不明だが、陽性者数の爆発的拡大に比例した死者増になっていないことは明らかだ。
 

 日本ではどうか。G7各国に比べると100万人当たりの陽性者数、死者数ともにはるかに少ない。他国と同じグラフにすると変化が読み取れないほどだ。そこで、日本だけを取り出し引き延ばして、足元の状況の変化を確認してみた。陽性者増については日本でも同様、第1波に比べ、8月に記録した第2波の方が陽性者が多かった。8月3日週に記録した84.6人とピークを形成。その後、9月中旬に一旦ボトムを打った後、やや増加に転じている。死者数の傾向もG7各国と同様、4月のピーク時の22.0%にとどまっている。

 北半球はこれから本格的な冬を迎える。陽性者数の急拡大で予断は許さないものの、状況は春に比して着実に良くなっているのは確かだ。ワクチンや治療薬の開発も進んでいる。100年に1度の長いトンネルの出口は見えてきた。(BCN・道越一郎)

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