9月10日におけるNTTドコモの記者会見で、2020年8月以降の被害総額が約1800万円に達すると明らかになった、NTTドコモが提供するウォレットサービス「ドコモ口座」を踏み台とした一部金融機関からの不正な預金引き出し事件。ドコモ口座には、月間30万円のチャージ上限があるため、1人当たりの被害額は最大60万円。通常は、口座残高までしか引き落とせないが、定期預金を担保として口座残高を超えて引き落とされる事例も発生しており、被害額はさらに膨らむ可能性がある。

ドコモ口座のチャージ方法に応じた月間チャージ上限

 第三者による不正な預金引き出しをこれ以上増やさないためには、ドコモ口座へのチャージ(入金)を止める必要があるが、本人名義の銀行口座からドコモ口座にチャージし、現時点で正しく利用しているユーザーの利便性を損ねることにつながるため、ドコモはサービス継続を決めた。根拠は、1日1万3000件にのぼるという、銀行口座からドコモ口座へのチャージの実績だ。

 しかし、不正利用の発生が確認された銀行と、不正利用の発生は確認されていないがドコモ口座に登録可能な銀行の一部は、口座保有者の預金を保護するため、ドコモ口座へのチャージを当面の間、停止する措置を取る。真っ先に、9月8日0時からチャージを停止した大垣共立銀行に続き、ゆうちょ銀行、イオン銀行、千葉銀行、千葉興業銀行も9月11日までに新規口座登録に加え、ドコモ口座へのチャージを停止した。イオン銀行は、9月10日17時から停止済み。
 
ゆうちょ銀行・イオン銀行の告知

 不正利用の被害に対する補償は、ドコモと各金融機関が協議の上、全額補償するとしている。とはいえ、もし9月10日以降に同様の手口で被害が発生した場合、チャージ停止の判断をしなかった金融機関の責任が問われることになるだろう。

 ドコモ口座は、オンライン電子マネーで銀行口座からの入金が不可になっても、すでにチャージした分が問題なく使える。現金など、他のチャージ方法もある。仮に、サービスを一時的にでも停止すると、チャージ分の即時返金などの要望が出てしまい、むしろ影響が大きいと思われる。各銀行の判断でドコモ口座とのチャージ連携を継続するかどうか判断している現状は、セキュリティ事故への対応として正解だろう。(BCN・嵯峨野 芙美)