• ホーム
  • トレンド
  • 「au PAY マーケット」が背負った期待、名称変更のワケにあり

「au PAY マーケット」が背負った期待、名称変更のワケにあり

経営戦略

2020/07/31 17:35

 KDDIグループのauコマース&ライフが運営する総合ショッピングモール「au Wowma!」は、5月21日に「au PAY マーケット」へと名称を変更した。なぜ、前回の名称変更から1年足らずで再び変更したのか、また、どのような効果を期待しているのか。「Wowmaは独特だった」と振り返る、同社の八津川博史代表取締役社長に話を聞いた。

auコマース&ライフの八津川博史代表取締役社長

わずか10カ月で“au Wowma!”から“PAY”へ

 au PAY マーケットは、日用品、食品、ファッション、インテリア、家電など、ざまざまな商品を取り扱う事業者が集まる総合通販サイト。ポイント還元キャンペーンやクーポンなど、お得な施策も用意している。前身となる「au Wowma!」が登場したのは、2019年7月25日のこと。さらにその前身である「Wowma!」に、「au」のブランド力を付け加えた形だ。名称変更から約10カ月で、再び変更されたことになる。

 このタイミングで名称を変更した背景には、au PAYの認知度の急激な高まりがある。特に大きなきっかけになったのは、au PAYが2月10日から実施した総額70億円還元キャンペーン「誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン」だ。利用者があまりにも多かったため、期間中に2度も利用に制限をかけるルールを追加するなど、注目を集めていたのは記憶に新しい。何より、20%還元(最大還元上限3万円)という高還元率が好評だった。

 こうした勢いに乗る恰好で「au PAY マーケット」へと名称を変更したのだという。「au PAYのユーザーは、現在、およそ2300万人。キャンペーンなどのおかげでauの通信サービスを使っていない人も増えてきた。こうしたユーザーを経済圏に誘導するという狙いもある」と、経済圏を拡大する計画の一部であったと八津川社長は明かす。

 ブランド力で誘引するだけでなく、au PAYの大型還元キャンペーンで得たポイントをau PAY マーケット限定で使えるポイントに変換する際に、期間限定で1.5倍に増量する施策なども打っている。こうした取り組みについて、八津川社長は「まずはお得に利用してもらうことで、使い勝手を伝えることができる。便利だと感じてもらえれば、リピーターになってくれるはず」と期待する。

 au Wowma!から継いだ独特のポイント交換制度は消費者にとって手間に感じるかもしれない。しかし、交換するたびに増量するなら、むしろメリットになり得る。ポイントの付与と交換時の増量という2段階でお得な点も、au PAY マーケットの強みだ。

 auが展開している月額制の優遇サービス「auスマートパスプレミアム 」もリピーターの獲得に一役買う。月額499円で、au PAY マーケットで買い物をした際に送料が無料になったり、クーポンがもらえたりと豊富なオプションをそろえる。飲料水や米といった生活用品を購入するなら、一回の買い物で月額以上の送料が無料になるのでお得だ。プレミアムならこのほか、映画やドラマ、音楽なども見放題、聴き放題で楽しめる。「他にはない強み」(八津川社長)だ。

au PAY マーケットでも「Wowma!」

 そもそも以前の名称についていたWowmaには、「よろこび」「感謝」といった意味があった。名称変更によって消えたことについては「さみしい」との声もある一方、新しい名称は「分かりやすい」と好評だという。また、au PAY マーケットの名称になった際、他サービスに付けられていた“au Wowma!”も”au PAY”に置き換わった。名称としての「Wowma」は消えてしまったが、「Wowmaに込められていた思いは、しっかりと引き継いでいる」(八津川社長)という。

 成長目標などの数字は「内々にはあるが、詳しくは明かせない」とするが、新生au PAY マーケットがどこまで成長できるのかは、経済圏の居心地の良さがカギを握るだろう。(BCN・南雲 亮平)