政府の持続化給付金の支給手続きが遅れていて、中小企業や個人事業者の資金繰りがひっ迫している。約1カ月半の緊急事態宣言で休業要請に協力した店舗などは、売り上げが立たない中でも家賃や人件費の支払いが生じている。政府が推奨するキャッシュレス決済サービスの事業者間でも、加盟店の経営を楽にする「入金サイクル」を短縮化する動きが目立ってきた。

「自動精算」の入金サイクルの短縮を発表したLINE Pay

 スマートフォン(スマホ)決済サービスのLINE Payは5月28日、加盟店のキャッシュフローを円滑化するために入金サイクルの短縮に踏み切った。

 LINE Payの入金サイクルは、入金手数料が無料の「自動精算」と、1回当たり250円(6月30日まで無料)の「入金申請」の二つがある。今回見直したのは自動精算のほうで、これまでの「月末締/翌月末入金」から「月末締/翌月初3営業日入金」に変更。加盟店は約1カ月早く、売上金の受け取りが可能になる。

 新しい入金サイクルの適用は、6月分の売上入金から、すべての加盟店を対象に実施される。なお、一部の個別契約を結ぶ加盟店や複数の加盟店契約のある事業者は対象外となる。

 また、申請後に即時入金が可能な入金申請では、通常は1回当たり250円の入金手数料がかかるが、6月30日まで無料になるキャンペーンを実施している(従来の5月7日までの期間を延長)。

 LINE Payでは、新型コロナ禍で決済サービス事業者ができる対策として自動精算時の入金サイクルを短縮化することで、加盟店の事業継続に貢献したいとする。

 先に実施した入金申請の手数料無料キャンペーンでは、加盟店の多くを占める中小規模の飲食店から好評だという。開始初日に日次の申請数が施策実施前の約5倍、最も多い日で約12倍、その後も約1.5倍多い申請状況が続いているという。

 なお、PayPayやメルペイ、au PAYでも同様の施策を実施しているので、次の記事を参照してほしい。

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「空前絶後」の規模よりスピードが先

 休業を要請しておきながら、その間の手当ては待てど暮らせど支給されない。お願いベースだから休業は自己責任というのは、あまりにも酷だ。

 「空前絶後」の規模のアピールではなく、運転資金を手元に届けるスピードが求められている。政府の処理手続きの煩雑さやスピードの遅さは、飲食店など中小事業者の資金繰りを悪化させ、救えるはずの店舗が黒字倒産してしまう可能性すらある。

 民間の決済サービス事業者が入金サイクルを短くする動きは、こうした加盟店にとって大きな助けになるはずだ。また、加盟店にとっても今後、サービスを選択する際の重要な項目になるだろう。(BCN・細田 立圭志)