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新しい生活様式で推奨の「キャッシュレス決済」、経営を楽にする「入金サイクル」も争点に

 5月25日に緊急事態が全面解除となり、休業中だった飲食店などが営業を再開しだした。そんな中、厚生労働省が感染拡大対策として示す「新しい生活様式」の中で、キャッシュレス決済(電子決済)の利用が推奨されている。感染対策の有効な手段の一つだが、導入する店舗にとっては資金繰りが少しでも楽になる「入金サイクル」が重要なポイントだ。

新しい生活様式で推奨されているキャッシュレス決済

PayPayは翌日入金、LINE Payは即日入金

 1カ月の売上高が前年同期比で半分以上減少した、中小企業や個人事業者を支える持続化給付金の入金の遅さが問題になっている。感染対策で約1カ月半にわたって実施された緊急事態宣言下の休業要請に従った飲食店の中には、営業を再開するにしてもその間に支払った家賃や従業員の給料などの負担が重く、日々の資金繰りが課題になっている。

 もちろん、最も資金繰りが楽なのは現金だ。サービスに対する対価として客から受け取った現金は、その瞬間からどんな支払いにも使うことができる。ただし、新しい生活様式では感染予防の観点から、不特定多数の人が触る現金ではなく、タッチレス(非接触)のキャッシュレス決済が推奨されている。
 
厚生労働省の「新しい生活様式」(一部抜粋)

 そんなときに、キャッシュレス決済サービスの「入金サイクル」は重要なポイントになってくるだろう。一般的な決済手段の場合は、毎月15日と31日の2回だけの支払いとなるケースが多いが、例えば、スマートフォン(スマホ)決済サービスのPayPayなら、ジャパンネット銀行を使えば累計決済金額にかかわらず翌日の入金が可能になる。そのほかの金融機関を使った場合でも、最短で翌々営業日に入金される。
 
PayPayの入金サイクル

 小売店がスマホ決済サービスに加盟する際にかかる費用は、導入費用や決済システム利用料、入金手数料などがある。PayPayの場合、決済システム利用料は、2021年9月30日まで無料だ(年商10億円以上の法人は有料)。

 また、入金手数料はジャパンネット銀行なら永年無料。そのほかの金融機関の場合も、20年6月30日まで無料となる。7月以降は当月末締め(月1回の入金)なら無料だが、累計決済金額が1万円以上を入金するたびに105円(税込み)の手数料がかかる。
 
LINE Payの入金サイクル

 LINE Payはどうだろうか。「自動精算」と最短で即日入金ができる「入金申請」が選択できる。自動精算は月末締めの翌月末支払いで入金手数料は無料なのに対し、入金申請は入金手数料が1回当たり250円かかる。

 なお、LINE Payでも21年7月末までに導入すれば、初期費用は無料で決済手数料も0%になるキャンペーンを実施している。

メルペイau PAYは?

 
メルペイの入金サイクル

 メルペイは月末締めの翌月10日入金となる「月1回」か、15日締めで25日入金、もしくは月末締めで翌月10日入金の「月2回」から選べる。残念ながら翌日入金や即日入金はない。また、ゆうちょ銀行を使っている場合は、入金日からさらに2営業日後の入金となる。

 なお、10万円以上にまとめて入金すると、入金手数料の200円が無料になる。また、初期費用も無料だ。決済手数料は通常は1.5%だが、20年6月30日までに導入すれば0%になるキャンペーンを実施している。
 
au PAYは「月1回」「月2回」「早期振込サービス」の三つから選べる

 最後にau PAYの入金サイクルは、末日締めの翌月末日払いの「月1回」と、15日締めの翌月15日払い、末日締めの翌月末日払いの「月2回」、「早期振込サービス」の三つから選べる。

 早期振込サービスは、売り上げが1万円を超えた場合に、最短で翌々営業日に振り込まれるサービス。1万円を超えなかった場合は、月末締めで振り込まれる。通常は1回あたり210円(税込み)の手数料がかかるが、20年6月30日まで導入すれば無料だ。

 そのほかの初期費用や入金手数料は無料。通常は3.25%の決済手数料も、21年7月31日まで0%のキャンペーンを実施している。

 新型コロナの対応で苦しい店舗経営を少しでも楽にする点からも、スマホ決済サービスを導入する際は「入金サイクル」もチェック項目の一つにしたい。(BCN・細田 立圭志)