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東洋紡、新型コロナウイルス検出キットを研究機関向けに発売

経営戦略

2020/04/14 20:00

 東洋紡は、最短60分以内で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抽出と検出・測定が可能な新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」を開発し、新型コロナウイルスの治療薬・ワクチン・消毒液などを開発する研究機関向けに4月13日に発売した。税抜き価格は100回分で9万円。

「SARS-CoV-2 Detection Kit」

 新型コロナウイルス感染症が急速に拡大する中、治療薬などの早期開発が求められている。治療薬などの開発には、ウイルスに感染した細胞(サンプル)に治療薬などを投与した後でウイルスの増殖をどの程度抑制できているか、PCR法を用いてウイルスの遺伝子を増幅し、検出可能になるまでの時間などを計測しながら、何度も検証する必要がある。

 PCR法には、ウイルスから遺伝子を抽出する工程(約30分~2時間)と、遺伝子を増幅(PCR)・検出する工程(約2時間)があり、これまで約2時間半以上かかるのが一般的だった。このため、治療薬などの研究・開発で大量のサンプルを扱う際に、多くの手間や時間を要する一因となっていた。

 今回、同社が開発した新型コロナウイルス検出キットのSARS-CoV-2 Detection Kitでは、遺伝子の抽出工程と増幅(PCR)・検出工程に掛かる手間・時間を大幅に短縮することができる。

 遺伝子の抽出工程では、サンプル中に夾雑物(きょうざつぶつ)が混じっていても反応が阻害されにくい、当社独自の遺伝子増幅酵素を採用。夾雑物を取り除く必要がなくなり、煩雑な遺伝子の精製過程を省略できるため、検出キットに含まれる前処理液とサンプルを混合させるだけで遺伝子の抽出工程が最短2分で完了する。

 増幅(PCR)・検出工程では、試薬の配合を調整し、酵素の働きを最適化。増幅(PCR)にかかる時間を従来の半分以下の最短56分に短縮した。これによって、新型コロナウイルスの抽出から検出・測定まで最短60分以内で実現する。なお、この検出キットは汎用的な遺伝子増幅装置(リアルタイムPCR装置)だけで使用が可能で、抽出装置などを新たに準備する必要がない。