通好みの尖ったガジェット、あるいは性能と価格のバランスにすぐれたコスパ機というイメージが強かったASUSが、12月12日にノートPC市場の戦略を大転換する新製品を投入した。それが15.6型の「VivoBook S15」だ。これまで手薄だった市場で最もボリュームゾーンの大きいサイズ帯で勝負をかけてきた。

ASUSの新たなノートPC戦略の要となる15.6型ノートPC
「VivoBook S15」

12.1型以下の小型ノートPCでトップシェアのASUS

 まず、ASUSが得意とする小型ノートPC市場における現状を紹介しておきたい。全国の家電量販店やECショップでPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、同社は12.1型以下の小型ノートPC市場で2019年11月に31.2%のシェアを獲得。国内外の有力メーカーを抑えて、トップに立っている。
 

 では、15.6型のノートPC市場はどのような状況なのだろうか。ノートPC市場全体で同サイズ帯のシェアは63.5%。家庭用の据え置きノートPCとして大きなボリュームを占める。メーカー各社の販売台数シェアの内訳をみると、NECや富士通のような国産メーカーの数値が高いのが分かる。ASUSが投入する新製品の狙いは、この主戦場の勢力図に一石を投じる意味合いがある。
 

「こんな15.6型がほしかった!」を随所で実現

 一足早く実機に触れることができたので、特徴とともに記者の所感を紹介したい。まず、真っ先に飛び込んでくるのが、これまでの15.6型モデルにあまりなかった色彩豊かなカラーリングだ。ラインアップは5種類。多彩というだけでなく、本体の四辺に異なる配色のツートーンカラーを採用するなど、デザインへの強いこだわりがうかがえる。
 
 
 
カラーは5色(ガンメタル、トランスペアレントシルバー、コバルトブルー、パンクピンク、モスグリーン)。
本体エッジ部には別の色を配色

 15.6型というと家庭用の据え置きというニーズの高さから、あまり厚さや重量にはフォーカスされてこなかった。しかし、VivoBook S15は18mm/1.85kgと同サイズ帯としては薄く軽い。これなら鞄に入れて持ち歩くことも検討できるだろう。
 
厚さは約18mm、重量は約1.85kg

 ディスプレイを開いたときの印象も新鮮だ。モダンPC製品群で極狭ベゼルのモデルが注目されているが、VivoBook S15は15.6型でもハイレベルでそれを実現している。左右は5.2mm、上は8.3mm、下は8.8mmと四方で限界まで画面を広げており、高い没入感を実現している。
 
ディスプレイのベゼルは左右は5.2mm、
上は8.3mm、下は8.8mmと極狭

 キーボードはフルサイズ配列で、各キーの中心部にはわずかなくぼみがある。タッチは非常に快適だ。キーストロークは1.4mm、キーピッチは18.75mmとしっかり確保されていて、打鍵感も安定している。タッチパッドは面積が広く、感度も良好。全体的に基本の操作部は非常に丁寧に設計されている印象を受けた。
 
キーボードとタッチパッドも丁寧に設計されている

 ヒンジ部分にも一工夫。キーボード面がわずかに浮くエルゴリフトを採用し、約3度の傾斜をつけた。人間工学に基づく設計で快適性を高めているのに加えて、底面にある通気孔の放熱性能を上げ、パフォーマンスの維持にも貢献している。
 
ヒンジにエルゴ リフトを採用。
快適性と放熱性能を高める効果がある

自分に“ちょうどいい”が見つかる 豊富な選択肢を用意

 カラーだけでなく、CPUのグレードやMicrosoft Officeの有無などで幅広い選択肢があるのもうれしい。CPUは第10世代のインテルCore iシリーズで、Wi-Fi 6などの最新規格にも対応。自分に合ったちょうどよいモデルをデザインとスペックの両面で選ぶことができる。

 ノートPCはステッカーを天板に貼るデコレーションが定番だが、本モデルではおまけに5種類のオリジナルステッカーを用意。よくあるメーカーロゴステッカーではなく、ASUS色をあまり感じさせないデザインで、若い世代にも受けがよさそうだ。これだけでも購買意欲が上がってくる。
 
おまけのオリジナルステッカー

 現在、ノートPC市場は年末商戦と2020年1月14日のWindows 7サポート終了に向けた買い替え商戦の真っ只中。「久しぶりに家庭用のPCを買い替えるけど、今持っているものとどう変わっているのだろう」と売り場を訪れる消費者にとって、VivoBook S15は新鮮に映るはずだ。「15.6型=国産メーカー」という既存構造のゲームチェンジに挑む新モデル。ポテンシャルは十分だ。(BCN・大蔵大輔)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。