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MEDIAEDGEが格安4倍速スピードカメラ事業に参入、スタジアム用で220万円から

経営戦略

2019/09/11 19:00

 業務用映像配信・システムを提供するMEDIAEDGE(メディアエッジ)は9月10日、スポーツ中継などのスーパースロー映像を撮影できるBOXカメラシステム市場に参入すると発表した。通常、スタジアム向けシステムで2000万円するところ、同社の新製品で12月から発売する4倍速ハイスピードカメラの「QDCAM」システムなら格安の約1割となる220万~240万円で導入できる。レンズは別で、BOXカメラ、コントローラー、伝送装置のカムサイト・ユニット、ベースユニットから構成される。

MEDIAEDGEの「QDCAM」システム

 MEDIAEDGEの遠藤肇社長は、「フィギュアスケートのスーパースローやサッカーのVAR判定など、スポーツでスロー再生が注目されているが、一つのシステムで2000万円と高額だ。もっと価格を下げることで、大学や研究機関でのスポーツ解析や選手育成のコーチングなど、幅広く使ってもらえるようになる」と語り、スーパースローの活躍の場が今後ますます広がっていく中で導入コストを下げることが重要だと指摘した。
 

 さらに5Gが広がれば、スポーツ中継や映像配信で、ユーザーがさまざまな視点から映像を楽しめる多視点映像が増える。それを実現するには、メインとなるシステム以外にも多くのカメラシステムが必要になってくる。

 現状の5Gの多視点映像の実証実験などでは、苦肉の策としてデジタル一眼レフの4K動画が使われるケースが見られるが、そうしたときにも低価格で導入できるQDCAMが活躍するというわけだ。QDCAMのカメラ単体のシンプルシステムなら78万~98万円で導入できる。
 
5Gの他視点映像では多くのカメラシステムが必要になる
 

 QDCAMの特徴は、1920×1080のフルHDを240fpsの4倍速で撮影できる。もちろん、スーパースローの撮影だけでなく、通常使用では4096×2160で24fpsや3840×2160で59.94fpsの高解像度撮影が可能だ。また、動く被写体に対してゆがみが生じないグローバルシャッターCMOS撮像素子を採用している。

 低価格化を実現した大きなポイントは、レンズマウントに市販のマイクロフォーサーズレンズマウントを採用したことだ。さまざまな市販の安価なマイクロフォーサーズレンズがQDCAMに装着できる。

 ほかにも、通常は複数のカメラを使うとカメラケーブルの長さによって露光タイミングがずれてしまいスーパースローの再生に影響を与えるが、QDCAMはケーブルの長さに依存しない新しい同期方式を採用することで露光タイミングが同期するようにした。複数カメラでも、滑らかなスーパースローの再生が可能だ。

 同社では、スポーツ中継でスーパースローが多く採用されている欧州市場での販売も視野に、9月13~17日にオランダのアムステルダムで開催される「IBC2019」にQDCAMのブースを出展する。