LINEのAI技術を外部企業などに提供する「LINE BRAIN」が始動

経営戦略

2019/07/25 16:30

 LINEは7月23日、AIアシスタント「Clova」をはじめとする、同社がこれまで培ってきたAI技術を外部企業などに向けて展開していくAIソリューションサービス事業「LINE BRAIN」で保有・開発するAI技術を利用した音声自動応答サービスに関し、レストラン・飲食店向け予約システムを提供するエビソル、LINE Ventures、KSK Angel Fundが出資するBespoと、それぞれ基本合意書を締結したと発表した。

LINE BRAIN」のロゴ

 6月27日開催の「LINE CONFERENCE 2019」で、LINEは新規事業として「LINE BRAIN」を発表。7月から、チャットボット技術「LINE BRAIN CHATBOT」、文字認識技術「LINE BRAIN OCR」、音声認識技術、「LINE BRAIN SPEECH TO TEXT」の提供を順次開始していくと発表していた。まずはチャットボット技術を外部に提供し、飲食店予約サービス上でAI技術を利用した音声自動応答サービスを展開するなどの実証実験に関して、両社と協議を開始する。
 

 「LINE BRAIN」に関しては、音声認識、チャットボット、音声合成の三つの技術を組み合わせ、電話でAI自動応答を可能にする開発プロジェクトも発表済み。LINE BRAIN公式サイト(https://www.linebrain.ai)も開設した。

 「LINE BRAIN CHATBOT」は、「LINE」公式アカウントなどと連携して利用できる自然言語を理解し応答する技術。問い合わせ対応、社内FAQ対応などへの活用を想定しており、運用の過程でAIが学習し、より適切な応答が可能になる。

 「LINE BRAIN OCR」は画像内の文字や文章をテキストデータへ変換する技術で、写真やスキャンした印刷文字、スクリーンショット内の文字を高精度で認識するため、申込書・注文書・請求書などの登録、領収書の日付・品目・金額などの読み取り、免許証などの身分証の登録などへの活用が期待できる。

 「LINE BRAIN SPEECH TO TEXT」は、電話やVoIP経由での音声通話などに対応した人の発話を文字に変換する技術。コンタクトセンターでのリアルタイムの音声自動応答やバッチ処理での長文書き起こしへの活用が可能で、製品名など固有な発話の認識精度改善ニーズにも対応する。

 AIソリューション「LINE BRAIN」の枠組みとは別に、LINEはスカパーJSAT、伊藤忠商事と、AIなどの最新技術を用いて、新たな顧客体験を提供する“次世代型テレビ”の商用化の目標とした協業基本合意書を締結しており、今後、実証実験を開始する予定。