2018年2月の国内市場参入から1年――成熟を迎えているスマートフォン市場で、OPPOが示した存在感は驚きに値するものだった。1年でリリースした端末は7シリーズ。販路を短期間で広げ、販売店の売り場でもよく目に付くようになった。こうした成果を当のOPPOはどのように評価しているのか。オッポジャパンの鄧宇辰社長に、市場参入から現在までの戦略と19年の方針を聞いた。

取材・文/大蔵 大輔 写真/松嶋 優子 

オッポジャパンの鄧宇辰社長に市場参入から現在までの成長戦略を聞いた

2019年3月のSIMフリースマホ販売台数シェアで最高値を更新

 全国の家電量販店やECショップでPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、SIMフリースマホの販売台数シェア(2019年3月)は9.7%で、参入以来の最高値を更新。黎明期から市場のメインプレーヤーとして君臨しているファーウェイ、ASUS、シャープに次ぐ4番手につけている。成長率ではもっとも勢いのあるメーカーといえるだろう。
 

 しかし、鄧社長の評価は「やらなければならないことは多くあります。まだ満足できるレベルではありません」と控えめ。「展開できている販路もSIMフリー全体の3分の1に過ぎません。成果を評価するのは、すべてのMVNOと家電量販店で展開できるようになってからだと考えています」。伸びしろはまだ大きく、現在は当面の目標の中間地点にも達していないと捉えているようだ。

 とはいえ、この1年の急成長は確固たる戦略があってのものだろう。一体、どのような方針のもとで市場に打って出たのか。鄧社長が参入に当たって最初に行ったのは、日本市場のルールやパートナー提携の仕組みへの理解を深めることだったという。「日本は海外の他の地域にはない特殊な市場」と苦労をのぞかせたが、「1年でだいぶ理解は深まってきました」と手ごたえを語る。

 綿密なユーザー調査も市場開拓のために欠かせないポイントだった。「日本人の美的意識や情報収集の手段などを把握することも課題でした。そして、もっとも重要なのはどのような端末が好まれるのかという検証です」。鄧社長はかつてインドネシアやシンガポールで参入から短期間で市場を開拓した、現地マーケティングのプロフェッショナル。その手腕を日本市場でもいかんなく発揮した。
 
インドネシアやシンガポール市場を開拓した実績をもつ鄧社長。
「日本は海外の他の地域にはない特殊な市場」と語る

「R15 Pro」はもともと5月にリリースする予定だった

 昨年の大躍進の要因として筆頭にあげられるのが、矢継ぎ早に展開したラインアップ戦略だ。参入と同時に発表した「R11s」を皮切りに、個性の異なる7シリーズを相次いでリリース。1年でフルラインアップを揃えた。
 
参入と同時に発表した「R11s」

 鄧社長にその理由をたずねたところ、真っ先に出たのは謝罪の言葉だった。「9月にローンチした『R15 Pro』は、本来ならば5月には発売できていたはずなんです。しかし、Felica・防水対応にしたことで、思ったより準備に時間がかかり、その後に展開した機種の発売時期が圧縮してしまいました」。
 
国内市場で高い評価を得たFelica・防水対応の「R15 Pro」

 9月でもスピード感があると感じたが、それでも遅かったというのがOPPO内での評価だった。裏返せば、それだけ高い開発基準を設けているということだ。「もしかすると、ラインアップ展開を急いでいるような印象を与えてしまったかもしれませんが、プロダクトの出来上がりには満足しています」(鄧社長)。

 予定を後ろ倒しにしてでも、完成度の高い状態で「R15 Pro」をリリースした効果はてき面だった。「『R15 Pro』はOPPOの認知度はまだ低い時期に投入した、SIMフリースマホとしては少数派の6万円台という価格帯の製品でしたが、結果として短期間で売り切れました。日本の消費者が何を求めているのかを理解できてきたという自信を、われわれに与えてくれました」。OPPOのシェアが急上昇に転じたのも、まさにこのタイミングだった。

キャリア進出にも意欲 5G時代突入で成長を加速

 今年の第1四半期は好調に推移した。では、第2四半期以降はどのような戦略を練っているのか。これについて、OPPOはすでに大々的に方針を示している。3月18日に日本のメディア向けに開催したMWC Wrap-up説明会で、「2019年に10倍ハイブリッドズームスマホの投入」「より日本に適した方法でのお客さまとのコミュニケーション」「2019年内のFelica・防水対応スマホの投入」「最新のRenoシリーズをリリース」「引き続きアフターサービスを強化」「販路拡大とお客さまに商品に触れてもらう機会を増やす」という六つのコミットメントを発表した。
 
2019年中には10倍ハイブリッドズームスマホを投入予定

 新製品の詳細は「もう少しだけお待ちください」とのことだったが、日本に適したコミュニケーションについては、具体例を教えてくれた。「例えば、日本人のメディアの習慣です。日本ではまだテレビCMや紙媒体のもつ影響力が強い。また、ホームページがブランドイメージを構築する上できわめて重要であることも日本ならではの特徴だと捉えています」。19年はそうした調査で明らかになった事実がプロモーションに生かされることになりそうだ。
 
日本市場におけるコミュニケーション戦略を語る鄧社長

 2019年のスマホ市場は、キャリアの分離プランや5Gのプレスタートなど大きな転換となるトピックが満載。鄧社長は「5Gのキャリアへの周波数割り当てがまもなく行われます。そうなれば、メーカーに対して機種を募集することになるでしょう。5Gをグローバルでけん引するわれわれにとってチャンスとなります」と、キャリア進出にも意欲を見せる。

 直近の戦略だけでも、ブランド認知や消費者の信頼を獲得するための材料は十分に揃っている。「5年以内に日本市場におけるポジションをグローバル市場と同等まで押し上げる」という参入時に掲げた目標に向け、成長はさらに加速していきそうだ。