家電業界で頭を悩ませている問題が、夏商戦のエアコン販売の対応だ。消費増税の駆け込み需要と猛暑が重なったら、エアコン需要が一気に夏商戦に集中することが予想されるからだ。いかに、販売を前倒しして需要のピークを平準化できるかがカギとなる。気象庁が6月にスタートする予定の「2週間気温予報」は、エアコンの販売予測の救世主として、業界からの期待も高まる。

エアコン販売台数と気温の関係

 気象庁と大手家電流通協会は過去に、気温と季節家電の販売台数の関係性を明らかにするための実証実験を行った。エアコンでは、神奈川県で2013年4~8月のエアコン販売台数と7日間を平均した観測値、平年値のグラフを付け合わせた。すると、7月に平年値より2℃上昇すると、エアコンの販売台数が約1.5倍に増加することが分かった。

 また、8月に入ると7月より気温が高くても、エアコンの販売数は減少することが実証された。業界の経験則では「お盆を過ぎると、暑くても購入しないでやり過ごす」ということが言われるのだが、気温と販売台数の変化から、その関係性を実証したのは初めてのことだった。

 気象庁は6月から、2週間先までの最高・最低気温を地域別に予報する2週間気温予報を、ホームページを通じて毎日14時30分に更新して公表する予定だ。これまでは、毎週2回の更新だった「異常天候早期警戒情報」でしか2週間先の気温を予報できなかったが、2週間気温予報は毎日更新される。
 
6月からスタート予定の「2週間気温予報」

 これをエアコンの販売予測と連携させることは、需要を平準化するための有効な手立ての一つとなるだろう。つまり、7月に入って2週間先までの気温が平年値より2℃上昇することが予測できれば、2週間前から対策を講じることができる。

 例えば、2℃上昇する地域と、そうでない地域が把握できれば、売れる地域にエアコンを店間移動させることで欠品によるチャンスロスが減らせるだろう。物流センターから店舗の配送量の調整や設置業者の手配といったバックオフィスの効率化が期待できるほか、店頭でのPOP展開など接客や販促にも生かせるかもしれない。

 日本電機工業会(JEMA)の調べでは、18年1~12月におけるエアコンの国内出荷実績は965万台(前年比8.1%増)で過去最高を記録した。金額ベースで7909億円(同9.4%増)となっており、白物家電全体の2兆4453億円の32%を占める。気象庁のビッグデータを活用したエアコンの販売予測の精度向上は、家電量販企業の経営にとっても大きなインパクトを与える。(BCN・細田 立圭志)