【バルセロナ発】 スペイン・バルセロナで世界最大の携帯通信関連の展示会「MWC19 Barcelona」が開催された。今年のイベントの様子を、いつもMWCの花形として注目される「スマホ」の新製品と、最も注目された「5G」の展示に切り分けて振り返りたい。本稿は「スマホ編」だ。

スペイン・バルセロナで開催された世界最大の携帯通信関連の展示会「MWC19 Barcelona」では、
次世代スマホや最新のトレンドが示された

キートレンドは「5G」「折りたたみデザイン」「マルチカメラ」

 高速・大容量・多接続を特長とする第5世代の移動体通信技術「5G」の商用化は当初2020年とされていたが、2018年のその開始時期が約1年前倒しされることが決まった。急遽「5G元年」となった今年のMWCに、出展する各社の本気度が大いに注目された。結果フタを開けてみれば、5Gに関連するスマホなどの製品、サービスやプラットフォームが立派に商用化を見据えた形で一堂に集まった。MWCに足を運んだ多くの来場者が5G時代の到来を肌身に実感したのではないだろうか。

 スマートフォンは「5G対応」の製品がサムスンにLGエレクトロニクス、ファーウェイ、ZTEにシャオミなど現在の業界を代表するメーカーから出揃った。各社がブースに商品として並べたスマホは驚くほどに完成度が高く、筆者も早く「5Gスマホ」が欲しくなった。

圧倒的に高い完成度を誇っていたサムスンの5Gスマホ

 なかでもサムスンの「Galaxy S10 5G」は圧巻だった。約6.7インチの大型有機ELディスプレイを搭載しながら、ガラスパネルの左右エッジをカーブさせて画面占有率を高め、さらにスリムで手に持ちやすいデザインとした。
 
サムスンが発表した「Galaxy S10 5G」

 背面には三つのレンズを載せたマルチカメラを搭載する。焦点距離を広角/標準/望遠に定めたレンズをアプリで切り替えながら、レンズ交換式の一眼レフカメラのような楽しみ方ができる。カメラ愛好家の心をくすぐる仕様だ。インカメラもデュアルレンズとしてボケ味を活かしたポートレート撮影ができる。

 コーナーに配置したカメラユニットの周辺だけにパンチ穴を開けたような独特な全画面デザインをGalaxy S10シリーズが共有する。映像への没入体験を損なわないように配慮されたデザインだ。背面に搭載するワイヤレス充電アダプターから、同日発表された完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds」にチャージができるパワーシェア機能も面白い。

 2019年の前半に5Gの商用サービスを始める米国の通信キャリア、Verizonが当初本機の販売を独占的に取り扱う。その後他の米国の通信事業者にも夏以降に順次展開していく予定だという。欧州市場への導入もその頃になるのではないだろうか。MWCに出展する欧州の通信キャリアであるボーダフォンは、バルセロナの街を走行する自動車が撮影した映像を一部に5Gの通信設備を組み込んだネットワークを介して、ブースに展示したGalaxy S10 5Gで視聴するという5Gライブ配信のデモンストレーションを実施していた。

■“折りたたみスマホ”が注目の的に

 サムスンが発表した目玉のスマホにはもう1機種、今年のMWCでトレンドになった“折りたたみデザイン”を初めて採用した「Galaxy Fold」もある。ただし、サムスンのブースではガラスケースに入れて出展された本機に直接触れることができなかった。
 
4月の発売を予定している「Galaxy Fold」は展示のみ。
実機に触れることはできなかった

 同じく折りたたみデザインのスマホを発表したのが、ファーウェイだ。8インチのフレキシブル有機ELディスプレイを搭載した「Huawei Mate X」は、本体のヒンジ部は約100点のパーツによって構成されており、折りたたむと2枚の本体が美しく重なり合う。
 
8インチのフレキシブル有機ELディスプレイを搭載するファーウェイの
「Huawei Mate X」

 フロント・リアのディスプレイをそれぞれ6インチ台の画面として個別に機能させることもできる。たたんだ状態でも本体の厚みがわずか11mmに収まるので、実用的なサイズ感だと感じた。今年の1月に開催されたCES2019で話題を呼んだ中国のメーカー、Royoleの折りたたみスマホ「FlexPai」に比べるとその差は圧倒的だ。
 
折りたたむと6インチ台のスマホにもなる
 
CESでも注目されたRoyoleの「FlexPai」

 しかもHuawei Mate Xは5G対応のスマホだ。発売時期は6月以降を見込んでいる。思わずノドから手を出るほどだが、予価は2299ユーロ(約29万円)を見込んでいると聞いて目が覚めた。誰もが「これは折りたたみスマホにしかできない」と納得できる活用スタイルの提案を期待したい。

ソニーのXperiaも一気にトリプルカメラ搭載に

 ファーウェイのMate Xはライカとの共同開発によるトリプルレンズカメラを搭載している。スマホが搭載するカメラは今年からトリプル化が常識になるかもしれない。筆者にそう感じさせたのは、ソニーが発表した最新フラグシップモデルの「Xperia 1」だ。
 
ソニーの新しいフラグシップモデル「Xperia 1」

 意図的だったかどうかはわからないが、ソニーのXperiaは昨年のMWCの開催直後に発表した「Xperia XZ2 Premium」で初めて二つのレンズを持つデュアルレンズカメラユニットを搭載した。同じ年の秋に発表したXperia XZ3では再びシングルカメラに戻るものの、今回のXperia 1では一気にトリプルレンズカメラの搭載を実現している。
 
ソニーもいよいよトリプルレンズカメラを搭載

 背面に並ぶ三つのレンズは焦点距離と明るさがそれぞれ異なっていて、Galaxy S10 5Gと同様に広角/標準/望遠のレンズ交換を楽しむ感覚で使い分けられる。スマホのカメラで表現できる写真の幅が広がるという意味では歓迎できると思う。

 でもデザインのことを考えると、スマホが搭載するべきレンズの数は3つぐらいがそろそろ限界ではないかと筆者は思う。ノキアのブランドから発表された「Nokia 9 PureView」は、本体の背面になんと五つのレンズを搭載している。フラッシュや測距センサーを合わせた“七つの目”がリボルバー状に並ぶデザインにはぎょっとした。五つのレンズはすべてカール・ツァイス製ということなので、画質の仕上がりとしては大いに気になるスマホではある。
 
ノキアブランドから登場した五つのレンズを持つスマホ
「Nokia 9 PureView」

 ほかにもLGエレクトロニクスが発表した、画面に触れることなく“ハンドジェスチャー”で操作できる画期的なUIを載せた「LG G8 ThinQ」、OLEDと電子ペーパーの両面ディスプレイを搭載するハイセンスの「A6」など、今年もユニークな端末がいくつもMWCで登場した。
 
フロントカメラがハンドジェスチャー操作を認識する「LG G8 ThinQ」
 
電子ペーパーと有機EL、二つのディスプレイを持つハイセンス「A6」

 この中からいつ、どの製品が日本で発売されるのか楽しみだ。(フリーライター・山本 敦)