参入企業が一気に拡大し、盛り上がりをみせているフルサイズミラーレス市場。カメラ市場全体はここ数年、大きく低迷しているが、そんな中で気を吐いているのがミラーレスだ。メーカー各社はこの成長株を市場復活の起爆剤にしようと躍起になっている。キヤノンは昨年10月に同社初のフルサイズミラーレス「EOS R」を投入したが、それからわずか4カ月で次の手を打ってきた。

キヤノンのフルサイズミラーレス第2弾となる「EOS RP」。
小型&軽量・お値打ち価格で同市場におけるシェア拡大を目指す

 「EOS R」の小型・軽量モデルとなる「EOS RP」は、ボディ本体の価格は約16万円で「EOS R」の約24万円と比較すると8万円ほど安い。有効画素数や動画撮影性能などでわずかに差はあるものの、ほとんどのスペックで「R」を踏襲したものに仕上がっている。

 レンズ交換式カメラ市場では昨年、構成比でミラーレスが一眼レフを逆転した。キヤノンではこの流れはさらに加速し、2019年には62%まで高まると予測する。このミラーレスシフトをけん引したとキヤノンが自負するのが、18年3月に発売した「EOS Kiss M」だ。
 
レンズ交換式カメラの市場では18年にミラーレスが一眼レフを上回った

 キヤノンマーケティングジャパンの取締役 兼 専務執行役員の松阪喜幸氏は「『Kiss M』の投入で出荷台数は前年比140%まで伸び、メーカーシェアは市場参入以来初の1位を獲得することができた。当初想定していたより広い層に支持を受け、業界全体にも意義があったのではないか」と胸を張る。同社は「Kiss M」の発表時に「シェアNo.1を獲得するための戦略機」と宣言していたが、狙いがズバリ的中した。
 
シェアNo.1獲得のための戦略機として18年3月に発売した「EOS Kiss M」。
狙い通りにキヤノンはミラーレス一眼の年間シェアで市場参入以来初の1位を獲得した

 そして、今回発表した「EOS RP」についても松阪氏は“戦略機”と言い切る。18年11月にCANON iMAGE GATEWAYで実施したアンケートでAPS-Cサイズセンサーカメラのユーザーの約65%が「次はフルサイズ」と回答し、フルサイズにステップアップするための懸念として重さ・価格・操作性をあげているなどの調査結果から、ユーザーが真に求めるフルサイズミラーレスをつくりあげた。

 「フルサイズミラーレスでもNo.1を獲る」とキヤノン側の鼻息は荒いが、先行するソニーとの差は現時点ではまだ大きい。昨年12月時点でソニーは同市場の販売台数シェアで66.4%を占めているのに対して、キヤノンは17.5%にとどまっている。「EOS RP」だけで50%近い差を一気に埋めるのは容易なことではない。
 

 今回の発表会では「EOS R」から導入したRFマウントを採用した交換レンズの開発状況についてもアナウンスがあった。それによると、現在6機種の開発が進められており、19年中の発売を目指しているとのことだった。すでに発売されている4機種を加えるとラインアップは10機種。急ピッチで拡充を急いでいることが分かる。No.1獲得の時期は明言しなかったが、いまはまだソニーと同じ土俵に立てるように態勢を整える段階。本体と交換レンズのラインアップの差を埋めてからが本当の勝負といえそうだ。(BCN・大蔵 大輔)


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