国内大手ディスカウントストアのドン・キホーテをはじめ、商圏やニーズに合わせたいくつかの業態をもつドンキホーテホールディングス(ドンキホーテHD)。12月25日現在で、海外を含む出店数は429店舗にまで拡大している。そんなドンキホーテHDでここのところ目立つのが、売場面積の狭いスモールフォーマット店舗の展開だ。どのような意義があるのか、大原孝治社長に聞いた。

取材・文/大蔵 大輔
写真/中田 浩資

売場面積の狭いスモールフォーマット店舗展開の意義をドンキホーテHDの大原孝治に聞いた

――10月にオープンしたドン・キホーテららぽーと立川立飛店は、商業施設内の出店であることやドンキ史上最小の店舗であることが話題になりました。

大原 「ドン・キホーテららぽーと立川立飛店」以外にも、特定の施設内で展開しているスモールフォーマット店舗には、羽田空港の「ソラドンキ」やJR大阪駅の「エキドンキ」、そして10月に期間限定で静岡のNEOPASA清水にオープンした「ミチドンキ」などもありますね。
 
10月にオープンした「ドン・キホーテららぽーと立川立飛店」と「ミチドンキ NEOPASA清水店」

――ドンキホーテHDでは、かつて次世代コンビニエンスストア構想を進めていた時期があります。一連のスモールフォーマット店舗出店との関連性はあるのでしょうか。

大原 そうした意図はまったくありません。空港には空港の、駅には駅の、高速道路には高速道路のニーズがあるはずだという想定のもと、立地条件に合った店舗づくりにチャレンジしているだけです。「高速道路は隔離された閉鎖商圏すぎない?」「でも、もしかするとチャンスがあるかもしれないよ」といった会話の中から、さまざまな手段を考えに考えて出店に至りました。といっても、新業態開発と力んでいるわけではないです。ダメだったらやめればいいと、意外と気楽にやっています。

――地域性や顧客ターゲットを重視して店づくりをする、ドンキの個店主義の延長というイメージですか。

大原 その通りです。「ミチドンキ」であれば、取り扱う商品も静岡名産に限定しています。そこでしか手に入らないもの、というのが重要なところです。地元の農家などを回って集めるのですが、高速道路だとわりと簡単に手に入れることができます。うまくいけば、水平展開することも考えています。
 
新たなスモールフォーマット店舗展開を「立地条件に合った店舗づくりの挑戦」と語る大原孝治社長

――今年6月には、ファミリーマートと共同で「ファミリーマート PRODUCED BY ドン・キホーテ」をオープンしました。現在、3店舗を展開していますが、今後の出店計画はありますか。

大原 現段階では次の出店計画は決まっていません。ファミリーマートの意向もあっての施策なので、ドンキ単独の判断では決められません。もともとあの実験店舗は大きな戦略の一部ではなく、ファミリーマートと「コンビニの既成概念を壊したいね」という話をしていて、生まれたものなんです。そこから3店舗にドンキのノウハウを取り入れ、リニューアルオープンしました。

 売り上げが伸びた分、コストも増えているので、そのまま水平展開するのは難しいかもしれませんが、少なくとも工夫すれば既存のコンビニの売り上げは伸ばせる、ということは示せたと思います。
 
ファミリーマートとドン・キホーテが共同開発した実験店舗
(写真は「ファミリーマート 世田谷鎌田三丁目店」)

――既存店舗の取り組みにはなりますが、千葉県山武市の「MEGAドン・キホーテ ラパーク成東店」では、宅配ロッカーとフリースペースを提供する新サービスを試験運用されていますね。

大原 ドンキと同じ施設内にフリースペースと宅配ロッカーがあり、お客さまはそこで配送物を受け取るという仕組みです。コンビニのように消費者の最寄の店舗で配送物を受け取る“ラストワンマイル”はよく使われていますが、われわれの宅配ロッカーはいわば“ラストツーマイル”と呼べるものです。
 
「MEGAドン・キホーテ ラパーク成東店」で試験運用している宅配ロッカーとフリースペース

 フリースペースは、これから消費者の余暇時間が増えていくだろう、ということを想定して始めた取り組みです。買い物しなくても利用できます。宅配ロッカーにしろ、フリースペースにしろ、どちらも新たなドンキ来店の理由になります。“買い物をする場所”としてだけでなく“遊べる場所”としてのドンキのポジションを確固たるものにしていければと考えています。