ドンキホーテホールディングス(ドンキHD)とユニー・ファミリーマートホールディングス(ユニーファミマHD)の資本・業務提携における最大の成果は、既存のユニー店舗をフルリニューアルした業態転換店舗の成功だろう。今年2月から順次オープンした6店舗の売上高は前年比190%を記録。かつて長崎屋を再生したドンキHDの手腕を改めて示すことになった。そして、10月に発表されたドンキHDによるユニーの子会社化によって、成長は加速していく。ドンキHDの大原孝治社長が今後の成長プランについて語った。

取材・文/大蔵 大輔
写真/中田 浩資

子会社化後のユニー成長プランを語るドンキホーテホールディングスの大原孝治社長

――2019年中に20店舗、5年以内に100店舗の既存ユニー店舗を業態転換するとのことですが、転換しない残りの店舗の改革も同時に実施するのですか。

大原 全体最適は必要ですが、部分最適についてはユニーの経営でよいと考えています。業態転換前のユニーが運営する店舗については権限を委譲し、必要に応じて社内稟議のルールに沿ってホールディングスが決議していきます。

――業態転換店舗はドンキとユニーのダブル店長体制をとっていましたが、グループ会社となることで、この体制は変更されるのですか。

大原 変更はありません。まずはユニーのみなさんにドンキを知ってもらうことが重要です。また、ドンキがやっていることが必ずしも正解というわけではありません。ユニーから学ぶべきことは学び、逆にドンキの改革につなげていけばよいというスタンスです。こだわりがなくなったことは持ち分100%の一番大きな収穫かもしれませんね。
 
ドン・キホーテとユニーが共同開発した第1号店「MEGAドン・キホーテUNY大口店」

――現場の裁量が大きい個店主義など、ドンキ独自の文化になじむには時間がかかると思いますが。

大原 融合には半年程度かかると考えています。ユニーも昔、現場が仕入れていた個店主義の時代がありましたから、そこまで大きな抵抗感があるとは思いません。40:60だと独自性という話にもなりますが、もうそこを気にする必要はありません。独立採算ですから、結果が全てです。

――ユニーはショッピングモール業態の「ウォークモール」を持っています。この業態に対して、なにか新たな取り組みをしていくプランはありますか。

大原 現時点ではショッピングモールの業態について、なにかやる、ということは考えていません。利益が出ているのであればそれでいいし、出ていないのであれば問題を解消しなければいけません。これから検証していくべき部分ですね。とはいえ、まずは業態転換店舗を着実に計画通りに進めていくことが最重要です。全て同時にやろうというのはよくありません。一点突破です。
 
まずは業態転換という一点突破でユニー成長に挑む

――ここ数年、大原社長は「日本の流通業界に危機感をもっている」とたびたび口にされています。今後、業界はどのように変わっていくべきだと考えていらっしゃいますか。

大原 業界全体を変えるというのは私一人の力では到底できませんが、流通企業がどうあるべきかについて考えていることはあります。それは、われわれは常に“一丁目一番地”に戻ってこれるようにしなければいけないということです。一丁目一番地とは、すなわち“成功体験の原点”です。

 GMS(総合スーパー )業態の衰退にもいえることですが、顧客に合わせて一丁目二番地に行き、一丁目三番地に行き、としているうちに多くの日本の流通企業は一丁目一番地への帰り方が分からなくなってしまっているように見受けられます。よく「流通は規模」といいますが、大きくなればなるほど帰り方が分からなくなるものです。だから、私はよく「企業が大きくなることにメリットを感じない」と申し上げているのです。

――“一丁目一番地”を忘れないためにはどうすればよいのですか。

大原 経営理念をしっかり継承していくことです。私は理念は「学ぶ」「実践する」「人に教える」の三段階だと考えています。これを繰り返していくことで、企業が大きくなっても、常に一丁目一番地を振り返ることができます。

 また、われわれは地域のお祭りや学校の催しに出店して小中高生にドンキ体験をしてもらうということをしています。こうした草の根の活動が積もっていくと、初めて自分の意思で買い物をした店はドンキという若者が増えていきます。ドンキ成長のドライバーの原点は若者ですから、どれだけ少子化の時代といわれても、昔からのターゲットである若者を的から外すことはしません。そして、若者たちが歳を重ね、ドンキから卒業しても追いかけないということも重要です。追いかけると一丁目一番地に戻れなくなってしまいますから。