携帯電話大手のソフトバンクの東証一部上場を巡って、依然としてソフトバンクの約6割の株式を持つ親会社のソフトバンクグループ(SBG)との「親子上場」の議論が絶えない。個人投資家が多い少数株主の意向は反映されるのか。12月19日の記者会見でも、SBGからの「経営の自立」に関する記者からの質問が相次いだ。

SBGとの関係で「これほど素晴らしいバランスはない」と語るソフトバンクの宮内謙社長兼CEO

 質問に対して宮内謙社長兼CEOは、「これほど素晴らしいバランスはないと思っている」と、上場後もSBGと連携しながら良好な関係を築いていくことを強調した。「SBGと完全に縁が切れるというパターンではなく、グループの中でネットワークインフラを持った中核企業としてやっていった方がいいと心から思っている」とまで語った。

 具体的なイメージとして、投資会社としての性格を強めるSBGが投資して成功しているビジネスモデルが海外にはいくつもあり、それを国内で展開する際に、ソフトバンクがネットワーク環境を整備し、営業力を生かして導入をサポートしていくという関係を挙げた。「海外の約50の機関投資家と会った際も、必ず親子上場のことを聞かれたが、理解していただけた」と、今後もSBGとの連携を深めていくことに自信を示した。

 プレゼンでは、ソフトバンクの通信事業が基盤となり、ビッグデータやIoT、AIなどでSBGが投資した新規事業を両輪に成長していく構想や、SBGの投資先など最先端のビジネスモデルを国内で展開する際に、ソフトバンクの持つプラットフォームが力になることなどをアピールした。
 
 

 SBGからの自主独立については、今後、PayPayなどのような独自の新規事業が次々に生まれてくるという。菅官房長官が今夏に、携帯電話料金を「4割程度下げる余地はある」と発言したのに対し、SBGの孫正義会長兼社長は11月の2Q決算説明会で、携帯電話事業の4割の人員を新規事業に異動する方針を示した。宮内社長兼CEOは「2500人が新しい事業に異動して、新規プロジェクトも動き出している。社員からネガティブな意見は出てなく、むしろ活性化していく」と、人員を新規事業に充てている状況を説明した。

 今後、こうした新規事業やサービスが次々と成長してくることで、ようやくソフトバンクの「経営の独立」が具現化されていくのだろう。「今日、新しくスタートしたばかりなので、これから証明していくしかない」と、宮内社長兼CEOは実績を示していくことで親子上場の懸念を払拭していく姿勢を示した。(BCN・細田 立圭志)