日本政府観光局(JNTO)が11月21日に発表した10月のインバウンド(訪日外国人旅行者)推計値は264万1000人(前年同月比1.8%増)となり、10月として過去最高を記録した。9月に台風21号や北海道胆振東部地震の影響などで同5.3%減と前年同月を下回ったが、10月の回復状況をみると、マイナスの影響は最小限に食い止められたようだ。家電量販店の店頭などでは、インバウンドの増加に合わせて、翻訳機に注目が集まっている。

音声翻訳機の販売台数シェアで圧倒するソースネクストの「POCKTALK」

 音声翻訳機のジャンルで圧倒的なスタートダッシュを見せているのがソースネクストのAI翻訳機「POCKTALK(ポケトーク)」だ。全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計した「BCNランキング」の9月データで、販売台数シェア95.2%をマークした。

 POCKTALKは、自国語の言葉で話しかけると約0.6秒で相手の言語に翻訳して話してくれる。クラウド上のAIエンジンとつながっているため、使うたびに進化する。

 企業で使う接客ツールとしての採用も増えている。JR九州バスやジェイアールバス東北は、路線バスや観光バスの接客ツールとして今年6月に採用した。総合免税店のラオックスによると、「最近は個人で旅行するFIT(海外個人旅行)が増えていて、地方の小さな体験イベントが人気など、地方に広がっている」という。地方でも、外国人とのコミュニケーションツールとして、翻訳機の需要が高まっている。

 交通機関以外でも、7月に大手CDショップのタワーレコードやアミューズメント施設のタイトーステーション、namco大阪日本橋店などと、採用が小売りの現場に拡大。11月には、家電量販店のビックカメラが、「Air Bic Cameraダイバーシティ東京 プラザ店」のオープンに合わせて、同店の接客ツールとして採用した。

 ログバーのiliが日本語を外国語に訳す一方向タイプであるのに対し、POCKTALKは自分と相手の双方で自国語から外国語に翻訳して使う双方向タイプという違いがある。また、iliはネットワーク接続が不要なオフライン翻訳機として0.2秒というレスポンスの速さを売りにしているのに対し、POCKTALKはネットワークに接続する必要がある。
 
オフライン翻訳を売りにする「ili」

 POCKTALKやiliなどがハンディタイプなのに対し、日本初となるイヤホンタイプの翻訳機も登場した。ノジマは、順豊曜のイヤホン翻訳機「WT2 Plus」を全店で11月17日に発売。WT2 Plusは、クラウドファンディングのMakuakeで、100万円の目標金額を大きく上回る982万円を集めたことからも、もともとニーズが高かった製品といえる。税別価格が2万4880円というのも、POCKTALKやiliなどとほぼ同じの2万円前後のラインを意識している。

 海外旅行の際、言葉だけでなく身振り手振りのボディーランゲージで伝えたいことに深みを持たせるというケースは少なくないだろう。そのような場合、ハンズフリーで使えるのは魅力だ。
 
ボディランゲージができるイヤホン翻訳機「WT2 Plus」

 他にも、テスプロが12月に発売する双方向音声翻訳機「Mayumi3」は、通常の音声翻訳のほか、カメラで写した画像のテキストをOCR技術で読み取って画面上に翻訳する「OCR翻訳」や、カメラで写した新聞などをテキスト変換して翻訳する「カメラ翻訳」を備える。
 
レストランのメニュー翻訳で活躍しそうな「Mayumi3」

 税別価格が2万9800円とワンランク上がるが、これがあれば、現地のレストランでメニューがチンプンカンプンということもなくなりそうだ。Mayumi3は、自社越境ECモール「さくらモール」に加えて、東急ハンズ、ビックカメラ、ヨドバシカメラの店頭でも販売する予定。今後も続々と翻訳機が登場するといえるが、自分にとって使いやすい1台を選びたい。(BCN・細田 立圭志)