【「駅すぱあと」の今までとこれから・2】さまざまなシーンで最適な経路情報を提供する「駅すぱあと」を世に送り出して以来、公共機関に関するプロ集団を目指してきたヴァル研究所(ヴァル研)。10月23日、新たな方向性をパートナー企業に伝えるため、「駅すぱあと30周年記念パーティー」を開催した。このイベントで、次世代の移動手段を実現するための「Next EKISPERT」構想を発表した。


 イベントで太田信夫社長は、「駅すぱあとのこれからのビジョン」を説明。まず、ここ1~2年で「移動」を取り巻く環境が急速に変化していること、都市部で移動手段を改革する必要があること、それぞれの環境変化に合わせてモビリティシステムを再変革する重要性、「MaaS(Mobility as a Service)」といわれるモビリティサービスが注目を集めていることなどを訴えたうえで、「今までのこだわりを一新し、時代や環境にマッチした次世代の『駅すぱあと』を目指す」とアピールした。
 
太田信夫社長

 これは、「30年間こだわり続けてきた『公共機関におけるナビゲーションのプロ集団を目指す』という方向性を、『利用者が最高のパフォーマンスで目的を達成できる移動情報の提供』に変更する」ことを意味するという。そこで今後は、移動が目的を達成するための手段であること強く意識したサービスを開発し、さまざまな移動手段への対応で利用者にとって最適な経路を提案していく方針だ。

 それを実現するためのキーワードとして、太田社長は「Personalized(個の移動にフォーカス)」「Multimodal(複数の移動モードを最適に案内)」「Ecosystem(エコシステムによる価値の提供)」という3つを掲げた。
 
ビジョンを実現するためのキーワード

 「Personalized」では、個人に合わせた価値のある移動手段を提供。例えば、多忙なビジネスマンが訪問先でパフォーマンスが上がる移動、家族連れがコミュニケーションの機会が増えて楽しさが増す移動、などだ。そのために、コストが高くてもいいのでストレスのない経路や徒歩がほとんどない移動、予算に応じた経路といった情報を提供。運行/渋滞状況や天気などのリアルタイム情報とパーソナルデータを組み合わせて利用者が検索したタイミングで最適な経路を追求していく。
 
「Personalized」への取り組み

 「Multi-modal」では、「目的ありき」という考え方でサービスを提供。ビジネスマン向けや高齢者向け、旅行者向けなどセグメント別に、鉄道やバスの在線や混雑状況などのリアルタイム情報を組み合わせて最適な移動情報を提供していく。
 
交通手段の組み合わせではなく、「目的ありき」という考え方で提供する「Multimodal」

 「Ecosystem」では、検索アルゴリズムと集積、収集データというヴァル研の強みを生かしてMaaS関連ベンダーとパートナーシップを組み、新たな価値を創出する。競争による独占市場ではなく共創による共存市場をつくることによって、課題を解決するエコシステムを形成するというわけだ。
 
ヴァル研の描く「Ecosystem」

 3つのキーワードに対して、現段階でヴァル研が取り組んでいるのが「mixway」だ。電車やバスなどの公共交通とシェアサイクルを組み合わせた「経路検索」や、リアルタイムなポートの空き状況などが分かる「リアルタイムポートマップ」が利用できるスマートフォン向けウェブサイトで、2018年5月にベータ版を公開。複数の実証実験も進めている。
 
「mixway」のサービスイメージ

 「mixway」をベースに、ヴァル研では「Personalized」「Multimodal」「Ecosystem」のロジックを反映した「Next EKISPERT」を構築していく。そして、その「Next EKISPERT」をMaaS関連企業やSIerなどにAPIとして提供。イベントでは、未来シェアやデンソー、JR東日本などとパートナーシップを組んだ連携事例なども紹介した。このようなパートナーシップで、移動に関する新たな価値を創造していく。