65歳の誕生日を機にリタイアした義父が新しいPCに買い替えたいと、家族で最もデジタル製品に詳しい夫に相談を持ちかけてきた。今回の記事は、事前にいくつか機種を絞り、店頭で一緒に実機を見て決めたいと話す夫が語る「理想のPC」に反発を覚えたので、急きょ、まとめることにしたもの。Microsoft Office(Word/Excel/PowerPoint)をはじめ、バンドルソフトてんこ盛りの“全部入り”にこだわったら、選択肢は国内メーカー3社しかなく、あとは価格帯で絞るだけ。そこでPC選びはほぼ終了だ。

ノートPCは上位3社でシェア5割超

 家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」の2018年1月~6月の累計データによると、パソコン全体(ノートPC+デスクトップPC+タブレット端末)のうち、ノートPCが55.3%、デスクトップPCが8.3%を占め、残りはiPadなどのタブレット端末だ。

 主力のノートPCに焦点をあてると、10年前(https://www.bcnretail.com/news/detail/080818_11506.html)は、NEC、東芝、富士通の3社が競い合い、少し離れてソニー(現VAIO)が追いかけるという構図だった。直近の2018年1月~6月の累計でも、トップ3の顔ぶれは変わらないものの、NECがシェア22.2%で一歩リード。富士通(16.0%)、東芝(15.5%)と続き、上位3社だけでシェア5割超を占める。
 

 PCには、Officeソフトや年賀状・はがき作成ソフト、DVD再生ソフト、画像編集ソフトなどのソフトウェアが最初から入っていてあたりまえ、なかでもMicrosof Officeは必須と一般消費者が考える限り、上位3社の製品が選ばれるのは、ある意味、必然といえる。はじめから、それ以外の選択肢がないのだ。

わかりにくいMicrosoft Officeのラインアップ

 統合オフィスソフトのMicrosoft Officeは、従来のパッケージ販売から、1年更新型のサブスクリプション(定期購入)サービスをメインに移行するため、14年にラインアップを一新。しかし、1年更新型の「Office 365 Solo」(年額1万2744円)と買い切り型の永続版、プリインストール製品が併存し、それぞれ制約があるため、わかりにくくなってしまった。
 

 現在販売中のMicrosoft Officeプリインストール済みのPCは、そのPCに限り、ずっと使い続けられる永続版Officeのライセンス費用が本体価格に上乗せされている。Officeが無料で付いているわけではない。同一機種のOffice搭載/非搭載モデルの価格差はおおむね2万3000円前後だ。
 
10インチの小型の廉価版「Surface GO」。
日本販売モデルは、永続版の「Microsoft Office Home & Business 2016」をプリインストールする

 それに対して、単体で永続版Officeのライセンスを購入すると、手持ちの最大2台のPCにインストールし、OSサポート終了までずっと使い続けられる。税込価格は、Word、Excel、Outlookに、「OneDrive」のオンラインストレージ1TB分、テクニカルサポートなどがついた「Office Personal 2016」で3万2184円、PowerPoint、OneNoteも利用できる「Office Home & Business 2016」は3万7584円。なお、18年下半期には、次期バージョン「Office 2019」のリリースを予定。残念ながら今は、永続版Officeを購入するタイミングとしては間が悪い。
 
Amazon.co.jp上の製品比較表より

「選択肢はもっとある」 親身のアドバイスは届かない……

 国内正式発表後、海外では399ドル(約4万5000円)の「Surface GO」の国内モデルの価格設定について、高すぎると疑問を呈する声が出ている。確かに日本では手間いらずの「Office搭載」に対するニーズは根強いが、海外同様、別売にして「Office 365 Solo」との同時購入セットを用意すれば、もっと値ごろ感は高かったはずだ。
 
最新機種と10年前の売れ筋モデル(右)の比較。
本体はかなりスリムになり、画面は大きく、付属マウスはワイヤレスに変わった

 PC購入相談を受けた義父の場合、自治会の仕事をするため、WordとExcelは必須という。年に1回の年賀状プリントも、重要なPCの利用用途だ。となると、店員は、Microsoft Officeをプリインストールした国内メーカーの売れ筋モデルを薦めるはず。PC市場全般の「変わらなさ」は、いつまでも初心者意識が抜けない多くの消費者と、「Surface GO」の日本独自仕様が示すように、そこに迎合するメーカーと販売店にありそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。