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バッファローの井上武彦社長が語る、外付けHDDの差異化戦略(後編)

インタビュー

2017/07/28 17:00

 2017年5月にバッファローの新社長に就任した井上武彦氏は、コンシューマ向け外付けHDD事業では「コト売り」を重視した「データ復旧」や「見守りサービス」に力を入れる。一方で、法人向け事業でも強化を図って、経営の「質」を変えていく。その狙いはどこにあるのか。

取材/道越一郎 BCNチーフエグゼクティブアナリスト
文/細田 立圭志、写真/瀬之口 寿一

法人事業強化で経営の「質」を変える

<前編>から読む

法人の売上構成比を半分に

道越 コンシューマ事業と同様にコーポレート(法人)向け事業においても、経営の「質」を変えていくということですが、具体的な目標などありましたらお聞かせください。

井上 コンシューマ中心からコーポレート(法人)事業を強化して、現在の3分の1ぐらいの売上高構成比を、なんとか半分まで高めていきたいです。
 

バッファローの井上武彦社長

道越 扱う製品はどんな製品になるのでしょうか。

井上 海外で扱っているスイッチングハブとテラステーション、NASがメーンになります。これまで海外事業では、バッファローのブランドを浸透させる意味合いもあって、海外のコンシューマ事業を国内事業で支えながら展開していましたが、HDDと無線LANでは製品自体に競争力がなく、付加価値化が難しかった。ですので、これからは米国と欧州はコーポレート向けに力を注いで、販売基盤を築いている段階です。

海外でニッチ分野を攻める

道越 海外のコーポレート事業でバッファローならではの差異化はどのように打ち出しますか。

井上 米国や欧州ではエンクロージャーといって、箱だけを売るビジネスが主流です。中身のHDDなどは自分たちで調達するのです。これに対して、バッファローはHDDもセットでフルサポートするというビジネスを展開します。ニッチではありますが、購入後すぐに使えることを売りにしていこうと考えています。まずは米国と欧州で基盤をつくって、それからアジアになるでしょうね。
 

道越 コーポレート向け事業は、小規模の事業者を対象にしているとすると、コンシューマで培ってきたブランド力も生かされるのでしょうね。

井上 そうですね。いわゆるSMB(Small to Medium Business)を対象にしているので、コンシューマで培ったブランド力は効きます。私が思い描くメーカー像は次のようなものです。お客様の立場から商品を企画・開発して、ものづくりが正しくできるように設計し、正しい部品を適正な価格で調達して、正しく組み立てて生産する。そうして丹精込めてつくり上げた製品の価値を、正しくお客様にお伝えする営業力、販売力が備わっている会社です。そして、何か不具合があったときは、誠意を込めて対応するサービス力が必要です。
 

「バッファローは各ファンクションでプロの集団を目指す」

 このどれかひとつでも抜けてしまうといけないのです。各ファンクションでプロ意識を持つことが大切です。「バッファローはプロの集団」という姿がつくれたら、ほかのメーカーがどう動こうと浮足立つ必要はなくなります。自らがしっかりしていれば、それが結果的にお客様や法人様、販売店様から信頼していただける会社になるのです。