• ホーム
  • トレンド
  • ビックカメラがビットコインに対応、豊富な決済手段で先進性示す

ビックカメラがビットコインに対応、豊富な決済手段で先進性示す

販売戦略

2017/04/10 17:00

 ビックカメラは4月7日、仮想通貨「ビットコイン」で商品購入ができる決済サービスを「ビックカメラ有楽町店」「ビックロ ビックカメラ新宿東口店」の2店舗で開始した。ビットコインの利用者は、現金やプラスチックカードを使わなくてもスマートフォン上のアプリだけで買い物が可能となる。当面は試験導入の位置付けで、利用動向をみて他店舗への拡大を検討する。


手持ちのスマートフォンでビットコイン支払いが可能(右上は、店舗の読み取り用の端末)

 ビックカメラ有楽町店長の佐藤壮史執行役員は、導入の最大の目的は「お客様の利便性の向上」と説明。「ビックカメラは決済手段の充実にはこだわりがある」(佐藤店長)といい、これまで主要な電子マネーやAlipay、WeChat Payなどにいち早く対応してきた流れから、今回も仮想通貨が本格的な普及する前に先手を打って導入を決めたと話す。

 顧客がビットコインで支払う旨を店員に伝えると、店員はレジに接続してあるモバイル端末に決済金額を入力する。決済用のQRコードがモバイル端末の画面上に表示されるので、後は顧客が自分のスマートフォンでビットコインのウォレット(財布)アプリを起動し、QRコードを読み取ると決済が完了する。ビックカメラでは既にAlipayなどのモバイル決済などを導入していることから、店舗のモバイル端末にアプリを追加するだけでビットコインへの対応が可能で、導入にあたっての初期コストはほとんどかかっていないという。
 

有楽町店では店内でもビットコイン対応を大きくPR。ポイント付与率も現金同様

 ビットコインは決済手段としてよりも、実通貨との交換レートの変動を利用した投機対象としての注目が過熱したほか、2014年には大手取引所の破綻が社会的問題となったことから、リスキーなイメージが先行しているが、今回ビックカメラでは、三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友銀行グループ、みずほフィナンシャルグループなどが出資するビットコイン取引業者・bitFlyerのシステムを利用した。日本円の売上金額に対して一定の手数料をbitFlyerが受け取り、残りがビックカメラに現金として入金される。店側から見ると、クレジットカードや電子マネーと変わらないプロセスであり、ビットコインのレート変動が収益に影響を与えない仕組みとなっている。顧客はbitFlyerのユーザーでなくても、QRコードの読み取り機能があるウォレットアプリを利用していればビットコインでの支払いが可能。

 bitFlyerの加納裕三代表取締役によると、同社のビットコイン決済サービスでは店舗への翌日入金を行っているほか、具体的な料率は明かさなかったものの、既存クレジットカードと比べて競争力のある手数料設定となっているといい、店舗側にとってもビットコイン決済はメリットが大きいと説明する。
 

ビックカメラ有楽町店の佐藤壮史店長(右)とbitFlyerの加納裕三代表取締役

 現状では、決済手段としてのビットコインの利用は欧米でも限定的で、国内小売りに占めるビットコイン決済が早期に大きな比率を占めることは考えにくい。しかし、今月1日「仮想通貨法」とも呼ばれる改正資金決済法が施行されたことで、日本でも仮想通貨の取り扱いに関する法的整備が進んだことから、導入に追い風が吹いていることは間違いない。ビックカメラでビットコイン導入を主導した広告宣伝部長の堀越雄執行役員は「決済手段の豊富さもビックカメラの魅力として伝えていきたい」と述べ、店頭だけでなくSNSなども通じて、ビットコイン導入を国内外にPRしていく意向を示した。(BCN・日高 彰)