官民でベンチャー企業を支援する環境が整備され、家電分野でもスタートアップメーカーが芽を出している。製造業の革新を指す「インダストリー4.0」という言葉をよく耳にするようになったが、“ものづくり”は今後どのように変化していくのだろうか。今回、スタートアップを代表して集った3社は、奇しくも国内を代表する家電メーカーの出身者が代表を務める。自身の経験と哲学をもとに、“ものづくり”の今と未来を語ってもらった。

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開催日:2017年2月27日
場所:BCN 会議室
参加メーカー:UPQ、シリウス、ネイン(50音順)

 
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(左から)ネイン 山本健太郎 代表取締役 兼 CEO、シリウス 亀井隆平 代表取締役社長、
UPQ 中澤優子 CEO代表取締役


■スタートアップのきっかけ

<議論テーマ>

・既存の「ものづくり」が抱える問題
https://www.bcnretail.com/market/detail/20170324_42474.html
・事業立ち上げ、販売に関する課題
https://www.bcnretail.com/market/detail/20170324_42475.html
・<3社に聞く>自社製品のこだわり
https://www.bcnretail.com/market/detail/20170324_42477.html

◇UPQ
中澤優子CEO代表取締役

 携帯電話の開発に関わりたくて、カシオ計算機に入社したのですが、2012年に事業から撤退。「ものづくりの時代は終わった」という声も聞かれるなかで、ハードウェアのビジネスにも別のやり方があるのではないかと考え、スタートアップの道を選びました。新しいカテゴリではなく既存のカテゴリで勝負する、という点にこだわりをもっています。「人にどれだけ自慢できるプロダクトか」を重視しています。
 
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<Profile>
 中央大学経済学部卒業。カシオ計算機に入社し、携帯電話事業の企画開発を担当。同社の事業撤退を機に退社。2015年8月、家電・家具ブランド「UPQ(アップ・キュー)」をリリース。構想から2 ヶ月で17種類24製品を取り揃えて話題を呼ぶ。16年2月には第2弾となる製品群をリリース。SIMロックフリースマートフォンから、4K対応の大型ディスプレイ、電動バイクなど製品群は多岐にわたり、現在は41種64製品まで広げる。



◇シリウス
亀井隆平 代表取締役社長

 三洋電機を退職後、現在の会社で三洋時代のネットワークを生かした家電卸事業やオリジナル商品の開発を行っていました。事業が転換を迎えたのは15年です。水流に関する特許技術がわれわれの会社に持ち込まれました。「大企業で商品化するのは時間がかかる。それならば」ということで、アウトソーシングとファブレスによる「ものづくり」のプラットフォームを企画・設計し、現在の事業に至っています。
 
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<Profile>
 国士舘大学体育学部卒業。衆議院議員の故浜田幸一氏の私設秘書を2年間務めた後、三洋電機に入社し、営業、マーケティングなどを経験。パナソニックとの経営統合を境に退社。2011年に株式会社シリウスの代表取締役に就任し、17年4月に世界初の水洗いクリーナーヘッド「switle(スイトル)」を発売する。幅広いビジネスパートナーと連携するビジネスモデルを構築し、これまでにない開発やマーケティング、営業戦略などで注目を浴びている。


◇ネイン
ネイン 山本健太郎 代表取締役 兼 CEO

 カーナビの開発を10年以上していたのですが、進化のスピードが遅いことにストレスを感じていました。スマートフォンのような革新的デバイスが登場しても、車の中では何もできない。原因を考えたとき、思い当たったのが、「スマホは目を使わなくてはいけない」ということでした。そこで「インターネットと目を使わなくてもつながるものがあれば」という考えが生まれ、会社を立ち上げることになりました。
 
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<Profile>
北海道大学情報工学部卒業。パイオニアにてグローバル市場のカーナビ、車載インフォテイメント機器の開発・企画に携わる。2014年11月に株式会社ネインを設立。音楽や通話、SNSのメッセージを読み上げるワイヤレスヘッドホン型端末「APlay」を16年10月に発売する。今年3月に開催された「SXSW 2017」では、Japan Startup Selectionブースに出展し、新製品「APlay Pulse(仮)」を発表した。

 
※『BCN RETAIL REVIEW』2017年4月号から転載