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盛り返す新iPhone、デュアルカメラの「iPhone 7 Plus」は「6s Plus」を超える

時事ネタ

2016/10/21 17:37

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、発売後3日間/10日間の販売台数は過去3年間で最低となり、鈍いスタートとなった今年のiPhone商戦。人気が新色2色に偏った上、その新色の入荷が極端に少なく、例年以上に品薄だったため、販売台数は伸び悩んだ。

 販売チャネルとしてシェアの大きいキャリアショップや都心の店舗に優先的に納入され、エリアや店舗によって入手のしやすさにバラツキが生じ、その結果、全国の家電量販店を対象とした販売データでは、実際よりマイナスが大きくなっているとも推測される。

 10月に入り、品薄状態は徐々に改善し、発売後1か月間(31日間)の販売台数を比較すると、4.7インチの「iPhone 7」は、まだ前モデル「iPhone 6s」の9割にとどまっているが、5.5インチの「iPhone 7 Plus」は、発売から25日目の時点で、前モデル「iPhone 6s Plus」を抜き、今後、さらに伸びそうだ。
 

入荷増でスロースタートからやや持ち直す

 ここ数年、事前にオンラインや店頭で予約し、入荷の連絡があってから購入する予約販売が浸透した。その影響もあり、既報の通り、新モデル「iPhone 7/iPhone 7 Plus」の発売後3日間の販売台数は、2年連続で前年を下回り、2014年発売の「iPhone 6/iPhone 6 Plus」の約5割の水準にとどまった。その後はやや盛り返し、発売から10日間では約6割、発売から1か月間では約7割まで回復した。
 

 2014年以降に発売された4.7インチ/5.5インチのiPhoneについて、「iPhone 6」の発売1日目の販売台数を1として、日ごとの累計販売台数指数を集計すると、発売10日目の時点では、1.2ポイントあった「iPhone 7」と「iPhone 6s」の差は、15日目の時点では1.0ポイント、25日目の時点では0.7に縮小した。

 「iPhone 7 Plus」と「iPhone 6s Plus」の差は、発売初日の0.3ポイントから、、いったんは最大1.5ポイントまで拡大したが、発売25日目に逆転。31日目の時点では、「iPhone 7 Plus」のほうが多く売れており、「iPhone 6s Plus」の実績を0.5ポイント上回っている。
 
 

画面サイズで変わる売れ筋 「7 Plus」は128GBと256GBに分散

 キャリアごとに集計すると、4.7インチの「iPhone 7」はソフトバンク版、広角と望遠の二つのカメラを搭載し、最大2倍の光学ズーム、最大10倍のデジタルズーム撮影が可能な5.5インチの「iPhone 7 Plus」は、au版が最も多く売れている。

 容量別では、「iPhone 7」は128GBに人気が集中。約7割を占め、次に32GB、256GBと続く。対して、「iPhone 7 Plus」は128GBが5割弱、256GBが4割弱と、分散している。iPhoneは外部メモリに対応していないため、ストレージ容量が不足すると、OSのアップデートもままならなくなる。従来の16GBモデルに代わって32GBモデルを復活させたものの、事実上、ローエンドを切り捨て、ハイエンドに振り切ったとみていいだろう。
 
 

「実質0円」販売終了後の初のiPhone 直接の影響は軽微か

 新モデル「iPhone 7/7 Plus」は、2年ぶりのフルモデルチェンジとあって、待望の防水、ステレオスピーカー、700万画素にアップしたフロントカメラなど、新機能は盛り沢山だ。その一方で、ヘッドホンジャックの廃止や、FeliCaに対応し、ICカードを読み書きする機能を搭載したため、電波法に基づき記載が必要になった本体背面への「総務省指定」の刻印など、デメリットと感じられる変更点も多い。
 

今年のイチオシカラーは新色のブラック2色。特に、光沢のある「ジェットブラック」に予約が殺到しているという

 また、総務省による「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」策定後、初のiPhoneであり、「格安SIM」と呼ばれるMVNOサービス、SIMフリースマートフォンの存在感が高まるなか、iPhoneを取り扱う主要3キャリアは、発売に合わせ、ヘビーユーザー向けに、従来より1GBあたりの単価が安い大容量データ通信プランを追加した。総務省のフォローアップ会合では、端末購入補助の適正化に向けた議論が続いており、11月中に新たなとりまとめが発表される見通しだ。

スマホの料金プラン競争再び、ヘビーユーザー向け大容量プランのGB単価が安く
「実質0円」販売の攻防 総務省が3キャリアに行政指導

 10月下旬には、JR東日本の「Suica」や「iD」などに対応し、iPhoneやApple Watchがおサイフ代わりになる新しいモバイル決済サービス「Apple Pay」がスタートする。iPhoneの今後の売れ行きは、総務省での議論の行方と、「Apple Pay」の成否にかかっている。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。