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モバイル機器の故障を幅広くサポート 業界初のスマホ保険は広がるか

経営戦略

2016/07/21 16:25

 スマートフォンなど、モバイル・IT機器を対象に、最大3台、年間10万円まで修理費用を補償する業界初のスマホ保険「モバイル保険」を提供するさくら少額短期保険の担当者、相曽 仁美課長に、ユーザーにひもづくため、制約が少なく、サポート範囲の広い「モバイル保険」のメリットや、今後の課題についてきいた。


「モバイル保険」担当の相曽 仁美課長

 電車やバスのなかでスマートフォンを操作している人は多い。その手元を見ると液晶画面にひびが入っていることもしばしば……。ニフティの調べによると、 スマホが故障・破損した経験がある人は22.8%。相曽課長は、壊れたまま使い続ける人が多い理由について、「端末価格と修理代金の上昇」を挙げる。

 「ケータイの端末価格は約5万円で、0円で売られている端末もあった。修理代は1~2万円ほどで、壊れたら買い替える人が多かった。ところがスマホは、 端末価格は約10万円、修理代は3~5万円ほど。高額のため、壊れても、仕方なくそのまま使い続ける人が多い」と分析する。液晶画面が割れたままでは、指 を切るなど、ケガにもつながりかねない。「モバイル保険」を始めた狙いは、壊れたスマホを修理しやすくするためだ。
 

ユーザーを取り巻くモバイル機器事情の変化


インターネットにつながる機器なら最大3台、年間10万円まで補償

 「モバイル保険」は、1契約で最大3端末(主端末1台、副端末2台)まで、年間10万円までの修理費用を補償するサービス。端末ではなくユーザーにひもづくため、保険期間に縛られず、好きなタイミングで買い替え、買い増しができる。

 スマホだけではなく、タブレット端末ノートPC、音楽プレーヤー、モバイル無線LANルーター、携帯ゲーム機など、インターネットに接続できるモバイ ル機器なら対象となる。IoT時代のいま、インターネットにつながる機器がどんどん増えていく。そのため対象機器は、今後増やしていく方針だ。

 修理補償は、1年間に10万円までなら何度でも利用可能だが、主端末は、最大10万円まで、副端末は合計で3万円までとなる。副端末の修理代が3万円を 超えた場合、補償対象外になるが、同社の調べによると、iPod touchや携帯型ゲーム機の平均修理台は1~2万円なので、修理代が高いスマホやタブレット端末を主端末に設定すれば、十分まかなえるという。
 

修理代の目安(iPhone 6s Plusの場合)


戦略的な料金設定 年間10万円を超えたら月額の支払いはストップ

 「モバイル保険」は、キャリアの端末補償サポートと比較しても優位性は高い。月額料金は、非課税で700円。1台あたりに換算すると、メーカーやキャリアが提供する補償サービスよりも安い。
 

「モバイル保険」の概要
 
 いつでも申し込める点もメリットだ。メーカーやキャリアの場合は、端末購入時や、最大30日以内に申し込む必要があるが、「モバイル保険」は端末購入か ら1年以内であればOKというフレキシブルさがある。2年間に2回までといった、補償を受けられる回数の制限もなく、1年間に10万円に達するまで何度で も補償を受けられるので安心だ。

 最大10万円の補償金額を超えた場合は、残りの期間は休止となり、月額料金は発生しない。それ以降も補償サービスを利用したい場合は、1年間経過すると、自動的に継続され、万が一、故障した場合、再び、補償を受けることができる。
 

課題はリアル店舗との提携 ユーザー、店舗の双方にメリット

 「モバイル保険」はユーザーにとってメリットの多いサービスだが、課題は、「ユーザーとの接点の少なさ」(相曽課長)。最近は、携帯電話ショップ、家電 量販店以外にも、SIMロックフリースマホを販売する店舗が拡大しており、スマホを販売する多くの店舗で紹介してもらうことで、認知度の向上を図り、加入 者を増やしたい考えだ。

 この課題を解決するため、現在、修理店との提携を進め、キャッシュレスでの修理サービスを計画している。提携する修理店に端末を持ち込むと、キャッシュ レスで修理を依頼でき、修理費用は、さくら少額短期保険から提携修理店に直接支払うという仕組みだ。ユーザーは修理を依頼しやすく、提携する修理店にとっ ては、新規ユーザーを獲得できるという、ユーザー、店舗の双方にとってメリットがある。業界初のスマホ保険が浸透するか、今後の取り組みに注目したい。 (BCN・山下彰子)