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列車内の混雑状況を把握可能に 東急電鉄と阪急電鉄が東工大と実証実験

時事ネタ

2022/01/13 07:30

 東急電鉄と阪急電鉄は、東京工業大学と協働して、列車内の混雑状況の可視化に関する実証実験を1月から実施する。

東京工業大学環境・社会理工学院 辻本研究室が開発した「列車内の混雑度解析技術」イメージ図

 この実証実験は、東京工業大学環境・社会理工学院の辻本研究室が開発した「列車内の混雑度解析技術」の精度を検証するもので、列車内の混雑情報を可視化して乗車前の人にリアルタイムで提供することにより、混雑度が低い車両への乗車を促し、できるだけ混雑を避けたいという人のニーズに応えることを目指している。

 具体的には、列車に乗車している人が持つスマートフォンのブルートゥース信号を、駅に設置した「混雑解析装置」で取得し、クラウド上のAIで混雑状況を解析する。また、AIの解析精度を高めるため、駅のホーム上から「高速度カメラ」で撮影・測定した混雑状況なども組み合わせて、AIのチューニングを行う。
 
東急電鉄の混雑状況配信例

 東急電鉄の実施期間は、1月17日から2月28日まで。設置駅は、田園都市線駒沢大学駅 上り(渋谷方面)ホーム。東急電鉄では現在、スマートフォン向けアプリ「東急線アプリ」の「列車走行位置」画面で、リアルタイム情報として混雑状況を配信しているが、応荷重データがリアルタイムで取得可能な一部路線の東急電鉄所属の一部車両のみとなっており、その他の画面とホームページでは過去データを分析したものを傾向値として配信している。

 実証実験による技術が確立した場合には、これまで対応できていなかった路線や相互直通運転を実施している他社所属車両の混雑状況もリアルタイム情報として配信できることになり、またこのデータを蓄積することで傾向値を定期的に更新することも可能となる。さらに、リアルタイム情報は、これから列車に乗車する人の混雑した車両を避けたいというニーズ、また傾向値は列車が混雑する時間帯や車両を事前に把握したいというニーズの双方にメリットがあり、より充実したサービスを提供できるようになる。
 
阪急電鉄の実証実験と混雑状況配信イメージ

 阪急電鉄の実施期間は、1月12日から3月31日まで。設置駅は、神戸本線・中津駅 下り(神戸三宮方面行き)ホームと、神戸本線・十三駅 下り(神戸三宮方面行き)ホーム。実証実験では、中津駅に設置した「混雑解析装置」と「高速度カメラ」で、同駅を出発(または通過)する列車の混雑度を解析する。また、十三駅に設置した「混雑解析装置」で、同駅を出発する列車の混雑度を解析する。

 2月末から3月初旬頃には、十三駅(神戸三宮方面行き)ホームに「混雑度表示サイネージ」を設置し、解析データをもとに、十三駅に到着する列車の各車両別の混雑状況を案内する。さらに、十三駅に設置した「混雑解析装置」で得られるデータを、「混雑度表示サイネージ」の設置前後で比較することにより、混雑情報が、乗客の行動変容にどの程度結びついたかを分析するとともに、実証実験を通じて同技術の評価を行う。