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消費者の6割が宣言下でも外食、4度目で変わる飲食店と消費者の距離

オピニオン

2021/07/15 18:30

 これまで当たり前だった生活を、1年以上にわたり自粛して我慢し続けられる人間はそう多くない。人によっては、長く続く息苦しい状況に耐えきれず、緊急事態宣言下でも飲食店へと足を運んだ者も少なくないだろう。では、実際にどれだけの人数が宣言中に外食をしたのか。DMM.comが20~50代のビジネスパーソン男女を対象に実施したアンケートを基に、宣言下の消費者の行動と飲食店が置かれた状況、アフターコロナの飲食店の業態について考えてみたい。

2021年の緊急事態宣言発令中に、外食しましたか(DMM.com調べ、以下同じ)

宣言下での外食経験は約6割

 新型コロナウイルス感染症対策本部は7月8日、東京都で4回目となる緊急事態宣言(以下、宣言)を発出した。既に発出されている沖縄県は延長され、埼玉、神奈川、千葉、大阪の4府県はまん延防止措置を延長する施策がとられる。これまでと同様、消費者に対しては20時以降の不要不急の外出自粛の協力などが、飲食店には休業や時短営業・酒類の提供停止などが要請される。ワクチン接種が進みつつあるが、外食や旅行を自由に楽しめるようになるのはまだ先のようだ。

 とはいえ、ビジネスでの会食やなかなか会うことができなかった知り合いとの久しぶりの再会、結婚式など、一度予定してしまったらそう簡単にキャンセルできないこともあるだろう。DMM.comの調査によると、2021年の宣言発出中に外食をした人は58.0%に上ることが分かった(21年に発令されていない地域は昨年の宣言中)。

 理由として多かったのが、「美味しいものを食べたい(55.9%)」「ストレス解消(30.3%)」が挙げられた。やはり、さまざまな行動が制限される宣言下においては、少しでも気分転換をしたいと感じる人は多いのかもしれない。
 
緊急事態発令中に外食した理由

飲食店を応援したい気持ちも

 一方で目立つのが「飲食店を応援したい(37.6%)」という回答だ。宣言下では、事業者に対して営業時間の短縮や酒類の提供が制限される。ただでさえ、コロナ禍初期の時点で飲食業界から苦しい悲鳴が聞こえていたが、長期化している今となっては我慢の限界を超えた店も多い。

 コロナ禍以前にひいきにしていた店が、気づけばたたんでいたなんていう経験をしている人も少なくないだろう。「コロナ禍で飲食店を応援したいと思いますか」という直接的な質問では「とても思う(18.0%)」「思う(30.0%)」「どちらかというと思う(33.4%)」と80%以上が飲食店に対する応援の気持ちを示している。
 
コロナ禍で飲食店を応援したいと思いますか

 また、「外食した店/外食する店は、宣言前から利用していた店ですか あるいは新しく開拓する店ですか」という質問では、「宣言前から利用していた店(60.0%)」「どちらかというと宣言前から利用していた店が多い(29.3%)」と回答が出ており、約90%に及ぶ回答者が以前から利用している店に訪れていることがわかる。回答者の中には、困っている馴染みの飲食店を応援したいと考える人もいるのだろう。
 
外食した店/外食する店は、緊急事態宣言前から利用していた店ですか
あるいは新しく開拓する店ですか

数字で表れる飲食店の現状

 では、実際のところ飲食店の状況はどうなのか。「宣言中の外食の頻度」を聞いたところ「週に1~2回(37.6%)」が最多となり、次点が「月に1回(32.1%)」という結果に。また、「宣言中に外食した際、何名でお食事されましたか」という質問では、「2名(54.5%)」と「1名(35.5%)」が多数になった。

 DMM.comによれば「外食はしているものの、感染対策のためにできるだけ頻度を減らしたり、少人数で食事したりしている人が多い」と分析する。
 
緊急事態宣言中の外食の頻度
 
緊急事態宣言中に外食した際、何名でお食事されましたか

 また、宣言中の支払金額に関する質問では、ディナー1回当たりの金額として「1000円以上 2000円未満(24.8%)」が最も多く、「~1000円未満(17.9%)」も2割弱いることが判明した。同社では「時短営業や酒類の提供制限による影響が考えられ、減少傾向にあるのかもしれない」という見解だ。
 
緊急事態宣言中の外食について ディナー1回当たりの支払金額

 少人数での利用が大半を占め、支払金額も少ない傾向があるという結果は、そのまま飲食店がおかれている苦境の深刻さを物語っている。フードデリバリーサービスの普及やテイクアウトといった新たな収入源も存在するが、手数料や梱包材といった出費がかさむこれらの施策でコロナ前と同じ収益を確保できるかというと疑わしい。

美味しい料理はいつだって食べたい

 いうまでもなく、コロナ禍は多くの人々の食に対する価値観に変化を与えた。調査結果においても、「コロナ禍で以前よりも食生活への関心が高まりましたか」という質問では半数以上が高まったと回答している。
 
コロナ禍で以前よりも食生活への関心が高まりましたか

 これまでの食生活が物理的に制限され、1年以上が経過した今、もはやそれらは常識となった。消費者の行動が変わった以上、ビフォアコロナと同じ業態ではやっていけない店もあるだろう。

 関心の高まりの詳細を複数回答聞く質問では「栄養バランスを考えるようになった(53.9%)」「栄養価の高い食材を買うようになった(20.0%)」という回答もある。引き続きテイクアウトやフードデリバリーに対応しつつ、カロリー表記や原材料・栄養価の明記といった施策が必要になるのかもしれない。
 
どのように高まりましたか(複数回答可)

 ただ、この質問において最も多く回答を得たのは「美味しいものを食べたいと思うようになった」という選択肢。家庭ではつくることのできない美味しい料理はいつだって求められているわけだ。

 今週から始まった4度目の宣言、東京都においては7月12日~8月22日までの6週間という過去最長となる。これまで以上に多くの飲食店に負担としてのしかかり、客と店の距離は開く一方だ。我ら利用者としてはソーシャルディスタンスや黙食など、感染対策に最大限気を使いつつ食事を楽しみたい。飲食店を応援したいという気持ちが彼らとの心理的な距離を縮めるはずだ。(BCN・銭君毅)