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全世代で負担する「子ども・子育て支援金制度」開始 平均的な負担は月200~550円

オピニオン

2026/04/25 18:00

 【家電コンサルのお得な話・295】 2026年4月分から、社会保険料の一部として「子ども・子育て支援金」が徴収される。例えば会社員の場合、毎月、社会保険料が天引きされている給与から、この子ども・子育て支援金の分だけ手取りが減るというイメージだ。実際に手取りが減るかどうかは、昇給や他の保険料率の引き下げの有無によって人それぞれ異なる。

全世代で子育て世帯を支援する

「みんなで子育てを支える」仕組み

 子ども・子育て支援金は、既存の医療保険の仕組みを活用し、全世代および企業から支援金を拠出し、その拠出金を子育て施策の拡充に充てるものである。政府は、少子化の進行に対応するため、2023年に策定した「こども未来戦略(加速化プラン)」に基づき、児童手当の拡充や妊婦支援、育児関連給付など複数の施策を進めており、その財源の一部として本制度を位置づけている。

 支援金は税ではなく、社会保険料の一部として徴収される。当初の支援金率は、被用者保険(協会けんぽ・健保組合・共済組合)の場合、標準報酬月額に対して0.23%。その半分を企業、半分を個人が負担する仕組みであり、給与に加え、賞与からも天引きされる。また、国民健康保険や後期高齢者医療制度においては、それぞれ自治体や広域連合の基準に基づき決定される。
 
子ども・子育て支援金の徴収の流れ

 公表されている試算によれば、平均的な負担額は健保組合で約550円、国民健康保険で約300円、後期高齢者医療制度で約200円とされている。ただし、これはあくまで平均値であり、実際の負担額は所得や加入制度によって変動する。
 
令和8年度(2026年度)の支援金額(試算)

 制度の構造として、この負担金は社会保険料として上乗せされるため、実質的な負担増でありながら、個々の認識として分かりにくい側面がある。これは制度設計上の特徴であり、議論の対象となっている。

 現在、日本の国民負担率は税と社会保険料を合わせて50%に迫る水準にあるという指摘もある。仮に単純換算すれば、8時間労働のうち約4時間分の収入が公的負担に充てられている計算になる。この状況において、たとえ月額数百円であっても、新たな負担が追加されることに対する心理的・実質的な影響は小さくない。
 
子ども・子育て支援金は、抜本的な子ども・子育て支援の
強化に向けた施策に対する安定した財源という位置づけとなる

 さらに、物価上昇が続く中で、可処分所得の伸びは限定的である。これには企業の利益配分が株主還元に偏っているとの指摘や、利益の海外流出といった構造的課題も存在する。

 少子化対策の重要性に異論はないが、負担を増やすだけでなく、時代や環境の変化に即さない法律や税制、社会システムは、早急に全体最適の観点から見直しを図らねば、さらに日本社会の疲弊は進むだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。
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