ステイホームで売れたゲームコントローラ

 巣ごもり需要の高まりで売れた製品の一つにゲームコントローラがある。19年は前年割れでさえない売り上げだったが、昨年はステイホームの影響でゲーム機の売り上げが伸びた上、PCでゲームを楽しむ動きも広がり、年間を通じて販売が好調だった。


 1月の前年比こそ販売台数で107.6%、販売金額で95.9%と地味なスタートだったが、5月に台数で197.6%、金額で240.1%と倍増。台数2倍前後、金額2倍超という好調は10月まで続いた。11月以降は伸びが一段落し、売り上げが落ち着いてきた感はあるものの、直近12月でも台数143.7%、金額119.6%と好調が継続している。

 12月時点の市場構造は、84.6%と大多数をゲームパッドが占めている。ゲーム専用機のコントローラに近い形をしており、専用機の代替コントローラとして使ったり、PCにつないでゲーム専用機と似た感覚でゲームができるようにしたりできるため、人気が高い。

 残りは、アーケードゲームのコントローラーに近いジョイスティック、機能割り当てができる小さなキーボードが付属するキーパッドがそれぞれ4.3%という構成比だ。いずれもより高い操作性を求める用途で使われている。その他が6.8%という構成。多くはレーシングゲーム用のハンドル。フライトシミュレータ用の操縦桿なども含まれている。
 
ロジクールの「F310 GAMEPAD F310r」

 売れ筋の製品は上位7位までがゲームパッド。販売台数シェア16.8%とトップシェアがロジクールの「F310 GAMEPAD F310r」だった。オーソドックスな有線タイプのPC用ゲームパッドで必要な機能を備えながらも平均単価(税別)が2000円を切る手頃な価格が人気の要因だ。

 2位に続くのがシェア4.8%の「Microsoft Xbox One Controller + Cable for Windows 4N6-00003」だ。平均単価は5000円台半ばと、ゲームコントローラとしては平均的な価格帯。無線タイプでWindows PCとXboxの両方で使える上、付属USBケーブルで有線コントローラーとしても使えるところが受けた。
 
ホリの「マリオカートレーシングホイール for Nintendo Switch」

 ゲームパッド以外では、8位に初めてハンドルがランクイン。ホリの「マリオカートレーシングホイール for Nintendo Switch」がシェア2.3%でTOP 10に食い込んだ。その名の通り、人気ゲーム「マリオカート」でのプレイにマッチする製品だ。

 平均単価が6000円台半ばながら、ステアリングユニットとフットペダルがセットになっており、レーシングゲームをより楽しめる。Nintendo SwitchのほかPCでも使用できる。キーパッドでは、21位にRazerの「Tartarus V2 RZ07-02270100-R3M1」がランクインしている。左手用で操作するキーパッドで、大きなパームレストが特徴だ。
 
Razerの「Tartarus V2 RZ07-02270100-R3M1」

 メーカー別の動きをみると、12月現在の販売台数シェアでは、ロジクールが22.1%とトップ。年間を通じてトップを獲得する場面が多かった。これまで比較的高価格帯の製品が多かったが、低価格帯のゲームパッドも強化するなど、ラインアップ拡大が高いシェアを支えている。

 2位がホリで17.8%。7月に発売した平均単価2000円台半ばの「ホリパッド ミニ for Nintendo Switch ピカチュウ&イーブイ NSW-279」がシェアを押し上げた。33位がエレコムで12.1%。。2000~3000円台のゲームパッドが売れている。
 

 1月7日に1都3県、13日には7府県に拡大した緊急事態宣言。今のところ2月7日までの予定だが、新型コロナウイルスの感染状況によっては延長も考えられる。冬本番を迎えステイホームの機運が再び高まることも予想され、巣ごもり需要は継続、ゲームコントローラも堅調が続きそうだ。(BCN・道越一郎)