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「ロジクール製品は働き方改革に貢献する」 その理由は?

インタビュー

2017/12/22 12:00

 ゲーミングデバイスやワイヤレスイヤホンなど、新たな領域の製品で売り上げを伸ばすロジクール。主力のPC周辺機器であるマウスやキーボード、ウェブカメラなどでは高付加価値モデルへのシフトを進め、収益性を高める戦略を取っている。追い風となっているのが、今や国を挙げた取り組みにもなっている「働き方改革」の機運だ。

取材/道越 一郎 BCNチーフエグゼクティブアナリスト
文/日高 彰、写真/松嶋 優子


製品パッケージを片手に語る、ロジクールの笠原健司社長(右)

市場が伸び悩むなかでも日本は大幅な売上増

道越 2017年に、「特にこれは注目を集めた」という商品はありますか。

笠原 日本市場特有の動きなのですが、トラックボールの「MX ERGO」は、9月の発売直後にスパイク状のものすごい反応があり、一部では品切れでご迷惑をおかけするほどの勢いでした。長年、トラックボールをお使いいただいている方にご購入いただけたのはもちろん、知り合いの方から「使ってみたら」と紹介されるなどして、新しいトラックボールファンも生まれてきているようです。トラックボールは、使い始めの3~4日はかなりの戸惑いがありますが、それを乗り越えると「こんなにいいものがあったのか」となるようです(笑)。
 

9月の発売以降、好評な「MX ERGO Wireless Trackball」

 マウスやトラックボールなどのデバイスは、微妙な形状やわずかな持ち方の違いで筋肉の使い方が変わり、肩こりや疲れが大きく違ってきます。エルゴノミクスは、デバイス市場で間違いなく購入時のポイントになると考えていますので、この部分にフォーカスした商品は、来年以降に向けて新たに開発しているところです。

道越 そのほかに、ロジクールとして特に推したいデバイスは。

笠原 こちらも9月に発売した製品ですが、一日中グラフィックツールで作業をされているデザイナーの方などに向けた、ハイエンドキーボードの「CRAFT」があります。もちろん一般のPCユーザーの方々にも便利にお使いいただけますが、新たに搭載した入力ダイヤルの「CROWN」などを使って仕事の生産性を向上できるという点で、特にプロの方にお使いいただきたいフラグシップ製品と位置づけています。このような「生産性」もひとつの今後の大きなテーマと考えています。
 

ダイヤルでPhotoshopやIllustratorをより直観的に操作できるキーボード「CRAFT」

道越 最近はIT市場に限らず、「働き方改革」が社会的なキーワードになっています。

笠原 働き方改革には、テレワークによる在宅勤務、カフェなど場所を選ばないワークスタイルの実現、あるいはオフィスで働く場合も時短をしようといったように、いろいろな話が含まれていますが、それぞれの領域でロジクールの製品が貢献できると考えています。例えば、「MX ERGO」や「CRAFT」を使うことで、作業量の削減につながることが実際にデータとして確認できています。少しでも作業が速くなれば、残業時間を減らせます。

 在宅勤務でも、ウェブカメラやビデオ会議システムを使うことで、オフィスと同じようにミーティングに参加できます。実は、当社のハイエンドウェブカメラでとても受けているのが、人の背景に別の画像を合成する「背景交換」機能です。背景を消して、自宅のなかを見られずに会議に参加できるので好評なのです。

道越 働き方改革の機運が盛り上がったことは、ロジクールのビジネスにとって強い追い風になりそうですね。

笠原 おっしゃる通りです。一口に働き方改革といっても十人十色で、人それぞれにいろいろな働き方がありますので、ユーザーの一人ひとりに、「お客様だったらこういうデバイスやツールを揃えたらいかがですか」という違った提案ができると思います。製品には自信がありますので、私たちが取り組んでいかなければいけないのは、そのよさをどうやって発信していくかです。働き方改革の波を逃さず、ロジクール製品の利便性をうまくエンドユーザーやパートナーの皆様にお伝えしていきたいと考えています。
 


■プロフィール
笠原健司
1967年岐阜県生まれ。90年、NEC入社。同社グループでの米国勤務などを経て、2003年にロキシオ・ジャパン代表取締役に就任。05年にマイクロソフト コンシューマー&オンライン統括本部本部長、11年にレノボ・ジャパン サービスセールス&マーケティング本部長、13年に同社コンシューマー事業本部本部長代理に就任。16年10月よりロジクール代表取締役社長。
 
◇取材を終えて

 ロジクールのトラックボール「TrackMan Wheel TM250」を今でも愛用している。計6台購入し現在でも2台が現役。洒落たデザインと手になじむ形状で使い始めると手放せない。最新の「MX ERGO」では、より快適な使い心地に進化した。トラックボールは世界のなかでも日本の需要が突出しているという。机が狭いからだろうか。不思議だ。(柳)