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【アウトレット・リユース】注目の中古スマホ市場、格安SIMが追い風に

オピニオン

2016/11/28 12:00

 家電のジャンルでもアウトレット・リユース市場が拡大している。中古市場のなかで最近、注目されているのがスマートフォン(スマホ)だ。新品より価格が割安なのが最大の魅力で、格安SIMも追い風になっている。

■アウトレット・リユース家電を解く<中古スマホ>

 「新品を買う理由がない」。中古品を取り扱うビックカメラグループの「ソフマップ秋葉原本館」(東京・千代田区)に入ってすぐのガラスケースにずらりと陳列された中古スマホを眺めながら、男性客が語った。
 

ソフマップ秋葉原本館の中古スマホコーナー

 男性客のお目当ては子ども用の端末。新品より価格が安い中古スマホを購入した後、格安SIMを契約して通信費も抑える予定だと説明し、「大手キャリアは端末も通信費も高すぎる。安く済ませるに越したことはない。中古端末でも性能的には十分だ」と話した。

 ソフマップによると、中古スマホの販売は堅調に推移しており、10月の事業規模は前年比110%に達した。顧客は30~40代の男性が中心だが、格安SIMが話題になってからは女性も増えている。ソフマップ執行役員の井澤秀夫リユース事業部長は「端末の代金と運用費用をトータルで考えると、新品よりも中古スマホの方が断然お得だ」と話した。

 一方、全国約1000店舗で中古スマホを販売するゲオは、中古スマホ事業が前年比151.1%と急成長。5月に自社サイトに開設した法人専用の買い取り窓口も好評で、問い合わせが多くなっているという。
 

ゲオ モバイル運営部モバイル企画課 富田浩計マネージャー

 ゲオの富田浩計モバイル運営部モバイル企画課マネージャーは「いいものを安く買いたいという消費者は増えているが、まだ中古スマホの市場は小さい」と指摘し、「もっとスマホの売買について、消費者の認知度を上げる必要がある」と語った。

 ソフマップとゲオでは、中古スマホを販売する際、端末のクリーニングやデータの消去を実施している。しかし、消費者には一定の抵抗があるのが現状だ。MMD研究所(東京・渋谷区)が2016年4月に公表した「2016年中古端末に関する購買動向調査」の結果では、調査に応じた15歳以上の男女2213人のうち、8割弱が「抵抗がある」と回答した。

 徐々に広がっている中古スマホだが、消費者が抱く抵抗感の払しょくは大きな課題。市場拡大に向け、安心感をさらにアピールすることが求められる。(BCN・廣瀬 秀平)

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※『BCN RETAIL REVIEW』2016年12月号から転載